英「ベントレー」の誇るビスポーク部門である「マリナー」が、日本のためだけに特別な10台を仕立てた。その名は「ベンテイガ・サムシング・ブルー・コレクション」という。
ブレーキ・キャリパーまで白く染めるこだわり
東京・六本木ヒルズの大屋根プラザで目の当たりにしたその純白の「ベンテイガ」は、2月ということもあり、また建物の影で日差しは弱まっているはずなのに、まるで輝いているかのようだった。外装色の名は“アイス”というそうだが、透明感のある、どこか青磁器のような艶やかさも感じられる。

ベースとなるのは最高出力550ps、最大トルク770Nmを発揮する4リットルV8ユニットを搭載した「ベンテイガV8」。ベントレー・ジャパンのブランド・ダイレクターである遠藤克之輔氏によれば、就任時から、新たに日本に限定したモデルを必ず出したい、という思いがあったそうだ。
その提案を受け、英「ベントレー」側が掲げたのが、花嫁の幸せを願うサムシング・フォーという言葉。かの国に昔から伝わる、結婚式当日に花嫁が「何か古いもの」「何か新しいもの」「何か借りたもの」、そして「何か青いもの」の4つを身につけると、一生幸せになれるという、いわばおまじないである。なお同社のビスポークを手がける「マリナー」に2人在籍するうちの1人の女性のデザイナーと、このプロジェクトは進められたそうである。

この美しい言い伝えをもとに仕立てられたのが10台だけの「ベンテイガ・サムシング・ブルー・コレクション・バイ・マリナー」である。そこには、過酷なビジネスや日常を戦う現代女性の心に寄り添う、いわば最高にラグジュアリーなプロテクティブ・チャーム、幸運のおまもりのようになって欲しい、という願いが込められている。

ボディ・カラーに選ばれた“アイス(Ice)”は、北極の氷河を思わせる透明感に満ちたメタリック・ホワイト。驚くべきことに、通常なら黒や赤でその存在を主張するブレーキ・キャリパーまでが、一点の曇りもなくボディと同色にペイントされている。こうしたどこまでも隙のない「マリナー」による統一感が、巨大で迫力があるはずの「ベンテイガ」に、青磁器や氷河のような静謐さと気品を与えている。
けれど真髄は、実はその内装にある。


この車両のコンセプトは“今を生きる女性のそばに、サムシング・ブルーがある”というもの。だからいわば心を整え、前へ進む勇気を授かる“場所”であって欲しいという思いも込められている。快適に移動するだけではなく、時には元気を得られるサウンド・ルームとなり、時には身を整えるパウダー・ルームとなり、さらにはプライベートなリラクゼーション・ルームとなるなど、ストレスフルな外の世界から自分を守り、エネルギーをチャージするための空間なのだ。

「マリナー」のこだわりは、普段は目に触れにくい細部にまで及んでいる。まずドアを開けた瞬間に目に飛び込んでくるサイドシルのプレートは、ダイヤモンドの“ラウンド・ブリリアントカット”を想起させる仕立てだ。

重厚なドアを向こう側には、外装の“アイス”と呼応する、息を呑むほど美しいホワイトと淡いブルーの世界が広がっている。座席やそのヘッドレストに加わるパイピングやスティッチ、バックレスト中央の“ベントレー・ウイング”の刺繍。

そしてなんといってもインテリア・デザインの注目は、助手席前方のインストゥルメント・パネルに施された英国の春の野山を彩るブルーベル、釣り鐘水仙の花である。花言葉は“誠実”、そして“変わらぬ心”。
これぞまさに“サムシング・ブルー”の言い伝えに込められた、永遠の幸福を得られるように、という優しい思いを昇華させた結果といえるだろう。

なお、同車はコンセプトこそ“今を生きる女性のそばに、サムシング・ブルーがある”ではあるけれど、遠藤氏によれば、もちろん女性だけでなく、男性でも購入は可能とのこと。こうしたファッション要素の強い、ライフスタイルを想起させるクルマは男性にも受け入れやすいそうで、すでにオーダーを受けているが、実際、オーナーとなった方の中には男性もいるという。限定10台のうち、あと残り数台が購入可能だそうだ。
なお、日本における「ベントレー」のオーナーの男女比率は9:1ほど。ただしオーナーと実際にドライブしているひとが違う場合も多くみられるので、実際にはさらに女性比率は高く、しかもこの1割の中では半数がベンテイガだそうである。

2015年の誕生から十余年の歳月と世代を重ね、ラグジュアリーでアーバンなSUVという地位を確立した「ベンテイガ」は、今回のような素敵なジャパン・スペシャルも得て、さらに飛躍していく可能性を秘めている。
■ベンテイガ・サムシング・ブルー・コレクション・バイ・マリナー
ベースモデル:ベンテイガ(V8モデル)
限定台数:日本限定10台
価格:3400万円
マリナー・ビスポーク専用装備:エクステリアのアイス(メタリック・ホワイト)塗装&同色ペイント・ブレーキ・キャリパー、22インチ・マリナー・パラゴンホイール(シルバー・ペイント)、ブルーベル・モチーフのビスポーク・オーバーレイ(ウッド・パネル)のインテリア、ラウンド・ブリリアントカット・モチーフの専用トレッド・プレート、マリナーが厳選した最高級レザーによるデュオ・トーン・インテリア
なお、この「ベンテイガ・サムシング・ブルー・コレクション・バイ・マリナー」の特別展示イベントが2月21日、22日の2日間、東京・港区の六本木ヒルズ・大屋根プラザでベントレー・オリジナル・ティー・スタンドを併設し開催中。


会場には、ライト・エメラルドとライト・オニキスを纏ったモダンな特別のカラー・スキームを組み合わせた仕立てとなる「ベンテイガ・アトリエ・エディション」も展示される。

さらにベントレーらしくレザーのワークショップも開催され、自分だけのイニシャルが刻印されたオリジナル・キーホルダーを創ることも可能だ。
文と写真=上田純一郎(本誌) 写真=ベントレー・ジャパン
(ENGINE Webオリジナル)