魔性のGT-R島下 僕のは90年型の日産スカイラインGT-R。年末に見つけて、3月末に来たばかりです。
村上 栄光の89年組だね。
島下 89年って僕がまだ高校生で。当然触れることはできなかったですし、免許を取った後も手の届かない存在で、ちゃんと乗ったことがなくて心残りだったんです。だから前に乗っていたメルセデス・ベンツW124やVWゴルフ2と一緒で、現代に通じる名車に、一度は乗っておきたいという気持ちの一環ですね。
村上 いまR32って高いでしょ?
島下 もちろん安くはないですが、これは当時の新車価格くらいでした。マフラー以外はノーマル。2オーナーで走行は8万9000km。
荒井 この程度の良さは驚くなぁ。
島下 リヤシートが色褪せたりしてますが、サイドサポートも擦れていない。気になるところはちょっとずつ直していこうと。
渡辺 もう何か手を入れた?
島下 ステアリング・ブッシュを変えたくらいです。今度フルでブッシュ交換しようと思ってます。ダンパーもノーマルだけど1度くらいは交換してると思います。過去にステアリング・ラックも変えてるし。
村上 全体的にシャキッとしてる。
島下 クルマをちゃんと知っているお店で、ちゃんとしたクルマ。そして自分もよく勉強して知っていることが大事なんでしょうね。
荒井 乗ってみてどうです?
島下 面白いですよ。ステアリング切った時の追従性とか、これを90年に乗っていたらエラいことだったと思いますね。左、右と抜けるコーナーとかでいちいち気持ちいい。エンジンもパワーがあるわけじゃないけど、厳かなものに触れてる感じはある。正直皆がイジる気持ちがわかります。中身もほぼ同じエンジンがグループAで600ps出るのに280psしかないんだから。
村上 伸び代が大きいんだね。
島下 だからこの先を見てみたいって気持ちになりますよね。今のクルマって性能カツカツだけどR32は余裕だらけ。もう走りのことだけで燃費なんて考えていない。ギヤ比もどこからでも行くぜーって感じ。
荒井 この時代って環境とかよりも、クルマとしてどんなに楽しいかとか、速いのかだけを追求してたでしょ。それが、今ちょっと古いものに乗りたい動機になると思う。
島下 だいたいレースに勝つためにクルマ作って売るなんて、今じゃ考えられないよね。良い時代!
村上 僕なんか入社した頃で乗りたくて横浜のディーラーまで試乗に行った。今日、久しぶりに見て、涙出そうになるくらい懐かしかった。
島下 そう言う実体験のある人は懐かしく思い、ちょっとかじった世代は、あの時はこうだったんだと発見し、もっと若い世代は未知のものとして新鮮なわけですよ。
渡辺 まったくR32っていったい何人の生活をダメにしたんだろう(笑)。みんな鬼ローン組んでキャッキャ言ってたんだから。
荒井 それって魔性のクルマだね。
島下 そう。もっと君を知りたい、みたいな(笑)。
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