ランボルギーニが予告していた新たなフューオフ・モデル、その正体はやはりオープン・バージョンの「フェノメノ・ロードスター」だった。
レヴエルト・ベースなので“スパイダー”ではなく“ロードスター”だった!
車体のオープン化に伴い、空力パッケージはクーペからの見直しが図られた。

フロント・ウインドウ上部にはスポイラーを追加し、エア・フローをコクピットの頭上越しに、エンジン・ベイへダイレクトに送り込むようにしている。クーペのようなエア・スクープなしでも、効率的に冷却気を導き、乱気流や振動も最小化しているという。

また、ロールオーバー・バーについても、乗員保護性能を確保しながら、風の巻き込みや風切り音を抑えるよう、空力効率を追求。さらに、エクステリアに溶け込むようなデザインが施されている。

エンジン・カバーは新形状で、中央にはY字のフレームが走り、エア・インテークは六角形。いずれも、最近のランボルギーニが多用するモチーフだ。

シャシーは「レヴエルト」にも用いられるモノ・フューズレージ。一般的なカーボン・コンポジットと異なり、フロントの衝撃吸収構造やフレーム、ウインドウ・フレーム、サイド・スカートにリアのバルクヘッドまでが一体構造となっている。素材は、フォージド・コンポジットだ。

ロードスターでも、重量増加は数kgに抑えつつ、剛性はクーペと同等を確保。これは長短のカーボン繊維と、特許製法のフルードからなるマテリアルが寄与しているのだとか。この技術は量産ランボルギーニ初採用で、ブランドにふさわしいパフォーマンスと、衝突時の衝撃吸収を両立する。

“ブルー・ケフェウス”と呼ばれるボディ・カラーは、ランボルギーニ初のロードスターである「ミウラ・ロードスター」へのオマージュ。アクセントには“ロッソ・マーズ”を用いるが、この青と赤の組み合わせは、ボローニャを象徴する色にちなんだセレクトだ。

ランボルギーニの本拠地サンタアガタが目指すパイロット気分を演出するコックピットは、カーボンや、ディナミカ製のコルサテックス、特許を取得したカーボン・スキンといった素材を使用。操作系はハプティック・ボタンや、航空機にインスパイアされたスイッチで構成される。

赤いスティッチの入ったシートも、ベースはカーボン。過激なコーナリング時にも乗員の身体をしっかり支え、高精細の3面のディスプレイは重要な情報を確実に伝えてくれる。
パワートレインは、6.5リットルV12自然吸気に3モーターのハイブリッド。エンジンは最高出力が835ps/9250rpm、最大トルクが725Nm/6750rpm。システム合計では1080psで、ランボルギーニ最強のロードスターとなる。

トランスミッションは8段デュアルクラッチ式自動MTで、バッテリーは7kWhのリチウム・イオン。ゼロスタートでの加速は100km/hに2.4秒、200km/hに6.8秒で到達し、最高速度は340km/hを超える。クーペは0-200km/hが6.7秒、トップ・スピードが350km/hオーバーなので、その差はわずかだ。

タイヤは、専用開発のブリヂストン・ポテンザ・スポーツ。前21インチ/後22インチのランフラットに加え、サーキットでのパフォーマンスを引き出す20/21インチのセミ・スリックも用意される予定だ。

現在に続くフューオフ・ランボルギーニの系譜は、2007年の「レヴェントン」に始まる。「ムルシエラゴ」がベースで、ステルス戦闘機をモチーフにしたそれは、次期フラッグシップである「アヴェンタドール」のエクステリアを予告するものでもあった。2009年には、ロードスター版が登場している。

その後、V12搭載のフューオフ・ロードカーは、2013年の「ヴェネーノ」、2016年の「チェンテナリオ」、2019年の「シアンFKP 37」と続き、いずれもロードスターが2014年/2016年/2020年に登場。

2021年の「クンタッチLPI 800-4」は固定ルーフのみだったので、フューオフのオープン・モデルは6年ぶりとなる。
生産台数は15台。29台だったクーペより、さらに狭き門をくぐり抜けた特別な顧客のもとへ嫁いで行くことになる。
文=関 耕一郎 写真=ランボルギーニ 編集=上田純一郎
(ENGINE Webオリジナル)