2021.09.11

CARS

ホンダNSXはどんな進化を遂げたのか 写真で歴代モデルを見比べてみる

世界全体で350台、うち日本に割り当てられるのはたった30台という限定車「タイプS」を最後に、再びその幕を下ろすことになったホンダのミドシップ・スポーツ、NSX。日本仕様のプレス向け説明会では、2代目の最終モデルとなるタイプSのほかに、初代と2代目の標準モデルが展示されていたので、3台のNSXと見比べてみた。

元祖「タイプS」

シルバーのボディに黒色のルーフを持つ初代は、2001年12月に発表された後期型のタイプSである。初代NSXはこの時の改良で、初代としては唯一外観に大きなメスが入れられた。タイプSは、まだリトラクタブル式ヘッドライト仕様の前期型だった1997年2月に追加されたスポーツ・モデル。サーキットでの走りに主眼を置いた「タイプR」と標準モデルの間に位置し、45kgの軽量化や専用チューニングのサスペンションにより、NSXの卓越した走りにさらなる磨きを掛けていた。専用デザインのホイールやバケット・シートでタイプSと識別できたものの、見た目でタイプRほど標準モデルとの差別化が図られていなかったのもポイントである。展示されていた後期型はホイールのデザインも標準モデルと同一になったため、さらに見分けがつきにくいのだ。





今見ると、かなりスマート

2代目と並べて見ると「小さいな」というのが第一印象で、次に「細長いな」が続く。

<全長×全幅×全高、ホイールベース>
・4430×1810×1160mm、2530mm(初代後期型タイプS)
・4490×1940×1215mm、2630mm(2代目標準モデル)

ボディ・サイズを比べると小さく感じるが当たり前であることが一目瞭然だ。細長く見えるのは、全長と全幅の比が2代目よりも大きく(全長に対して全幅が狭い)、全高が低いことがさらにその印象を強くしているからにほかならない。ホイールベースも初代の方が10cmも短いが、低い全高と小さいタイヤ径のおかげでむしろ長く感じられる。ファストバック・ルックの2代目に対して、初代は3ボックス・セダンのように水平なトラックリッドがしっかりと作られているのも特徴だ。

システム総合で581ps/646Nm、エンジン単体でも507ps/550Nm(標準モデル)という強心臓のハイブリッド・システムを冷やすため、大きな空気取り入れ口が多数開けられた2代目に対し、初代後期タイプSは280ps/304Nmといったように、エンジン出力が半分以下しかなく、しかも大きな熱源となるターボやモーター、インバーターを持たないため、エアインテークが小さい。それも影響して、現在の基準と照らし合わせると落ち着き過ぎではと思えるほど、スッキリ感の強いスマートなデザインを持つ。



2代目はスーパースポーツの王道

展示されていた2代目の標準モデルは、2019年に新設定された黄色のボディ・カラーをまとった「2020年モデル」と呼ばれる最も新しい仕様だ。2018年の小改良でフロント・グリルの色使いが若干変更されたものの、基本的に2代目のデザインは2016年に発表されて以来変わっていない。

2代目は今風のスーパースポーツ然としたデザインだ。アグレッシブで力強さや速さをしっかり具現化。必要な長さのホイールベースを確保しつつ、前後オーバーハングをしっかりと切り詰めてボディをコンパクトに仕上げている。空力性能のさらなる向上と各部の冷却のためにたくさん空気を取り入れることにかなり力を入れている点も最近のスーパースポーツの例に漏れていないと言えるかもしれない。

ガラリと変わった外観に対して、内装は「初代がモチーフなのかな」と思わせるほどイメージは近い。もちろんディテールを見ればまったく別モノなのだけれど、低く開けたダッシュボードや、そこからなだらかにセンターコンソールまで続く意匠などを見ると、初代の香りを強く感じるのだ。







タイプSは、イタリアの闘牛を彷彿!?

初代よりも戦闘的なイメージが強められた2代目の標準モデルも最終モデルのタイプSと並ぶと大人しく感じられる。それほどタイプSはさらにシャープで研ぎ澄まされた印象だ。エッジの立てられたラインを複雑に組み合わせたフロントまわりはどことなくイタリアの闘牛ブランドのクルマを彷彿させる。彼らが最近好んで使うマットなグレーというボディ・カラーをまとっている影響も大きいかもしれないが……。ただ、「このデザインを採用した後期型が登場していたら」と、ちょっと残念な気分になったということは、この進化はおそらく成功しているのだと思う。

タイプSを最後に、再び過去のクルマとなってしまうNSX。電気自動車でもいいから2度目の復活を、クルマ好きとしては願ってやまない。







文=新井一樹(ENGINE編集部)

(ENGINE WEBオリジナル)

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