トヨタがジャパン・モビリティショー2023でお披露目した「ランドクルーザーSe」。70年以上の歴史を持つ日本を代表するクロスカントリー・タイプ(クロカン)、「ランドクルーザー」(ランクル)を名乗る電気自動車=バッテリーEV(BEV)のコンセプト・モデルだ。
ランドクルーザーの新しいカタチ
「ランドクルーザーの新たな魅力を拡大」するというランドクルーザーSe。完全電動化されたランドクルーザーの未来像を模索するモデルだが、これまでランクルが培ってきた伝統とは異なる意匠がいくつか見られる。

モノコック・ボディを初採用
ひとつ目はモノコック・ボディの採用だ。これまでフレーム構造を守ってきたランドクルーザーとしては革命的な変化と言っていいだろう。もっとも、フロアに敷き詰めたバッテリーを構造部材とするEVのシャシーはフレーム構造並みの堅牢性を確保できるのかもしれない。ちなみに、ランクルと並ぶ本格クロカンの雄である「レンジローバー」は2世代前からモノコックに転換している。
もうひとつ注目したいのは3050mmというホイールベースだ。ランクルは80系以降、オンロードとオフロードともに優れた走行性能をもたらす理想値として2850mmを維持しており、現行300系や先日ワールドプレミアされた「プラド」の後継的なモデルとなる最新の250系もこの数値を踏襲している。ホイールベースは対地障害角を左右し、悪路走破性に大きく影響する要素だが、床下の突起物をなくせるBEVでは、その数値も変化するのかもしれない。それによって、3列7座シート・レイアウトを持つキャビンは従来以上の居住性を実現することも期待できる。

ボディ・サイズは全長×全幅×全高=5150×1990×1705mmで、現行のランクル300比では全長が165mm長く、全幅が10mm広く、全高が220mm低い。エクステリアはルーフの低さがノーズの長さを強調し、伸びやかなシルエットで構成されている。フロントまわりやフェンダーの処理には300系に通じるテイストを見て取れるが、ルーフラインは後端が下がり、リア・ウインドウにはかなり傾斜が付いて、都会派SUV的なスマートなイメージを演出している。
モノコック化によりオンロードでの意のままに操るハンドリングとラフロードを安心して滑走できる走破性を追求したというランドクルーザーSeだが、BEVならではの静粛性と相まって快適性が向上することももちろん期待できる。次世代ランクルは高級クロカンとして、70系はもちろんのこと、300系や250系とも異なる新たな境地を切り開くことになりそうだ。

文=関 耕一郎
(ENGINE WEBオリジナル)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
いますぐ登録
会員の方はこちら