2024.06.19

CARS

3人以上で乗る機会が多いひとは、選ぶならレネゲード 中古車でも人気のジープ・レネゲードとお洒落なフィアット500Xは、どんなコンパクトカーだったのか?

フィアット500Xクロス・プラスとジープ・レネゲード・リミテッド、あなたならどっちを選ぶ?

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2016年11月号に掲載されたジープ・レネゲードとフィアット500Xのリポートを取り上げる。当時、マツダと組んでアバルト124ロードスターを産みだしたフィアットは、クライスラーとも手を組んで2つのキュートなSUVを誕生させた。レネゲードと500X。小川フミオがこの2台について、考えたリポートだ。

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自動車史に残るアイコン

まさかこんな時代がくるとは思わなかった。第二次大戦中に開発がスタートした軍用車両にオリジンを持つジープと、イタリアの大衆の足だったフィアット・チンクエチェント。2台がいまや姉妹車である。

かたや、機能のかたまり。かりに1輪を失っても3輪で走行が可能なうえ、車載工具だけで修理可能かつ他車との部品の互換性を最重要視した設計を特徴とする。



こなた、省略の美学。コスト安の空冷2気筒エンジンにコンパクトな設計のサスペンションで、車内騒音を逃がすためにキャンバストップを採用。

共通しているのは、シンプルな美しさゆえ、自動車史に残るアイコンになったことだろうか。そこに注目したのがフィアット・クライスラーだ。まさかジープを作る会社とチンクエチェントを作る会社が合併するとは、誰ひとり夢にも思わなかったはず。ところが結果オーライだ。フィアット500Xとジープ・レネゲード、2台はどちらも魅力的だ。

共用するシャシーは前輪駆動をベースに4WDを組み合わせたもので、ともにFWDと4WDの設定がある。おもしろいのは、チンクエチェントは同車史上最大の大きさとなり、ジープは(戦時中ヘリコプターで運ぶために設計されたアルミニウム・ボディのマイティマイトなどを別としたら)史上最小となった。

レネゲードのリミテッドは5色のボディ・カラーに合わせて、2種類のレザー・シートが用意される。ペダルとフットレストの滑り止め加工も「X」のモチーフを使用していることに注目


もっとも魅力的な部分は、まさにこの項の主題となっているスタイリングだ。おむすび型が印象的な500Xに対して、豆腐型ともいえるレネゲード。全体のシルエットの力強い表現によって、同じシャシーとは思えない対照的なスタイリングが実現されている。僕にいわせると、ブランド・イメージを主眼においた、まことに上手な作りわけがなされた。

作りわけの巧みさでいうと、ミニとBMW2シリーズのSUVなどが思いつく。2車は似ても似つかないモデルで、これはこれで称賛すべき手法だ。でもアイコンとしての表現では、フィアットとジープのこの2モデルが群を抜いている。

レネゲードは500X同様イタリアで生産されていて、フィアットの販売網の力もあるだろう同地で売れている。ミラノではレネゲード密度が高く、ひと区画に必ず1台とまっていると思えるほど多くを眼にする。



僕はこのクルマが発表されたときから、ずっと気になっている1人だ。魅力は輪郭の明快さと、ディテール処理のたくみさにある。美は細部に宿るという文言の信奉者(僕のこと)としては、「X」をあらゆるところに使ったスタイルがまことに好ましい。「X」はクロスオーバーのXであり、エクストリームのXである。また軍用車両時代はジープのひとつのシンボルともいえた予備燃料を入れたジェリカンのXというプレス・ラインもモチーフになっているはずだ。

スノーボードのパイプや大回転などいわゆるエクストリーム・スポーツのスポンサーとしてもジープは知られ、テレビで観ているとジープのXのモチーフがあらゆるところに映し出される。自分たちのアイコン「X」を上手に使っているなあとマーケティング手法にも感心している。

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