ジープ・ラングラー対メルセデス・ベンツG550、あなたはどっち派？「ラングラーはさらに荒野を目指し、Gクラスは高級サルーンの代用車になった」【『エンジン』蔵出しシリーズ／比較篇】

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ジープ・ラングラーとメルセデスG550の対決！

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回お送りするのは2019年2月号に掲載したジープ・ラングラーとメルセデス・ベンツGクラスの比較試乗の座談会だ。互いに軍用車を祖に持つ本格派4WDの人気モデルは、それぞれまったく違うゴールにたどりついていた。

生い立ちが似た2台

荒井　では、ジープ・ラングラーとメルセデスG550の対決です。まず、それぞれの歴史を振り返ってみると、似たような背景がある。ジープ・ラングラーの元祖は1941年にアメリカ陸軍の「世界中のあらゆる地形を走破できる小型で軽量な4輪駆動車を作る」というプロジェクトのもと、開発されたウィリス。一方、ドイツ語でオフロード車を意味するゲレンデヴァーゲンのGを取ったメルセデス・ベンツGクラスはNATO軍の軍用車として開発された。つまり、どちらも元々ミリタリー・ヴィークルとして生まれたものが民生用として姿を変えてきた。

新井　変えてきたと言っても、1979年に民生用として登場したGクラスのフルモデルチェンジは今回が初めて。39年ぶりにラダーフレームから新設計した。

荒井　ジープはシビリアン・ジープの頭文字を取ったCJ7が1976年に出てからは、ほぼ10年ごとにフルモデルチェンジをしている。最新型のJLモデルはCJ7から数えて4世代目となる。

齋藤　SUV満開の2018年に、この2台の新型がそろって上陸したのはトピックだよね。オシャレで、オンロードを重視したスポーティな最近のSUVの反対極にいる。

荒井　ウルスやステルヴィオはランボルギーニ初、アルファ・ロメオ初という形容詞が付くニューフェイスだけど、こっちはもうレジェンド。だから、変わらないことも大事というクルマだよね。G550のドアを閉めた時のキン！　という高周波の音や、走り始めた時にバシャッとドアロックされる音など、旧型とわざと同じにしてある。外観も含めて、変えてはいけないものをものすごくいっぱい持っている2台です。

スポーティなラングラー

新井　取材の後、新型ラングラーでSAに入ったら、たまたま先代と駐車場で並んだ。新型ラングラーはAピラーが寝ていて、ディテールを上手に変えてあると思った。リアはあまり変わってない。

荒井　旧型との大きな違いは新たに2リッター直4ターボがラインナップされたこと。

新井　FCAグループのアルファ・ロメオ・ジュリアやステルヴィオで採用されたエンジンです。

齋藤　あの2リッター直4ターボはディーゼルとガソリンの間をとったような、下からトルクのあるエンジンで、8段ATとの組み合わせも良いから、まったく不足を感じない。ジュリアでも、いいエンジンだなあって思ったけど、新型ラングラーに乗ってさらに強く感じた。

荒井　ボンネットを開けると、完全なフロント・ミドシップになっていたでしょ。山道を走ったら確かに鼻先が軽いと思った。

新井　そうそう。ライトウェイト・スポーツカーみたいだった。

齋藤　オフローダーとしては譲れないところなんだけど、フロントにものすごくホイール・ストロークのあるリジッド・アクスルを採用している。脚を柔らかくすると、オンロードではロールしただけでステアリングが切れちゃう。アクスル・ステアがガンガンでることになる。でも、新型ラングラーは軽く一般道とか高速道路を走っているような状況だと、ほとんどロールがない。ほぼ水平の移動。60年代のブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツカーみたいに、ステアリングを切るとスッ、スッと鼻先の向きが変わるクルマになっている。

新井　リジッド特有のチョロチョロした動きがまったくなくなったわけではないけれど、2世代前ぐらいと比べると夢のように真っ直ぐ走る。

齋藤　ライブ・アクスルを死守しながら、どれだけオンロードでちゃんと使えるものにするかっていうのは、僕らが想像する以上に考え抜かれた仕立てなんだと思う。基本ロールはさせない。スタビライザーで抑え込む。完全なフロント・ミドシップで、ロングノーズ。スポーツカーだよ。

円形のエアコン吹き出し口と丸いメーターが一列に並ぶシンプルなデザインのインパネは、人気が高かったモデルCJ7へのオマージュ