2021.09.11

CARS

ただのトヨタ・セリカGT-FOURにあらず! ホモロゲーション取得のために造られた1800台の限定モデル“RC”に、親子二代で乗るオーナーの終わらないクルマ愛!!

トヨタ・セリカGT-FOURと最新EVのジャガーIペイスの2台もちカーライフ

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1/1のプラモデル

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「学生時代、実家を出たときは原付バイクしか持っていなくて。でも地方の一人暮らしなのでクルマが欲しくて、なかば強引にセリカに乗っていってしまったんです。それからはもうずっとクルマ一色。1/1のプラモデルですね。ユーズド・パーツを手に入れては交換して。足まわりをいじったり、ブーストをあげたり、全部自分でやっていた」

タミヤの1/24プラモデルのステッカーをコンビニのコピー機で24倍に拡大。カッティング・シートを切り出して車体に貼った。最初真っ白だったセリカは、あっという間にWRCカラーになった。目指したのは1993年、ディディエ・オリオールが駆ってモンテカルロ・ラリーを制したグループAマシンの再現だ。次第にステッカーでは飽き足らなくなり、スポンサー・ロゴを除く大部分をなんと塗装してしまう。

「もう、完全に後戻りできないようにしました。スキーもこれで行ったし、大学の駐車場で、雪が降ると滑らせて遊んだりもした」

卒業旅行はスペインへ行き、カタロニア・ラリーを観戦。たまたまホテルがシトロエン・チームと一緒で盛り上がったという。しかし、そこまで上昇していた心のブーストが、やや下がった時期もあったようだ。学生時代からセリカの横にずっと乗ってくれていた伸子さんと結婚。遼馬くんと海成くんの2人のお子さんにも恵まれ、大事な家族ができた。普段乗るのは伸子さんが選んだハリアーとなり、セリカはナンバーを返納。以降、5年ほどセリカは実家で眠ることになった。





復活のきっかけは自宅横に建てたガレージだった。とはいえ置いたままにしていたセリカをふたたび走れるようにするまでは、なかなか苦労したという。錆びていたガソリン・タンクをはじめ燃料系の劣化したゴム類を交換。さらにはナンバーの再取得のためモディファイされた部品を戻す必要もあった。手助けしてくれたのは父・貴美博さんの旧知のメカニックだ。こうしてセリカは見事路上復帰を果たす。そして3年前、引っ越しを機に自宅とガレージを新築することになり、早速セリカありきで土地探しをはじめる。できあがったのは母屋と同じレンガが貼られた、センス良く使い勝手のいい現在のガレージだ。そこにセリカと日々の足となるクルマを収め、外のカー・ポートに伸子さんのクルマを置くようにした。さらにつめれば敷地内にはあと2台置けるが、これは今ではメルセデス・ベンツSLKに乗る貴美博さんがやって来ることも考えてのことだろう。

SUVでも走りは譲れない

現在セリカの隣に並ぶのは、ちょうど2年目となるジャガーIペイスだ。もう1つの趣味であるゴルフのためには人と荷物を載せられるSUVが必要だが、やっぱり走りの性能も譲れない、という博達さんのお眼鏡にかなった最新の相棒である。ちなみにIペイスの前はマセラティ・レヴァンテ、その前はポルシェ・カイエンと、クルマ好きなら納得のチョイスが続く。家族4人と愛犬ダルちゃんが乗る時は、伸子さんのマツダCX-8が出動するという。

Iペイスを選んだのは日本車、ドイツ車、イタリア車と来て一度はイギリス車に乗ってみたかったのと、電気自動車にも以前から興味があったからだ。BMWi3やテスラ・モデルSなども試乗していたという。ただし、実はIペイスより前に、緒方家には別の電動の乗り物が来ている。ISOLA社製IS006という折り畳み式のeサイクルだ。

「実はふるさと納税の返礼品で見つけたんです。基本前輪駆動なんですがリア駆動も選べたり、シートやタイヤの色もオーダーできたり、オート・クルーズ機能も付いている。原付バイク扱いですが、ペダルをこげば自転車として走れます。バッテリーが切れたら地獄ですけど(笑)」

Iペイスで右足を踏み込んだ時の感覚と、IS006を走らせた時の感覚はよく似ているという。「半端ない加速にびっくりするところは同じ。まるで氷の上をすべるみたいに走る。Iペイスはエアサス付きですけど、機械式でもよかった。ちょっとふわふわしすぎるというか……」

こうも走りにこだわるのは、やはりセリカが原点だったからだろう。

「最初にクルマの楽しさというものを味わったのがセリカでしたしね」



しかしさすがに29年目を迎えると、電装品をはじめ、廃番の部品も少なくない。一時はECUが壊れ、専門店へ修復に出したりもしたが、現在は復活。時々チェック・ランプも点灯するが「こんなもんや」と気負わず乗ることにしている。

ちなみに本物のセリカのWRカーが欲しいとは考えなかった?

「実は一時期探して、実際に走っていた個体を見に行った。でも、さすがに維持が難しいし、飾っておくだけじゃ満足できない」

だからこのクルマは手放せませんね、と続けた博達さん。休日にセリカをドライブする時のお供は、子供たちやダルちゃんだ。インタビューの途中、のぞきに来た海成くんもセリカは大のお気に入りである。どうやらクルマ好きの血は、しっかり受け継がれているようだ。それもまた、クルマ好きにとっての理想の形ではないだろうか。

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文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也

(ENGINE2021年2・3月合併号)

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