2022.03.28

CARS

春風亭昇太さんの愛車は1967年型のトヨタ・パブリカ 幸せな子供の頃にタイムスリップできる! クルマはタイムマシンだ!!

春風亭昇太さんと愛車のトヨタ・パブリカ

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1959年生まれの昇太さんにとって、クルマとは憧れのものだったという。当時のオトーサンが頑張ってギリギリ買えるクルマがトヨタ・パブリカで、昇太さんはクルマに限らずその時代のものが大好きだ。部屋には真空管ラジオ、真空管アンプのアナログ・ステレオなどがあり、それらを昭和レトロの電傘から漏れる光が照らしているという。

「なんで好きなのか? と考えたことがあるんです。古いモノと言ったって、アンティークってわけじゃない。ようするに僕が子供の頃のモノなんです。子供の頃のモノに囲まれていると落ち着く。そうか! 僕はその当時幸せだったんだなって」

日本はモノを小さくするのが得意だと昇太さんは言う。

「まだ日本中が貧しかった昭和40年代、国産メーカーは贅沢な部分を削って削って、頑張れば手にいれることができる大衆車を開発したんだと思うんです。そうやって、パブリカやキャロルやスバル360が生まれた。そういうのが好きなんです」

ひとり座布団の上で語り、聴き手の頭に映像を浮かべる落語も過剰な演出を削ぎ落とした演劇と言える。昇太さんと国産旧車がシンクロするのは、そんなところからきているのかもしれない。

春風亭昇太 1959年静岡県清水市生まれ。1982年、春風亭柳昇に入門、1986年二ツ目昇進、春風亭昇太となる。1992年、真打に昇進。 新作落語の創作活動に加え、独自の解釈で古典落語に取組み、第55回文化庁芸術祭大賞を受賞するなど、新作、古典問わず高い評価を得ている実力派真打。さらに、役者として演劇へ出演するほか、ミュージシャンとのライブも意欲的に行なうなど、ジャンルを超えて積極的に活動している。

昇太さんはクルマだけでなく、家電や洋服もすべて日本製にこだわっている。

「日本のメーカーってすごいなと思ったのは、10年ほど前にトヨタからパブリカのリコール通知が来たんです。ピンポーン! って家まで来た。僕のパブリカは1967年式。売ってから約40年も経ってるクルマですよ? それに不具合がある可能性があるって。幸い、僕のはなんともなかったですが、リコールすること自体が素晴らしいと思いました」

MAZDA CAROL360 マツダの前身である東洋工業が1962年に発売した軽自動車。軽自動車初の4ドア・ノッチバック・スタイルを持ち、リア・ウィンドウを垂直に立てたクリフカットが個性的ということもあって、華々しいデビューを飾った。また、エンジンも360ccという軽自動車枠でありながら、水冷直列4気筒を奢るという当時としては贅沢なものだった。4気筒エンジンはリアに搭載、後輪を駆動するRRである。販売されると大人気となり、スバル360のライバルとされた。


初代マツダ・キャロル

昇太さんは子供の頃に人気を博したクルマをもう1台持っている。初代マツダ・キャロルだ。

「近所のオニーサンが持っていて、すごくカッコよかった。ライバルのスバル360も可愛いんですけど、どこかオジサンのイメージなんです。それに対して、クリフカットのボディを持つキャロルは若々しい感じがしてずっと好きでした。人生のなかの1台と聞かれたら、僕は初代マツダ・キャロルですね。パブリカと比べてキャロルはキビキビ走るのも好き。毎日、愛でてます」

休みの日に街をぶらりとドライブするのが愛車との過ごし方だという。

「僕らの仕事ってオンとオフの境目がユルイんです。オフだと思って飲みに行っても、横のオジサンに声をかけられたら春風亭昇太にならざるを得ない。どんなに酔っていても気が抜けないんです。でも、パブリカに乗っているときだけは完全にオフになれる。夜中にグルグル走っていると、安っぽいカーラジオから“ラジオ深夜便”なんかが流れてくる。薄っぺらい音の昭和歌謡なんか聞きながら、運転するとうっとりします。短い時間ですけど、気持ちの切り替えができる。僕にとってはそれがすごく大事なことなんです」

子供の頃、近所のオニーサンがキャロルでドライブに連れていってくれたこと、そのときの風景なども愛車を運転しながら思いだすという。

昇太さんにとってクルマとはなんですか?

「余暇そのものです」

愛車と過ごすオフタイムは、幸せな子供の頃にタイムスリップする時間なのかもしれない。

文=荒井寿彦(エンジン編集部) 写真=筒井義昭

春風亭昇太
1959年静岡県清水市生まれ。1982年、春風亭柳昇に入門、1986年二ツ目昇進、春風亭昇太となる。1992年、真打に昇進。 新作落語の創作活動に加え、独自の解釈で古典落語に取組み、第55回文化庁芸術祭大賞を受賞するなど、新作、古典問わず高い評価を得ている実力派真打。さらに、役者として演劇へ出演するほか、ミュージシャンとのライブも意欲的に行なうなど、ジャンルを超えて積極的に活動している。


2022年5月29日からは三宅裕司さんの出演・演出による人気舞台、「熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第8弾 東京喜劇「任侠サーカス〜キズナたちの挽歌〜」に出演。チケットも好評発売中!

(ENGINE2021年6月号)

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