カーボンボディとともにMC20の技術的な最大の注目点は、“ビトルボ”の名で知られた3・2LV8ツインターボ以来、約20年ぶりにマセラティがモデナ工場内に新設されたエンジン・ハブで自製する3LV6ツインターボだろう。“ネットゥーノ”すなわちマセラティの創業地ボローニャのマッジョーレ広場に立つ三叉の矛を持った海洋神ネプチューンのイタリア語名をニックネームに付けられたこのエンジンは、近い将来フェラーリからのエンジン供給が終了するのを踏まえ、今後のマセラティ車が搭載するエンジンの基本になる技術を投入したものだという。
その最大の特徴は燃焼システムにある。F1由来のパッシブ・プレチャンバーという高度な技術を導入しており、1本のシリンダーにふたつの燃焼室を持ち、燃料の点火と燃焼を別のスペースで行うことにより、最高の効率で最大のパワーを引き出すことに成功しているというのだ。高さを抑えるためにVバンクの角度は90度とし、ドライサンプ方式も採用している。レヴリミットは8000rpmで、7500rpmで最高出力630psを発生する。これはリッターあたり出力においてクラス最高の数値だ。
組み合わされるトランスミッションは8段湿式デュアルクラッチ式自動マニュアル。6速が直結で7速と8速がオーバードライブとなる。0-100km/hが2・9秒、最高速度は325km/hを誇るこのMC20は、「マセラティ・コルセ(レーシング)2020」というその名前の由来の通り、古くはF1から近年ではGT1まで、栄光のレース・ヒストリーを持つこのブランドがレースの舞台に復帰することを記念するモデルとなるという。
お披露目の翌日の9月10日から受注が開始されたが、ヨーロッパ向けの生産開始は今年度末。日本への上陸は2021年夏頃となる見込みだ。日本での価格は2650万円。生産台数が1日5台程度と少ないため、どうやらすでに3年待ちくらいの状況になっているらしい。この誰が見てもカッコいいデザインにこの中身なら、人気沸騰も当然だろう。
■マセラティMC20
駆動方式 エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4669 ×1965×1221mm
ホイールベース 2700mm
トレッド(前/後) 1681/1649mm
重量 1470kg
エンジン形式 90度V型6気筒DOHCツインターボ
排気量 3000cc
ボア×ストローク 88×82mm
最高出力 630ps/7500rpm
最大トルク 730Nm/3000-5500rpm
トランスミッション 8段湿式デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前)245/35ZR20、(後)305/30ZR20
車両本体価格(税抜き) 2650万円
文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=マセラティ・ジャパン
(ENGINE2020年11月号)
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