2020.08.17

CARS

フルブレーキングを繰り返しても、エンジンをブンブン回し続けても音を上げなかった33年前のBMW 菰田潔さんの自動車評論家人生を変えた名車とは

自動車ジャーナリストの菰田潔さん

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これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの菰田潔さんが選んだのは、「BMW 325i(E30)」。33年前、ラリー界の神様である ラウノ・アルトーネンをはじめ、 錚々たるメンバーとともに乗った325iは、それまで乗ったことのあるクルマとはまったくの別物だった。

ラウノ・アルトーネンがドライブするBMW325i


ドイツ本国では1977年から始まったBMWドライバー・トレーニングを日本でも開催するべく、1987年11月にJARI(日本自動車研究所)のテスト・コースで試験開校した。その2泊3日のプレス向けトレーニングを取材するために受講した。このときのチーフ・インストラクターはラリーの神様のような存在のラウノ・アルトーネン。BMWM社の社員で校長先生のフォン・ブライテンブッフ、BMW本社の開発チームから (のちに広報部長になる)トーマス・ギュービッツもインストラクターとして来日した。

用意してあった3台のインストラクター・カーと12台のトレーニング・カーはすべて325i(E30)。直列6気筒2・5Lエンジンを搭載した左ハンドルでATというモデルだった。


初日の夕方はアルトーネンから2時間のレクチャーを受け、翌日から2日間は実技のみだ。8人ずつの3グループに分かれて、3人のインストラクターの元で順番にトレーニングを受けた。

アルトーネンが担当するのはスキッドパッド。アクセルによるアンダーステア、ハンドルによるアンダーステア、アクセルによるオーバーステア、さらにドリフトの体験まで2日の間に進む。

実は筆者はこのときまでにBMWを運転した経験は2回しかなかった。最初は2002tiを運転代行のような立場でこわごわ走らせ、2回目は筑波サーキットでタイヤのテストのために528e(E28)を走らせただけ。2日間に渡る実技トレーニングでグリップ限界を超えるような走りを体験したが、BMWの走りの良さを身に染みて体験した。

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