2024.07.17

CARS

アマチュアだけど、フォーミュラ・カーでレースをしてみたい! そんな夢を実践するカッコいいオヤジたち!!

夫婦で、家族で、そして仲間と真剣に、そして和気藹々と楽しむのがヒストリックカー・レースの醍醐味。

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エンスーが行き着く場所

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HFRには、細かな車両規定の前に「ジェントルマンであること」という、唯一の会則にして何よりも優先する行動規範が定められているのだが、その真意をクラブの代表である小林大樹さんはこう話す。「こんな時代に、こんな危険なヒストリック・フォーミュラで仲間たちとレースごっこができるということ自体が奇跡的であると思うんです。だから、先輩たちが作り上げたこのような場をこれからも維持してゆく責任がある。今いるメンバーも、そのことを十二分に理解しあった仲間だからこそ、素晴らしいクラブが続いていると思います」



快晴に恵まれた4月14日にJCCA筑波ミーティングの中で行われたHFRのレースは、まさにその精神がよく現れていた。

朝早くからパドックに整然と並べられたマシンは、どれもピカピカに磨かれ、半世紀以上前のレーシング・カーとは思えないコンディション。またパドックの雰囲気はレースとは思えないほど和やかで、マシンの周りやテントの下では、皆がメカニックや家族を交えて談笑している。

そんな空気が一変するのは、予選が始まる瞬間だ。それぞれがコクピットに身を沈めると、迫力あるエグゾースト・ノートとともに1台ずつコースインしていく。



小林さんの言うとおり、細いパイプ・フレームのシャシーにFRPのカウルを被せただけのヒストリック・フォーミュラ・カーは、万が一何かあれば怪我では済まない可能性もある危険な乗り物だ。にもかかわらずコース・サイドから安心して予選を攻める姿を見ていられるのは、各々が十分なスペースを取り、良くミラーを確認し、オーバーテイクする時にはお互いにアイコンタクトを取るなど、物理的にも精神的にもマージンを取っているからだろう。

そして走行が終われば、お互いの健闘を讃え、調子を崩したマシンがあれば皆でパーツや工具を持ち寄ったりして、なんとか走れるようにしようと奮闘する。

そうしたスタンスは決勝レースでも同じ。お互いの動きを良く見つつ、攻めるべきは攻め、守るべきは守る。本気だけど、決して無理はしないクリーンで迫力のあるバトルは見応え十分。さすがは様々なカテゴリーで腕を磨いてきたベテランの妙技といったところだ。

「速く走る必要も、ましてや勝つ必要もない。自分だけの気持ち良さを考えるんじゃなく、周りと楽しんで安全に走れる人。そういう分別のある人たちでやっているからこそ、長く続けられるのだと思います」

と小林さんも話すとおり、経験のあるドライバーであれば、ヒストリック・フォーミュラ・カーはそんなに敷居の高い世界ではない。むしろ酸いも甘いも知り尽くしたエンスー諸氏が辿り着く場所としては、悪くない選択肢といえる。ただ、唯一にして最大の問題は世界的なブームのおかげで、なかなか良い売り物が見つからないことだが……。

文=藤原よしお 写真=望月浩彦

◆藤原さんが、葉巻型のヒストリック・フォーミュラを愉しむエンスージアストたちにインタビューした記事はこちら!

(ENGINE2024年7月号)

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