これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの高平高輝さんが選んだのは、それまでの数少ない経験値を根こそぎ吹っ飛ばすとんでもないクルマだった。当時は谷田部にあった日本自動車研究所のテストコース。助手席で計測器を抱えて、実測300km/hを経験した。
日暮れて途遠し
人生が一変するほどのインパクトを受けた車、それはフェラーリF40です!と言い切れれば、いかにもカッコよく業界人ぽいですが、私の場合それはちょっと言い過ぎというか正しくはありません。
昔話のいいところだけ切り取って、ドラマチックでモリモリ盛ったエピソードにすることもできますが、ここは地味でも正確な表現というか、現実的な経験談のほうが求められているのではないかと判断しました。
そもそもF40が登場した1987年頃、自動車雑誌編集部に入りたての20代真ん中ぐらいの知識も経験も少ない若造が、あのF40を本当に理解できるレベルに達していたのかと考えれば、当然そんなことはないわけです。もちろん、衝撃的でした。それまでの数少ない経験値を根こそぎ吹っ飛ばされるぐらい、とんでもない車でした。
計測器を抱えて助手席に座り、日本上陸1号車のテストをお手伝いしたのですが(隙を見て自分でも少しだけ運転した)、たとえば当時谷田部にあった日本自動車研究所のテストコースで初めて300km/hオーバーを間違いなく経験したのもF40のテストの際でした。メーター読みで300km/h出た、というものではなく、ライツ・コレヴィットという当時使っていた非接触式計測器の表示でも1km直線区間の平均タイムでも確実に超えたのはあれが初めてだったと思います。
あの当時の高性能車の速度計は現在に比べればだいぶ楽観的というかメーカー公称値とかなり差がありました。ただし整備されたテストコースでもその速度域ではスタビリティが低く、緊張しっぱなしだったことも覚えています。
その後F40には何度か試乗する機会がありましたが、特に初期型がブレーキもクラッチもめっぽう重く、何らのアシスト機構も備わらないせいで、いやもう野生馬そのものでした。これでロードカーと言えるのか、と疑問に感じたぐらいですが、当時はそれで許されたのです。マクラーレンF1ロードカーも同様、さらに言えばメトロ6R4とか、フォードRS200(市販モデル)など変わり種の限定車も野蛮のひと言。
RS200は箱根でも乗りましたが、あまりのお粗末な仕上がりに度肝を抜かれました。グループBラリーカーのベース車両だからといっても、いくらなんでも杜撰すぎ、その点、ランチア・ラリーやS4のストラダーレは、ランチアとして恥ずかしくないレベルに仕上がっていました。
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