2020.05.23

CARS

今乗ったら最高にお洒落でカッコいい ボルボのビカモンの240と940、う〜ん、懐かしい!

古くて四角い240セダン、 カッコいいです! シャープなラインが素敵な 940エステート!

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1998年型の940クラシック・エステートと1993年型の240GL。日本でも大人気だった80年代と90年代の頃のボルボを代表する2台のクラシック・モデル。ボルボカー・ジャパンのクラシック部門が仕立てた940と240に試乗してみた。

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丈夫なボルボ

ポルシェやメルセデス・ベンツが、日本でもオールド・カーのメンテナンスやレストレーションを行っていることは、けっこう知られているけれど、ボルボカー・ジャパンも2016年から「クラシック・ガレージ」という部門をスタートさせている。

シルバーの940クラシック・エステートは1998年型。末期になると"クラシック"というネーミングのモデルが登場するのがボルボの通例。これも940シリーズの最後の方で登場したモデルで、ベースは940ターボ。2.3ℓの直4ターボには、130ps版と165ps版があり、こちらはパワーのある165ps仕様。この頃のボルボと言えば、自慢はなんと言っても"冷蔵庫が運べる"といわれた荷室の広さだろう。スクエアなラゲッジ・スペースは引っ越しだろうが、キャンプだろうが怖い物なしだった。


まあ、古いポルシェの場合は貴重なスポーツカーとして高値で売れることもあるからビジネスになるし、“最善か無か”の企業哲学で有名なベンツの場合は、メンテナンスさえしっかりしていれば良い状態で乗り続けられるので、お金をかけて維持する人がたくさんいる。

だからこそ日本でもビジネスとしてやって行けるわけだけれど、これが規模が小さいアルファ・ロメオだとそうは行かない。昔は錆びて床が抜けちゃったなんていう話をよく聞いたし、ちょっと古くなるとすぐにパーツが手に入らなくなるのは今も同じだ。

では、ボルボのオールド・カーはどうかというと、それこそアルファが錆びで床に穴が開くようなクルマだった頃に、雪国のメーカーで衝突安全対策にも早くから取り組んでいたボルボは、めちゃくちゃ錆びに強くて丈夫なクルマをつくっていた。



やっぱり大事なのはボディで、あとはパーツさえあれば、クルマは比較的容易に蘇らせることができる。しかもメルセデスと違って、パーツ代はそれほど高くない。

インポーターがレストアしたオールド・カーというと敷居が高そうな気がするが、そもそも新車がベンツより手に入りやすい価格だったから、レストアしてもリーズナブルな値段に収まっている。

実はここがポイントで、いまオールド・ボルボは比較的若い年齢層に人気がある。特に80年代から90年代のモデルの"ちょっと古いデザイン"がオシャレで、しかも値段も手頃で自分たちのライフスタイルに合っているというのだ。



20年前、いや80年代だと30年以上前のクルマである。果たしてその頃のボルボは、いま乗ってみてどうなのか。興味津々で試乗してみた。

ファースト・カーが940

試乗会場に用意されていたのは、93年型の240GLと98年型の940クラシック・エステート。それから70年型の122S、通称アマゾンと98年型のS90の4台。このなかから2台を選ぶことができるというので、迷わず240と940エステートを選んだ。

ちなみにアマゾン以外は正真正銘の売り物で、240は244万円、940エステートは225万円、S90は237万円である。

240と940エステートを選んだ理由は、自分が免許を取った頃に現役だったモデルでもあるし、ボルボの一時代を築いたデザインはいま見てもやっぱり秀逸だから。さらに、なにを隠そう、実は筆者のファースト・カーが940エステートだったというのもある。まずはその940エステートから乗ってみた。

740の後継として90年にデビューしたのが940だが、このモデルはその最終版。なんと荷室には床下収納式のエクストラ・シートも備えている。搭載しているエンジンは165馬力の2.3リッターの直4ターボだが、当時はこれとは別にロープレッシャー・ターボの130馬力のモデルもあった。



ざっとスペックを紹介しておくと、最大トルクは23.4kgmで、トランスミッションは4段AT。車重は1.5トンだ。写真ではけっこう大きなワゴンに見えるが、全長、全幅、全高はそれぞれ4850mm、1755mm、1495mmでそれほどでもない。

エンジン縦置きの後輪駆動というのも忘れてはならないポイント。サスペンションは、フロントがストラットで、リアはリジッドだ。

で、試乗しました。乗ったのは試乗会場となった舞浜のホテル周辺の一般道。いやぁ、びっくり。そして懐かしかったー! まず雪の轍に敏感に反応しないようにあえてセンター付近がデッドにしてあるステアリングが独特。ギア比もスローで交差点を曲がるだけでもクルクルと何回転もしなければならない。

そしてフィールもけっこう重い。乗り心地はどうかといえば、まるで船に乗っているみたいにゆったりしていて、ゆる~い感じは思わず笑ってしまうほど。

でも、不思議なほど嫌な感じがしない。スローなギア比のステアリングはさすがにどうかと思うが、当たりの柔らかい、まったくと言っていいほどゴツゴツしたところがない乗り心地は、現代のクルマも見習ってほしいくらいである。

パワー的には165馬力というのは今の基準なら大したことはないが、必要にして十分。面白いのはまったく飛ばす気にならないこと。これでいいじゃないかと思わせてしまうところがすごい。

軽さに勝るものはない

でも、その後で乗った240はもっとすごかった。ハンドルは940よりさらに重いが、そのぶんどっしりとしている。センターのデッドな感じはこちらにもあるが、安心感は240の方が上かもしれない。

940より若干濃い目のシルバーの240GLは1993年型で、240のラスト・モデル。新車当時の車両価格は398万円。240で印象深いのはやっぱり世界ツーリングカー選手権での活躍だ。ノルディカ・ブルーの四角い240は、"空飛ぶレンガ"と呼ばれ、見た目にはムチャクチャ重そうなのにぶっちぎりで速かった。試乗車は2.3ℓ直4のOHC(ツインカムじゃない!)の自然吸気エンジンを搭載していて、パワーはたったの115ps。車重は1310㎏しかないというから驚く。灯火類はすべて交換され、まるで新車の様だった。


2.3リッター直4の自然吸気エンジンのパワーはたったの115馬力。最大トルクにいたっては18.9kgmしかないが、4段ATとのマッチングがみごとで、痛痒を感じさせないところが素晴らしいと思った。

全長、全幅、全高はそれぞれ4785mm、1715mm、1450mmで実にコンパクト。車重は1310kgと見た目からは想像できない軽さである。やっぱり軽さに勝るものはないということか。

走ってパワーを感じるのは940の方だが、たった115馬力なのに軽やかさが感じられるのは240の方だった。乗り心地は940以上に穏やかだが、意外とアシはしっかりしていて、不思議なほど乗っていて心が落ち着くクルマだった。乗り心地の良さには、いまでは珍しい185/70R14サイズのタイヤも貢献していると思う。



この240の試乗車、ご婦人が運転していたワン・オーナー車で、明るいファブリックの内装もオリジナルのままで何処にも傷みがない。

リペイントされた外装もピカピカだし、灯火類も新品パーツに換えてあるので、まるで新車みたい。このまま乗って帰りたかったなぁ。

文=塩澤則浩(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2020年6月号)

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