2024.02.27

CARS

実はこれが一番ワイルドかも! 商用車っぽいロング・ボディのディフェンダー、130の“アウトバウンド”にあえて都心で乗ってみた!!

ロング・ボディのディフェンダー、130の“アウトバウンド”

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新しいパワートレイン、特にゲレンデヴァーゲンの対抗として投入された5リッターV8に注目が集まっているディフェンダーの2024年モデル。しかし既存のエンジン搭載車の中にも、キラリと光る1台があった。エンジン編集部のウエダがリポートする。

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ロング・ボディの130の“アウトバウンド”

東京・竹芝の浜離宮を見下ろす新しいホテルを起点に、ランドローバー・ディフェンダーの試乗会が催された。2024年モデルで加わった新エンジンや、これまでなかった車体とパワーユニットの組み合わせに乗りたい、とお願いしたのだけれど、一足遅かった。標準ボディの110とショート・ボディの90に加わった、迫力あるエグゾースト・ノートを轟かせる5リッター V8も、90に追加された待望の3リッターディーゼルも、全部出払っていたのだ。でも「もう1つ新しいグレードがあります」と渡された鍵を手にエントランスへ行くと、ロング・ボディの130の“アウトバウンド”が僕を待っていた。



ディフェンダーの座席数は3ドアの90が2+3で5座、5ドアの110と130が2+3+2の7座と2+3+3の8座だ。だがアウトバウンドは特別で、130ベースなのに3列目席がなく、2+3の5座である。元々110と130の3列目席は床下収納式だから、座席がない分70kg軽いだけで、荷室の広さ自体は普通の130と同じ。ただしラバーのマットが敷かれ、リア・クオーターもガラスからパネルとし、アウトドア用品などを気軽に放り込めるようになっている。いわばディフェンダーの持つ道具感をより強調したのがアウトバウンド。英国ではコマーシャル・カー向けに同じパネル付きのハードトップ仕様もあるが、試乗車は角度によりマットにも見えるグレーの車体色のおかげか、商用車的な愛らしさとは無縁な、都心が似合うクールな装いだ。



130のインテリアの仕立てに2024年モデル特有の大きな変更カ所はない。アウトバウンドのラゲッジ・スペースは2列目使用時でも1329リッター、背面を倒すと最大で2516リッターを確保する。価格は1196万円。

混み合う街中で130に乗るのははじめてだったが、見切りが良く取り回しがし易いのには感心した。1995mmと、ほぼ2mもの車幅がさほど気にならない。車体の四隅やタイヤの位置をすぐ把握できるからだ。前半部が同じ90や110でもそうだけど、全長5275mmもある130だと長さ方向にも気遣いが必要だから、本当にありがたい。基本、この車両感覚はランドローバー車すべてに通ずるものだが、ディフェンダーの水平基調の内外デザインが、より車線や路肩との距離感を認知しやすくしている。

ややスローで重めだが、反応が的確な操舵感もそれを後押しする。130は3リッターマイルドハイブリッド・ディーゼルのみの設定だが、機敏すぎず、少しゆったりしたリズムで車体をぐっと押し出すこのエンジンのキャラクターも、見事に合っている。大きく重いものを動かしていることはしっかり伝えつつも、ちゃんと自在感があるのはスゴイ。



レインボーブリッジを渡りお台場へ。荒路での身のこなしを重視しストロークを取っているサスペンションの動きは大きめで、ひときわデカい130は速度を上げると少々落ち着きのないそぶりを見せる。けれど、挙動自体は自然で予測の範疇にあるから、怖さを感じるほどじゃない。タイヤのゴツゴツ感もけっこう伝わってくる。だからむしろ懐深い優しい乗り心地を味わえる速度で、ゆったり鷹揚な気分で走りたくなる。50~60km/hくらいで流れに乗るのが、とにかく気持ちがイイ。

駐車場など絶対的なサイズだけは難しい点もあると思うけれど、そこさえクリアできるのなら、実はディフェンダー130のアウトバウンドは、毎日を共にできる快適で優れた実用車である。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人



(ENGINE2024年4月号)

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