2024.06.08

CARS

オープン・エアの世界が人生を変えた! オースティン・ヒーリー・スプライトに乗るオーナーの原点は、小学4年生で助手席に乗ったMGミジェットだった

オースティン・ヒーリー・スプライト・マークIIIとオーナーの奥村さん。

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長野・上諏訪駅近くで、早朝からあたりに食欲をそそる香りを漂わせている太養パン店。その三代目はパンづくりが一段落するとオープン・エアを味わうべく、近くの峠道へ愛車で通っている。

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名物のサバサンド

時間がわずかでも空くと、今のうちに食べてしまおうかな、と何度も考えた。それほど、ときおり漂ってくる美味しそうなパンの香りの誘惑は、抗い難いものだった。

熟練の職人の手が産み出すパンはいずれも美味だが、中でも長野県産小麦“ゆめかおり”を100%使用した全粒粉のカンパーニュや鯖の半身がまるごと入ったサバサンドは遠方からも足を運ぶ価値あり。

長野県諏訪市にある太養パン店の三代目、奥村 透さんを待ちながら、僕はずっとここの名物のサバサンドのことを考えていた。まだ朝早く、あたりは霧がかかり薄暗いのに、店の入口には行列ができている。到着と同時になんとか2つ確保したが、みるみるうちにショーケースからサバサンドが消えていく。

旧いロータス・エランやオリジナル・ミニに乗る気心の知れた友人たちと、店先で出す珈琲の相談に行っていた透さんが戻ってきたのは、その直後だった。挨拶も早々に急きょ珈琲の試飲会にお邪魔することになり、そうこうしているうちに雲が晴れ、青空と太陽が顔を覗かせた。

4匹の愛犬の名は左からグラフ、ネロ、ロッソ、チッチ。

透さんに愛車、オースティン・ヒーリー・スプライト・マークIIIを車庫から引っ張り出してもらい、急ぎ撮影に向かう。いつしか僕の頭から、サバサンドのことは遠ざかっていた。なにせ目の前を行く彼のスプライトの身のこなしが、驚くほど機敏で、心躍るものだったからだ。

「もう、ここからすぐに峠道ですから。たぶん30分もかからないかな」

彼の言葉通り、信号を2回曲がって集落を過ぎると、そこはもう車山高原へ繋がるビーナスラインの入口だった。スプライトは小さく愛らしい姿からは想像できないくらい勇ましいエグゾースト・ノートを轟かせ、急勾配を一気に駆け上がっていく!

一見佇まいはオリジナル然としておりウッドのステアリング・ホイールや太めのロールケージくらいしか変更がないように見えるが、実はエンジンを中心に相当に手が加えられている。

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