2020.09.23

CARS

【第3位】マクラーレン720 時代が生んだスーパースポーツ! 【21世紀初頭のベスト・カー決定!】 

MP4-12C、650Sの後を継ぐマクラーレンのロード・ゴーイング・スーパースポーツの中心的存在。0-100㎞/h加速2.9秒、最高速341㎞/h。前後連関式の電子制御ダンパー、エア・ブレーキ機能を備えた電子制御可変リア・スポイラーなどハイテク武装する。

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エンジン"ホット100"ラインキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! 2011年にマクラーレンが本格的な自動車メーカーとして活動を開始したことは、2000年代初頭20年におけるビッグ・ニュースだった。2017年にデビューしたスーパースポーツ、720Sが堂々のホット3!


マクラーレン720Sをマイホット20に選んだジャーナリストたちのコメントを読むと、奇妙なくらい共通点が多いことに驚かされる。


「日常使い出来る乗り心地の良さを備えながら、他のスポーツ・モデルを圧倒する速さと刺激を備えることが出来ている」(五味康隆さん)、「マクラーレンF1の時代から何も変わらないコンフォート性とスーパースポーツ性の両立」(松田秀士さん)、「1300kgを切るカーボン・モノコックの車体に720psのV8ツイン・ターボ・エンジンを搭載した2WDなのに、まるっきりじゃじゃ馬じゃない」(大井貴之さん)、「公道でレーシング・カーに乗っているかのような装備やソリッド感。でも乗り心地は快適」(佐藤久実さん)



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つまり、舌を巻くようなパフォーマンスを備えていながら操りやすく快適性にも優れている。それがマクラーレン720Sの本質なのだ。しかも、ここでピックアップした4人はレース経験が豊富なジャーナリストばかり。彼らが口を揃えてスポーツ性の高さを賞賛しているのだから、720Sのパフォーマンスはお墨付きといっていいだろう。


もうひとつ、彼らのコメントに共通しているのが"レーシング・カー""サーキット"といったキーワードが頻繁に登場する点だ。


「パワー、スタビリティ、エアロ・ダイナミクス、どれをとってもレーシング・カー並みのフィーリングが味わえる」(山崎元裕さん)、「ロードカーとしての万能性と、サーキット走行した際のどこにも逃げや柔な部分の無い剛性感の高さは、まさにレースカーのロード仕様!!」(桂 伸一さん)、「かつて体験したクルマのなかで、サーキット走行が最も楽しかった1台」(齋藤浩之さん)



これらはいずれもマクラーレンがF1界の超名門チームであることに根ざした指摘であろう。彼らはレーシング・カー作りの鉄則である“軽量"“高剛性"“エアロ・ダイナミクス"にくわえ、“低重心"“マスの集中"などを徹底的に実践。そうして手に入れた素性のよさを、パフォーマンスと快適性の両立に最大限活用したのが720Sなのである。


もっとも、マクラーレンが応用したのはレーシング・カーの古典的理論だけではない。720Sに初採用されたプロアクティブ・シャシー・コントロールIIはホイールごとに加速度センサーや圧力センサーを装備して4輪の動きを正確に把握。これをもとにダンパーの油圧をコントロールして姿勢変化を最小限に抑える最新テクノロジーだが、その制御にはマクラーレンとケンブリッジ大学が共同開発したアルゴリズムが活用されている。つまり、21世紀初頭という時代背景なしに誕生し得なかったのがマクラーレン720Sというスーパー・スポーツカーなのである。



それにしても電動化や自動化という言葉が自動車界にあふれかえっている現在、「走りの性能」をピュアに突き詰めたマクラーレン720Sが3位にランキングされたこと自体が驚きといっていい。きっと、どんなに自動車のテクノロジーが進化しても、「走る喜び」を希求する私たちの思いは永遠に変わらないものなのだろう。


■マクラーレン720(スパイダー含む)
全長×全幅×全高=4543×2161×1196mm。ホイールベース=2670mm。車両重量=1430kg。4リットルV8ターボは最高出力720ps/7000rpm、最大トルク770Nm/7000rpmを発生する。車両本体価格=3338万3000円。


文=大谷達也 写真=柏田芳敬


(ENGINE2020年9・10月合併号)

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