2023.12.10

CARS

「すべてが深い縁でつながっている!」 世界でたった8台のM8グランクーペ ・ワン・オブ・エイトやM1、3.0CSLなど、BMWクラブジャパン会長の貴重なコレクションから5台を公開!

左からアルピナ・ロードスター、3.0CSL、Z8。

全ての画像を見る
5台を選んだ

advertisement


さて今回細淵氏が保有するBMWの中から5台をお借りして撮影させてもらうことになったとき、そのクルマ選びは難しかった。

「どんなクルマをお持ちですか?」と尋ねても、「どんなクルマを撮影したいのか言ってください」という返事なので当方としては困ってしまう。リクエストを出せば、たいがいのBMWが出てきそうな雰囲気だ。筆者は細淵氏とは30年以上の家族ぐるみの長いお付き合いなので、だいたいの保有車を知っているが、それでも半分くらいかもしれない。「数えたことありますか?」と尋ねると、細淵氏は笑っていた。

そこで、今回はMモデルを中心に、普段はなかなか人目に触れないクルマを選ぶことにした。

下の写真のグリーンのセダンは、M8グランクーペ1OF8(ワン・オブ・エイト)と呼ばれる世界で8台だけの限定車だ。ヘッドライトを点灯するとスモールランプは黄色く光るコロナライトになり、キドニーグリル、グリーンハウスの枠、アルミホイールはすべてブロンズ・ゴールドだ。Bピラーには1OF8の文字が描かれている。

カスタマーとともに最高の1台を作り上げるというオーダーメイド・プログラム「BMWインディビジュアル・マニュファクチュール」で作り上げられた特別なクルマがM8グランクーペ1OF8だ。世界でわずか8人が手にすることができた。これは細淵氏仕様の個体である。

いくらお金があったとしてもこのモデルは買えない。それはBMWから「買いませんか?」と声をかけられなければならないからだ。その8人の中に日本人の細淵氏が入った。しかも8台が統一スペックで作られる予定なのに、細淵氏のオーダーで他の7台とは違う仕様になっているという。その一つがシート色でベージュだったものを細淵氏の拘りで黒色にし、サスペンションはMのオリジナルよりもしなやかでアルピナ風だという。

これはその前に7シリーズのフル・インディビジュアル仕様を注文した実績があり、そのときのサスペンション・データを参考に特別にセッティングしたのだそうだ。筆者のレベルでは考えられない究極の贅沢である。

漫画「サーキットの狼」世代にとっては、隼人ピーターソンの愛車を思い出す3.0CSL。思わずうなるほどの美しいスタイリングが特徴だ。Lはleicht(軽い)を意味し、軽量化が図られている。全長×全幅×全高=4630×1730×1370mm。ホイールベース=2625mm。車重=1270kg。


上の写真の美しいクーペは3.0CSL(1974)である。BMW2800CSをベースにアルピナの創立者であるブルカルト・ボーフェンジーペン氏の提案により、レースのために200kg以上軽量化したモデルをBMWがつくったものだ。スペックに拘らない細淵氏でも、このモデルに宿るサーキットでの走りの予感は、購入のきっかけになったはずだ。

赤色のZ1はアルピナ・ロードスターである。本来はボディサイドに貼られていたアルピナのデカールは、ちょっと似合わないという理由で剥がしている。外から見てアルピナと判別できるのはホイールだけだ。このクルマと細淵氏の思い出は、結婚式の二次会から新婚旅行に出かけるときに用意してあったクルマだと記憶している。「これは軽くて最高に運転が楽しい」と細淵氏は目を細めた。

アルピナ・ロードスターは1989年から3年間生産されたBMW Z1をベースにアルピナ社が改良を加えた限定66台のモデルとなる。直列6気筒エンジンは2.5リッターから2.7リッターへとアップされ、0-100km/hの加速は8.4秒から7.1秒に短縮、最高速度は228km/hをマークした。


下のブルーのZ8は今回の撮影のためにハードトップを外してもらった。クルマを傷つけずに安全に脱着するためにはハードトップの四隅を4人で持つ必要がある。今回の撮影場所はBMWディーラー、モトーレン埼玉の川口サービスセンターだったので、スタッフの方々に助けてもらった。こんなことも含めて細淵氏は古いBMWもディーラーで整備している。5台すべてが絶好調だったのもスタッフによる整備が行き届いているからだろう。

 Z8は1956年から3年間生産していた2座オープン、BMW507をモチーフにデザインされた。全長×全幅×全高=4400×1830×1317mm。ホイールベース=2505mm。車重=1585kg。


M1(1981)は1996年に購入したもの。実はM1をもう1台持っている。M1プロカーというF1の前座でワンメイク・レースを行ったレース仕様車で、ネルソン・ピケが使っていたものだ。1992年のM社30周年のイベント後に細淵氏の元に来た。レストアはM社が行ったという。今はミュンヘンのミュージアムにあり、イベントのときには貸し出しているのだそうだ。

細淵氏に「なぜたくさん買うのですか?」と質問したら予想外の答えが返ってきた。「向こうから来るのです」と。確かに1OF8もそうだし、1960年製の3200Sも小林彰太郎さん(故人)の仲介で手に入れている。クルマの方から細淵氏の元に集まっていると言うのだ!

細淵氏は学生時代にカヤックの合宿でミュンヘンに短期留学した。川でカヤックの練習をしていたが、その対岸にBMWのアッシュハイムのテスト・コースがあり下宿先の大家さんがその土地のオーナーでBMWに貸していたという。細淵氏とBMWは深い縁で結ばれているのだ。

文=こもだきよし 写真=茂呂幸正 取材協力=株式会社モトーレン埼玉


1は1976年、グループ4に参戦するためのホモロゲ・モデルとして開発がスタートした。ランボルギーニとの提携、決裂などの紆余曲折を経て1978年にデビューする。

(ENGINE2024年1月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement