2024.07.11

CARS

【最新マセラティ3モデル試乗:後篇】 グラントゥーリズモの完成度は凄まじい! 速度域のスイートスポットはMC20チェロより上 これぞGTカーだ!!

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ、MC20チェロ、グレカーレ・モデナの3台にモータージャーナリストの西川淳さんとエンジン編集部員が試乗した。

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そこにイタリア車があるだけで、まわりの空気がパッと華やいで、テンションが上がる。マセラティはそんなイタリア車のなかでもとびきり華やかさがあるブランド。人の心を惹きつけるオーラは特別なものがある。今回はある意味マセラティの今を象徴する最新のスーパー・スポーツカー、MC20チェロとGTカーのグラントゥーリズモと、そしてSUVのグレカーレにモータージャーナリストの西川淳氏とエンジン編集部の面々が試乗して、マセラティ独特の魅力を探るシリーズの後篇。前篇のMC20チェロに続いてグラントゥーリズモとグレカーレのインプレッション座談会をお送りする。◆前篇から読む場合はこちら!

自分たちのルーツの1つ

村山 グラントゥーリズモは75周年記念車だそうですが、何の75周年ですか? 創業は1914年だから今年は110年目ですし。

試乗車は75周年記念車で、専用のマット・ペイントや前20後21インチのホイールをはじめエアベントやエンブレム、スティッチなど各部に赤を配した特別仕様。なお標準モデルの価格は2980万円~。


上田 本国の発表は一昨年だから、2022年の75年前は1947年。つまりこの年に登場した戦後初の市販ロードカー、A6ピニンファリーナの登場から75周年、ということだね。

村上 まさに名車中の名車で、当時としてはすごくかっこいいGTカーだった。フェンダーに付く3連のサイドベントは、後のマセラティにも延々受け継がれていくんだよ。

上田 その後のA6GCSベルリネッタの楕円グリルが、先代と現行型のグラントゥーリズモの顔つきのモチーフになっていきます。

西川 このA6GCSでマセラティは確信犯的にアグレッシブかつエレガントな個性を出しはじめた。



村上 ピニンファリーナはこの後フェラーリと蜜月になって、長くマセラティのスタイリングに関わらなかったけれど、5代目のクアトロポルテや先代のグラントゥーリズモで再び手を組むことになる。

西川 現行型は古のラグジュアリーGTを、再び新しいグラントゥーリズモで表現しようとしたわけです。

村上 ローマの人々が、何かあるとギリシャの文化を学んで自分たちに繋がる文化の源流を研究したように、マセラティも過去に学んだ。自分たちのルーツがどこにあるのか。その1つは間違いなく伊達なGTカーにある。それにしても先代も現行型も、このグリルの押し出しの強いこと。アクが強いよね。

西川 どうだ! って感じですよね。まったく日和っていない。



村上 先代を手がけたのはピニンファリーナにいたケン奥山さんだけど、まさしくイタリアのクルマになっていた。現行型もそうだよね。

西川 MC20チェロとグラントゥーリズモの2台とも東京~京都を往復したんですが、最初はチェロって素晴らしいGTカーだな、と思ったんですよ。でも、グラントゥーリズモの完成度はさらに凄まじくて、速度域のスイートスポットは全然上。チェロがアウトストラーダが基準としたら、グラントゥーリズモは完全にアウトバーンの領域。チェロの方が日本の道路でリラックスできる速度域に合っている。

村上 イタリアの伊達男の見た目からは想像できない秀才なクルマだ。なにしろ、いかにも後輪駆動みたいなプロポーションなのに4輪駆動。

グラントゥーリズモの日本仕様のラインナップはまず3リッターV6ターボのネットゥーノ・ユニットを搭載する内燃エンジン車のトロフェオ(550ps仕様)とモデナ(490ps仕様)が設定されており、遅れて3基のモーターを搭載するBEVのフォルゴーレ(761ps仕様)も投入される予定だ。


西川 ホントによくできているんですよ。ステアリングを操作しているときはまとわりつく感じだとか、意識させる手応えはない。でも加速しているときだとか、すっと前から引っ張っている独特の感覚がある。

村上 普通に走っていたら4輪駆動とは気がつかないかもね。サーキットでもほとんど感じなかった。

西川 5m近いロングノーズのGTカーに乗っていると思えないくらいクルマが小さく感じて乗りやすい。

村上 秀才なクルマになったなぁ、と思ったのは、車体の剛性感の凄さも理由の1つかな。

西川 確かに、ちょっと前のイタリア車はシルクのスリッパみたいなところがあった。見た目と肌触りは最高だけど履くと……(笑)。BEV版とシャシー共有のいい影響だと思う。

村上 もう中身はドイツ車もかくや、というクルマになった。なんだけど、感覚的には伊達男感もある。

西川 峠道だと、スリリングだけど安心して走れる感じ。

村上 かつての3200GTなんかは本当にスリリングだったけど。

西川 姿勢制御が自然にすごく効いているので、スリルを感じつつも、安心して踏んでいけますよ。

村上 それでも、ステアリングやペダルの感触には鋭さがあるよね。

リトラクタブル・トップは12秒で開閉。50km/h以下で作動。


荒井 クルマの立ち位置としてはラグジュアリーなGTのはずなのに、僕は走行モードをどんどんハードな方にしたくなりましたね。逆にMC20チェロは肩の力が抜けている。

西川 そこもすごくイタリア車っぽい。スーパー・スポーツカー系はもうスタイリングだけで圧倒されるんですけど、GTカーやSUVでも、乗ると気分を高揚させるものがある。運転に自信がない? いやそんなことをいわずに試してみろよ、って煽ってくるものがある。むやみに人を信じているところがあって、人間くさくて、イタリア人っぽい。

村山 ラグジュアリーとスポーツの間のグラデーション部分が広く感じました。同じイタリア車でも、アルファ・ロメオのジュリアは激しいと、もっと激しい、みたいに振り幅が狭い。グラントゥーリズモは広い。

西川 人に甘いんですよ。

村上 西川さんとイタリアの国際試乗会で乗ったBEV版のフォルゴーレも、乗り味は内燃エンジン車とそっくり。すごくよくできている。

西川 ラグジュアリーなGTとして、こっちもアリかな、と思わせるものになっていましたね。

村上 けっこう穏やかな、大人ですから、という味つけだったよね。

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