2024.05.11

CARS

ルノー・モデュスって、知ってますか? かかった手間もお金も「ちょっと古いマイナー車好きの宿命」と笑い飛ばすオーナーのクルマの愛し方とは?

正規輸入はかなわなかったルノー・モデュスとオーナーの柴田さん。

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中古車は一期一会

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その後、柴田さんとモデュスに運命的な出会いが訪れる。2019年のことだ。いきつけの店にルーテシアRSのオイル交換で訪れたところ「下取りで入ったばかりのモデュスがいたんです! まだ売るかどうかも決まっていないとのことでしたが、こういう中古車は一期一会ですから“ここで決めないと!”と思いました」と柴田さん。店主と話してみると「(当時乗っていた)3代目ルーテシアの5ドアを下取らせてくれるなら、コミコミでこれくらい」との答えだった。

それは柴田さんも納得の条件だったそうで、お店の人に「昼食を食べている間だけ考えさせてほしい」と伝え、実際に午後イチに購入を決めた。まさに一期一会。「こういうマイナー車に乗るには、思い入れの強い店主と仲良くなって“こいつになら売ってもいいな”と思ってもらうまでが勝負」と柴田さんは笑う。

こうして積年の思いをかなえた柴田さんのモデュス評は「これは小さな高級車ですね。新車当時の値段が高かったのも理解できます」というものだ。実際に目にするモデュスは写真で想像するより小さい。それもそのはず、3790mmという全長は同世代の3代目ルーテシアより約20cmも短いのだ。それでいて「それまで乗っていたルーテシアより、乗り心地が重厚で優しい。内装の質感はまったく高くない(笑)ですけど、乗り味はまったくヒョコヒョコせず、フラットで高級」という。

ポップだがシンプルなインテリア。SUVが猛威をふるう前夜の(エスパスやセニックなどの)MPVで鳴らしていた時代のルノーだからか、リア・ゲート以外にも室内装備はアイデア満載。



柴田さんのモデュスは初期型で、すでに20年選手。走行距離も年式のわりには少ないが、それでも11万km以上に達している。なのに、いまだ新車当時の雰囲気をたたえているのは「ボディは磨きをやってもらって、あとはモールとライト類だけ新品に換えています」という柴田さんのツボを得た手直しのおかげだ。

柴田さんのモデュス最大のピンチは2022年。国道一号線のど真ん中で1.6リッターガソリン・エンジンが止まってしまった。プーリーの破損をきっかけに補機ベルトが暴れ、クランクに絡まって、バルブがクラッシュしてしまったのだという。最終的にはヘッドはオーバーホールとなり、部品調達に時間がかかったこともあって、期間にして約1年間不動に。修復の費用もモデュスの購入価格に匹敵するほどだったというが「もともと本当に欲しかったクルマですし、それまでも手をかけていましたから、躊躇はありませんでした」と柴田さんはまったくもって涼しい顔だ。

というわけで、現在のモデュスは絶好調。フランス車やルノー系のイベントから休日の買い出し、ご両親を乗せて食事に出かけるなど、柴田さんの手足となって走り回る日々だという。「もとはスポーティなクリオRSを温存するためのアシグルマとして買ったんですけど、モデュスのほうがはるかに手間も養育費もかかっています。まあ、これも、ちょっと古いマイナー車好きの宿命ですかね」と笑い飛ばす柴田さんである。

文=佐野弘宗 写真=山田真人 撮影協力=オートファクトリー

3.8mを切る小さなボディに機能を詰め込んだモデュスは、実に才気あふれるクルマだった。

(ENGINE2024年5月号)

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