シボレー・コルベット・コンバーチブルにモータージャーナリストの九島さんが試乗。
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音を楽しむ 8世代目となる現行型コルベット・コンバーチブルに話を進めよう。 日本で売られるコルベットには2つのグレード、クーペと今回の主役コンバーチブルがある。どれも右ハンドルというのがイマドキっぽい。エンジンはすべて同じ6・2リッターV8で最高出力は502psを発揮する。ミッドシップになってもリンケージを持つOHVというのがミソだ。リトラクタブル・ヘッドライトでなくなっても、FRでなくなっても、この方式は継続される。
で、このエンジンの音を身近に感じられるのがコンバーチブルの魅力だったりもする。ドライバーズ・シートはまさに特等席で、ドライブ・モードをツーリングからスポーツに変えると、迫力のサウンドが耳に飛び込んでくる。クルマ好きがワクワクする瞬間だ。不必要にパドルシフトを操作し、加速音やブリッピング音を楽しむ。特にトンネル内では最高。今回は東京湾アクアラインを通ったので、少しばかりそれを楽しませてもらった。うん、低音から高音までかなりいい。そのサウンドがトンネル内に響き渡ると、気のせいか詰まっていた車線の流れが良くなった気がした。南カリフォルニア 東京から東京湾を渡って千葉に向かったのは海を見に行ったからだ。コルベット・コンバーチブルのステアリングを握ると、きっと多くのドライバーが同じ行動をするだろう。海のそばにクルマを置いて一休み。そんな気分にさせる。
この行動に駆り立てられるのは、やはりコルベットがアメリカ製だからではないだろうか。歴代モデルの走っているシーンを想像してもコースト・ラインが頭に浮かぶ。言うなればカリフォルニアのイメージ。サンフランシスコよりもサンディエゴあたり。南カリフォルニアの方が似合う気がする。具体的にいえば、海岸線のエスタブリッシュした人向けの高級リゾート・ホテルのエントランスがこのクルマにはマッチする。季節は人で賑わう夏よりも冬。コルベットも8代目となり熟成したことを鑑みると、大人感が強い。シーズン・オフの海がしっくりきそうだ。 風の巻き込みがほとんど感じられないこのクルマなら助手席からのクレームはないはず。サイド・ウィンドウはもちろん、リア・ウィンドウを上げると後方からの巻き込みがシャット・アウトされる。あとはシート・ヒーターを入れてエアコンを調整すれば寒さ対策は問題なし。ボマージャケットだと暑すぎて汗をかきそうだ。汗をかいて冷たい風にあたると風邪をひいてしまうのでこまめなエアコンの温度調整をお忘れなく。 といったコルベット・コンバーチブルの冬の海ドライブだが、このクルマの最大の魅力は気軽さかもしれない。スタイリングはイタリアや英国のスーパーカーと類似してもどこかアメリカ車ならではのカジュアルさがある。だから気軽に海まで走りたくもなるのだろう。一見複雑に見える操作系もシンプルだし、乗り心地も悪くない。それに何たって価格が割安。このパフォーマンスと装備でヨーロッパ車の同カテゴリーと比べると半額に近い。ここ狙いの人には最大のメリットだ。かつては低かったコルベットのリセール・バリューも今や高値。コルベット・コンバーチブルに死角なしである。文=九島辰也 写真=郡 大二郎■シボレー・コルベット・コンバーチブル駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4630×1940×1220mmホイールベース 2725mm車両重量 1700kgエンジン形式 V型8気筒OHV総排気量 6153cc最高出力 502ps/6450rpm最大トルク 637Nm/5150rpm変速機 8段自動MTサスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/コイルブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前) 245/35ZR19タイヤ(後) 305/30ZR20車両本体価格 1800万円(ENGINE2025年1月号)
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