2025.06.26

CARS

免許を取るのにこんな教習車があったら最適か!? ホンダ・アコードの高度運転支援システムを体験

教習所のような運転もしてくれるハンズオフ・モード。

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ハンズオフ機能を有効にすると、高精度地図と全球測位衛星システムを活用した運転に切り替わる。あくまでも運転支援システム(自動運転レベル2+)であるため、作動中もドライバーは気を抜くことができない。

ハンズオフ可能を示すブルーのステアリングインジケーター

また、中央のモニターの下に埋め込まれているドライバー・モニタリング・カメラにより、ドライバーの顔の向きや目の開き具合を確認しており、脇見運転や体調不良による運転の継続が困難とシステムが判断すると、警告がされる。

なお、ドライバー・モニタリング・システムは、色が濃すぎないサングラスや髪で片目しかカメラで確認できない場合であっても正常に機能する。

ハンズオフ走行中

ちなみに、ドライバー・モニタリング・システムの警告を無視し続けると、ハザード・ランプとホーンを鳴らしながら減速し、同一車線内で停止する。その後、緊急通報もするとのことだが、今回の試乗ではここまでのテストはできなかった。

イレギュラーな事態が発生すればドライバーの介入が必要

試乗中、道路工事のため一車線が規制されている状況となった。このとき、システムがドライバーに操作を行うよう警告。高度な運転支援であっても、工事をはじめとするイレギュラーな事態に対応するのは難しいのだろう。現場を過ぎると、再びハンズオフ機能が利用できるようになった。

警告時のメーター表示とステアリングインジケーター

Honda SENSING 360+は、明るさが急激に変化するトンネルに入っても機能し続けた。加えて、取材の数日前はドシャ降りだったらしいが、雨天でも正常に作動するそうだ。

開発陣に「システムが作動しない条件はあるりますか?」と聞いてみたところ「センサーに雪などが付着すると作動しません」とのこと。

これが教習車になったら指導員も生徒もうれしい

グーグル・マップとの連携により分岐が近づいたり、前方を走行する速度の遅いクルマがいるときは、”レコメンド型車線変更支援機能”により、進路変更を提案してくれる。

システムからの車線変更のレコメンドは、メーター内に提案画面が表示されたタイミングで、素早くステアリング右下の承認ボタンを押さなければならない。

進路変更を提案した際のメーター表示

このタイミングを逃すと、再びシステムによる安全確認を要する。よって、目的地を設定している状態でシステムを使用する際は、経路通りに進路変更を提案をしてくれるかチェックする必要がある。

なお、車線変更をする際はハンズオフ状態では動作せず、ステアリングを保持(といっても触っているだけだが)する必要がある。

承認ボタンを押すタイミング、車線変更時のステアリング保持など、高度運転支援システム「Honda SENSING 360+」の操作は、慣れるまでに時間がかかるだろう。

とはいえこの高度運転支援システムの車線変更の動きそのものは、非常にスムーズだ。かつ、ストレスや違和感もない。元指定自動車教習所の指導員の筆者は思わず「教習で使えるほどのスムーズさだな」と感じた。

実際の教習では、指導員が教習生に「ハンドル操作は少しだけ」や「ちょっとだけハンドル操作して進路を徐々に変える」など、言葉で運転の指導をする。

前方車両追い越しレコメンド機能設定画面

しかし「少し」や「ちょっと」という言葉の感覚は人によって異なるため、指導員が理想とするハンドル操作をできないということもよくある。そのような指導員と教習生の感覚の差を埋めてくれるほど、高い精度で車線を変更してくれるのだ。

さらに、同一車線内でわずかに左寄りを走行したり、大型車両が接近してきたときに少しだけ距離をとったりするなど、教習時に教える理想的な走行や、ドライバーが無意識にやっている動作をさりげなく行ってくれるのも、Honda SENSING 360+の特徴だ。

トンネル内をハンズオフで走行する場面

一定の条件下でしか使用できないとはいえ、Honda SENSING 360+は、教習所で教えている運転を再現してくれる運転支援システムといえるだろう。運転の感覚を掴む、という意味で有効に活用するのもよいのかもしれない、と筆者は感じた。

肉体的疲労と精神的疲労を軽減できるシステム

国内モデル初搭載となる高度運転支援システムの「Honda SENSING 360+」は、高速道路における運転感覚をつかむのに最適な機能となる可能性があることに加え、長距離・長時間の運転をするドライバーにもおすすめの機能だ。

ホンダ アコード e:HEV Honda SENSING 360+

先述したとおり、アメリカ市場をメインターゲットのアコードは、ゆったりと座れるシートや広い室内空間など“ゆとり”があるため、サルーンとしては長時間乗車でも疲れにくい。

加えて、高度運転支援システムのHonda SENSING 360+が組み合わされているアコードであれば、従来の追従機能に加え、車線変更までもゆだねることができ、肉体的・身体的疲労の軽減に繋がるだろう。

ゆったり着座できるフロントシート

ただし、先進的でスムーズな制御の「Honda SENSING 360+」は、あくまでもドライバーをサポートする機能であることを忘れてはならない。ここまで“自動運転”という言葉をあえて使ってこなかったのも、システムの過信による事故等を防ぐためだ。

また、システムを使いこなすには慣れも必要となる。Honda SENSING 360+が搭載されているアコードを検討していて、購入後に高度運転支援システムを頻繁に利用する可能性が高い場合は、試乗の際に高速道路で実力を体験してみることをおすすめする。

ACCORDエンブレム

■ホンダ・アコードe:HEV Honda SENSING 360+
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4975mm×1860mm×1450mm
ホイールベース 2830mm
トレッド(前/後) 1590/1615mm 
車両重量 1580kg
パワートレイン形式 水冷直列4気筒DOHC+2モーター
総排気量/ボア×ストローク 1993cc/81×96.7mm
最高出力 エンジン(モーター) 147ps/6100rpm(184ps/5000-8000rpm)  
最大トルク エンジン(モーター) 18.6kgm/4500rpm(34.2kgm/0-2000rpm)  
変速機 電気式無段変速機
サスペンション(前/後) マクファーソン・ストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 235/45R18
車両本体価格 599万9400円(e:HEVとの価格差=40万400円)

文=齊藤優太(ENGINE編集部) 写真=山田真人

(ENGINE Webオリジナル)
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