BMWアルピナB4 GTグランクーペAWDとアルピナB3 GT&ツーリングにドイツで試乗。
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ロング・ドライブ向け 最初にドライブしたのはB3 GTだった。加速は強烈だが、姿勢変化がうまく抑えられており、冷静にドライブできる。アルピナの人たちが言っていた「心拍数を上げないクルマ、リラックスしてドライブできるクルマ」とはまさにこのことだろう。
一方スキール音が鳴るくらいのペースで走らせても、AWDによるトラクション性能の高さも手伝い、集中力を高めてドライビングしなくても、ほぼほぼ狙ったラインに乗ってくれる。アルピナは本来サーキットよりハイスピードのロング・ドライブ向け。GTの名にふさわしい、まさにその完成形といえる出来栄えだったのである。

次いで試したB3 GTツーリングで驚かされたのは、ボディ形状に由来する違和感のなさだった。ツーリングはリムジンとセッティングが異なるスプリングとダンパーを用いているが、それでも走りの印象がほぼ一致しているのには驚かされた。ちなみに今回、アルピナ専用開発のピレリ採用はB3、B4から継続となったが、アルピナ担当のピレリのエンジニアに訊くと「アルピナ用は前後とも、同サイズの市販品に比べかなりスペシャル。新型でも確認は行いました」という答えだった。
一方B4 GTはボディ形状の違いだけと思ってしまいがちだが、実際は違う。リムジンよりフロアの剛性が強いグランクーペの特性を活かし、よりハードなスプリングとダンパー、そしてB5用のキャパシティの大きなタイヤ・セットを装着し、より機動性の高いモデルに仕上げているという。

特にリア・タイヤはB3 GTの265幅に対し285と幅が広く、ドライブ・フィールも異なっていた。AWDらしいスタビリティを前面に押し出すB3 GTに対し、ハイペースで走らせたB4 GTは駆動力の多くが後輪に掛かっている感じがして“スロットルで操りたくなる”1台だった。
エンジンの34ps増しを感知することは難しいし、アルピナらしくパワー・カーブが尖っているわけでもない。だからこそ乗り手を選ぶことなく“思ったよりスピードが出ている!”という歴代アルピナに共通するキャラクターに落ち着くのである。
ご存じのようにアルピナは2025年末で商標をBMWに譲渡することが決定している。そこでアンドレアス・ボーフェンジーペン社長に「これがアルピナのファイナル・モデルですか?」と聞いてみると、「アルピナはこれからも続きますよ(それは25年以降はBMWが継続するという意味だろう)。でも我々は次の車両の開発は特に行っていません」との答え。今回の3台はブッフローエの職人たちが考証を重ねて仕上げた、アルピナ・モデルの最終ということで間違いなさそうだ。
文=吉田拓生 写真=アルピナ

■BMWアルピナB4 GTグランクーペAWD
駆動方式 フロント縦置エンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4800×1850×1440mm
ホイールベース 2856mm
車両重量 1965kg
エンジン形式 水冷直列6気筒DOHCツインターボ
排気量 2993cc
ボア×ストローク 84×90mm
最高出力 529ps/6250-6500rpm
最大トルク 730Nm/2500-4500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション (前)マクファーソンストラット+コイル
(後)マルチリンク+コイル
タイヤ・サイズ(前/後)2 55/35ZR20/285/30ZR20
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
車両本体価格 1660万円
(ENGINEWebオリジナル)
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