ジュリエッタは戦後最大の大ヒット作の名前を冠した100周年を記念モデルとしてデビューした。
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あなたがドライブする興味深いのは電動パワステと連携した新しいESPで、もしオーバーステアになったら、カウンターステアをドライバーにうながすべく、カウンター方向のステアリングの重さを軽くする。その逆は重くしてロックする。BMWのアクティブ・ステアリングのようにクルマが勝手にカウンターステアを当てるのではない。「ドライバーがそれをやる。ひとりで。クルマがあなたのためにドライブするのではない。それはアルファ・ロメオではない。クルマは話しかける。あなたがクルマをドライブするのです」「ジュリエッタのもうひとつの側面は、すべてのアルファ・ロメオはヴィークル・ダイナミクスに優れているけれど、乗り心地はそこそこだった。でも、ジュリエッタは同時に快適な乗り心地を備えている。非常に剛性の高いボディを持っているからです。それにサスペンションのストロークとダンパーのチューニングのバランスがとてもいい」とフィリップさんは自信たっぷりにいう。
私のアルファ初体験は75だった。75は乗り心地がよくて、大きなロールを持っていた、というとフィリップさんはこう答えた。
「そう。ビッグ・ロールがスムーズなハンドリング生んだ。ナウ・ウィ・チェンジ。スムーズなハンドリングはアルファ・ロメオにとって非常に重要です。かつてはロー・ロールだとリミットでクルマはピュン(突然挙動を乱した)。ハンドリングはスムーズではなかった。でも、いまはジオメトリーとロール・センターによって、ロー・ロールとスムーズ・ハンドリングを実現したのです」伝統的アルファ・ロメオのハンドリングについてテスト・ドライバーと話しましたか?
「もちろん。アルファ・ロメオの人々がたくさんいます。伝統をキープし、新しいものを入れる。これこそアルファ・ロメオの歴史です」テスト・ドライバー冒頭、バロッコを訪れた私にアルファ・ロメオの歴史を語ってくれたドメニコさんは、テスト部隊の責任者だった。その彼が新しいジュリエッタでバロッコを走って見せてくれた。クルマは深紅のクワドリフォリオ・ヴェルデ。右ハンドル仕様。最高出力235ps、1750ccの直4直噴ターボを積んでいる。ドメニコさんは「ピスタ・アルファ」と呼ばれる試験路に入るや、長いストレートでためらうことなく200km/h近くまで加速。グオオッとエンジンが澄んだ咆哮をあげる。ミトの1.4マルチエア・ターボに似た乾いたサウンドだけれど、より野太く力強い。コーナーが近付くとハード・ブレーキングでイッキに減速、タイヤが悲鳴を上げて一瞬スキッドする。減速Gでシートベルトが食い込む。乱暴なのではない。タイヤの最大グリップ力を引き出しているのだ。
それから6段マニュアル・ギアボックスのサードを選び、軽いスキール音を轟かせながら旋回する。ロールは軽微で、ジュリエッタは安定した姿勢を保ち続ける。平滑な路面とはいえ、ボディはきわめてしっかりしていて、乗り心地は硬めだけれど、なにひとつ不満がない。助手席だけの体験ではあったけれど、フィリップさんの言葉が「ナルホド、こういうことか」とうなずけた。「アルファ・ロメオは伝統的に、テストをたくさんやっています。フィーリングを重視しているからです。このフィーリングをフィードバックするために、たぶんほかのブランドよりもテストを繰り返している。これについて誇りに思う。アルファ・ロメオの仕事は、テストの伝統です。将来はシミュレーションでなんでもできるようになるでしょう。でも、アルファ・ロメオではテスト・ドライバーが依然としてクルマの背後にいるのです」とドメニコさんは語った。ジュリエッタが待ち遠しい!文=今尾直樹 写真=矢嶋修(ENGINE2010年12月号)
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