2021.07.16

LIFESTYLE

デビュー作でアカデミー賞を受賞 話題の女流監督が手掛けた『プロミシング・ヤング・ウーマン』が面白すぎる!

謎のヒロインによる復讐劇『プロミシング・ヤング・ウーマン』。長編映画のデビュー作にして、アカデミー賞脚本賞を獲得したエメラルド・フェネル監督の才能に目を見張る。

真夜中のクラブで泥酔し、だらしなくソファに沈み込む女。その姿を眺めていた若いビジネスマンは、介抱するフリをして彼女を自宅に連れ込む。だが意識が朦朧とした彼女をベッドに横たえ、行為に及ぼうとした瞬間、女は突然、シラフに戻り、冷たく男に言い放つ。「お前、何してんだよ」。



意表を突く『プロミシング・ヤング・ウーマン』のオープニングである。見知らぬ男たちを糾弾するため酒場に繰り出す彼女は、何が目的でこんなアブナイ行為を繰り返すのか? あえて多くは明かさないが、このキャシーというヒロインはもともとは優秀な医大生。卒業目前に大学を中退し、今はカフェで働きながら無気力な生活を送っている。そんな彼女を中退に追い込んだある出来事こそが、謎の行動を解き明かすカギとなる。



監督・脚本は、これが長編デビュー作となる女流のエメラルド・フェネル。今年のアカデミー賞では見事、脚本賞を獲得した。あえてジャンルで括れば復讐劇を描いたスリラーとなるが、全編がカラフルな色彩とポップな音楽に彩られ、ブラック・コメディのような趣もある。それでいてクライマックスに向けた展開は壮絶でエモーショナル。ことごとく先の読めない、型破りな異色作だ。



■『プロミシング・ヤング・ウーマン』
今年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、編集賞を含む5部門でノミネートされ、脚本賞を受賞。長編映画の初監督を務めたエメラルド・フェネルは女優としても活躍中で、NETFLIXのシリーズ『ザ・クラウン』ではカミラ・パーカー=ボウルズ役を演じている。復讐心に燃える謎のヒロインに扮したキャリー・マリガンは2009年の映画『17歳の肖像』で大ブレイクしたロンドン出身の女優。その後も『ドライヴ』や『わたしを離さないで』、『SHAME-シェイム』といった話題作に出演し、若手演技派としての地位を不動のものとしている。7月16日(金)よりTOHOシネマズ日比谷、シネクイントほか全国公開。113分。



文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2021年8月号)

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