2020.08.13

CARS

1987年式ジャガーXJ6を買ってみたら…… ♯2 ジャガーでジャガーに会いに行く!

1987年式のジャガーXJ6シリーズⅢを買い、思い出したのは英国車を愛していたミュージシャンの加藤和彦さん(故人)。


加藤さんを初めて取材したのは、06年の夏。そこで最初に買ったクルマがロールス・ロイスだったということを聞いた。ロンドンにあるロールス&ベントレーの専門店に放送作家の景山民夫さん(故人)と一緒に出掛けたのだという。若い日本人ということで門前払いにならないように、加藤さんが貴族、景山さんはその執事役を演じたそうだ。


そのロールス・ロイスは日本に持って帰り、ミカ・バンドのミカさんや高橋幸宏さんも運転したという。


2006年に六本木の自宅を取材で訪ねたときにはガレージにアストン・マーティンが納まっていた。 (写真=鈴木 勝)

さて、私以上に加藤さんと懇意だった京都のMさんが、加藤さんから譲ってもらったジャガーEタイプをまだ持っているという。


加藤さんのジャガーに、ジャガーに乗って会いに行こう! XJ6の初ドライブを京都に決めた。


素晴らしい乗り心地

XJ6で新東名高速を巡行する。落ち着きのあるしっとりとした乗り心地が素晴らしい。4.2リッターの直6はむずがることなく、とても滑らかに回り、そのくせ室内はとても静かだ。水温計、油圧計、電圧計にもまったく異常は見当たらず、ただひたすらに静々とXJ6は前へ進んでいく。それでも繊細な感じがするのは、極細のステアリング・ホイールのせいかもしれない。ステアリング・フィールは軽く、どっしりとした手応えは希薄だ。


京都・嵐山のワインディング・ロードを爽快に走る。

「まったくトラブルの気配がありませんね。正直、無事に着くのか? と思ってましたけど(笑)」


助手席の茂呂カメラマンが言うように、旧いジャガーは壊れるというイメージを持っている人が多い。しかし、XJ6シリーズⅢは当時会長に就任したジョン・イーガンの社内改革により年々、品質が向上していったと言われている。このクルマは最終型だからトラブルは少ないのかもしれない(と信じたい)。


1947KK

不具合の兆しをまったく見せずに京都に到着。東京からの燃費は約7km/Lだった。我々を待ち受けていたEタイプの白いボディには青いストライプが走っていた。加藤和彦さん(1947年生まれ)のEタイプだったことはノーズにある“1947KK”という文字でわかった。


「71年のEタイプ。いわゆるシリーズⅢです。米国仕様を日本で手に入れた加藤さんがカフェレーサー風に仕立てたんです。2000年に加藤さんから買いました。内外装はそのときのままです。譲り受けたときは交差点の真ん中で止まったりして、大変だったけれど、いまは絶好調です。加藤さんは4~5年乗っていたのではないでしょうか? 現在の走行距離は9万3000kmです」


円形のアナログ・メーターがズラリと並び、スポーティな印象を与えるEタイプのインパネ。
グラブ・ボックスに付けられたストップ・ウォッチも加藤和彦さんから譲り受けたもので、現オーナーのMさんがEタイプに装着した。


不具合に泣かされたときもあったけれど、加藤さんのクルマだったので手放さなかったと、現オーナーであるMさんは言う。


京都、嵐山の峠道を少しだけ運転させてもらった。5.3リッターV12エンジンは力強く、野太い排気音を轟かせながら、快調に峠を上っていく。私が乗ってきたXJ6とはダッシュ力がまるで違う。見た目以上に軽やかにコーナーをクリアしていくのには驚いた。


5.3リッターV12(276ps、412Nm)はウルトラ・スムーズな吹け上がり。

Mさんは加藤さんが愛したギターも持っていて、Eタイプに積んできてくれた。ザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズが使っていた1968年製フェンダー・テレキャスターを完全コピーしたものだという。加藤さんは、このギターを2007年にNHKホールで行ったサディスティック・ミカ・バンド再結成ライブで使った。


加藤さんがステージで使用したテレキャスターは、スポーティなEタイプによく似合う。

私の前では穏やかな英国紳士のようだった加藤さんだが、カフェレーサー風のEタイプやテレキャスターを見て、やっぱりロックン・ローラーだったんだなあと、改めて感じた京都へのドライブだった。



文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正


(ENGINE2020年2月号)


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