いよいよ内部に潜入入口の行列に並んで、受付へ。入館料の確認で少々手間取ったが、オフィシャル・ウェブサイトからの支払い明細を見せてようやく館内へ入れた。エントランスの付近こそTシャツやミニカー、書籍などが売られており、明るくて今どきの、どこにでもあるシトロエン・ディーラーと、そんなに違いはないように見える。しかし、その先のミュージアム入口手前の展示のあたりから、恐ろしくディープな世界が広がっていた……。

おそらくコンセルヴァトワールが用意したのだろう。いちばん目立つところには、実車のシルバーのエグザンティア・アクティバが置かれていた。ミュージアム所蔵車両のようで、こちらは僕のリポート車と同じ前期型だ。「CITROEN XANTIA ACTIVA 1996」と書かれた黒い化粧プレートが付いている。

その手前に、なんとか両手で抱えられるくらいの大きさのエグザンティアのモックアップも展示されていた。おそらく開発当時、デザインの検討に用いられていたものだろう。しかもその下にはエグザンティア登場当時の、はじめて見る雑誌の記事やカタログが並べられている。

それによく見れば、そこかしこにあるガラスのショーケースの中の無数のミニカーの一番目立つところに、当然のようにエグザンティアが置いてある。当時のエグザンティアの広報資料やオフィシャル・フォトも、壁という壁に貼られていた。まいったな、これじゃ1つ1つ見ているだけで、あっという間に時間が過ぎて行ってしまう。

ちょっとトイレに行こうとすれば、そこにも過去の90周年イベントの時のディスプレイや、このコンセルヴァトワールの前身の、工場だった時代の写真などが並んでいた。
しかもこの日は特別で、どこに入るのもフリーだったようで、バックヤードの事務室まで(こっそりとだが)覗くこともできた。そこには資料用の車両外観写真や、クラシック・カー・イベントにコンセルヴァトワールが参加した時の写真や、数多くのトロフィーがきれいに飾られていた。
シルバーのアクティバの実車の前に戻ると、動画の収録だろうか、インタビューが行われていた。カメラを向けられているのは、アクティバ・クラブの代表、Thomas Beligne(トマ・ベリニエ)さんだ。実は彼とはこの時が初対面だったのだけれど、事前にSNSを通じてやりとりをしており、この催しに参加することは伝えていたので、すぐ僕に気がついて声をかけてくれた。

しかも彼はアクティバ・クラブのメンバーに僕が来ることを知らせ、エグザンティア・アクティバの助手席での体験試乗をセッティング。さらにイベント終了後、シャルル・ドゴール空港へ僕を送るためのクルマまで用意できるという。
ポーランドでもたくさん親切にしてもらったけれど、フランスでもこうしたうれしいサプライズをいくつも準備してくれたことには、本当に感謝しかない。趣味の世界に国境などない。同好の士とは、つくづくありがたいものだ。
もう1人の日本人訪問者この後にも、うれしい出会いがあった。背中から急に、日本語で呼びかけられたのだ。「あ、やっぱり、日本の方ですか?」という声の主は、渡邊 健(たける)さん。彼はこのときメルセデス・ベンツ日本の社員で、メルセデス・ベンツ・グループAGに出向中。アクティバ・クラブのイベントのことなどまったく知らず、たまたまこの日、ドイツからコンセルヴァトワールを訪問したのだという。

渡邊さんはプライベートでレースのお手伝いなどをしており、ラリーも大好きで、シトロエンのWRカーを見に来たんです、と教えてくれた。お目当てはセバスチャン・ローブの乗ったクサラなのだそうだ。
まさかここまで来て日本語でしゃべれるとは思わなかったので、ついつい話し込んでしまい、またしてもけっこうな時間が過ぎてしまった。気がつくと、アクティバ・クラブのメンバーの同伴者など、初めてコンセルヴァトワールに来る人向けに、ガイド・ツアーが始まろうとしていた。
そちらも気になったけれど、どうやらガイドはフランス語で行われるようだ。それにアクティバ・オーナーたちはすでに何度もここに来ているのだろう。お昼過ぎくらいまで駐車場で、クルマを前に語り合っている人が多いらしい。

そこで僕はもう1度駐車場に戻り、たくさんのエグザンティア乗りたちに声をかけてみることにした。コンセルヴァトワールの本来の目玉である展示車両もいち早く見てみたかったけれど、それと同じくらい、アクティバのオーナーたちがどんな人なのか、さっきの怪しい赤いスポーツカーは何なのか、知りたくてたまらなかったからだ。
さて次回の番外篇では、謎のスポーツカーの正体や、3リットルV6ユニットと5段MTを搭載する、いわば最も豪華でいちばん速いエグザンティア・アクティバへの同乗試乗の模様や、様々なエグザンティア・オーナーの声を紹介していく。
また、もちろんコンセルヴァトワール内部の膨大なシトロエン・コレクションの紹介と、秘密のバックヤードへの潜入リポートもお届けする。さらには今回のイベントの目玉の、かつてのエグザンティアの開発者たちが登壇する、スペシャル・プレゼンテーションについてもご報告していきたいと思う。
文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)
■CITROEN XANTIA V-SX シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2022年9月時点までの支払い総額は232万336円)
導入時期 2021年6月
走行距離 16万5626km(購入時15万8970km)
(ENGINE WEBオリジナル)
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