2021.09.21

CARS

BMWがリサイクル率100%を目指す究極のエコカーを出展【ミュンヘン・ショー2021】

フランクルフルトに替わってモーターショーが開催されることになったミュンヘンはBMWにとっては本社のあるまさにお膝元だ。そこでBMWが見せてきたのは、「iヴィジョン・サーキュラー」。脱炭素のみならず、積極的なリサイクルをはじめとするリユース、リデュース、リサイクルの「3R」に、新たな考えを取り入れる「リシンク」を加えたコンセプトを提唱するモデルだ。

2040年を想定した未来のコンパクトEV

2040年のコンパクトEV(電気自動車)を想定したこの4座のコンパクト・カーは、サーキュラーの名が示す通り循環型社会を想定している。リサイクル素材の使用率とその後の更なるリサイクル率の両面で100%を達成することを目指した。





塗装をせず、素材と加工で色を表現

内外装とも使用されるスチールやアルミ、ガラス、プラスチックは再生材で、3Dプリンターで成型されるステアリング・ホイールは木粉を成分に含んでいる。さらに、タイヤのゴムや内装パネルのウッドはFSC(森林管理協議会)認証を取得した適正に管理された森林に由来することが証明されたものを使用している。駆動用の全固体電池もほぼすべて再生マテリアルで製造され、すべて再資源化できるよう開発するなど、希少な資源の使用量を削減しつつ、高いエネルギー密度を達成するという。

ボディやインテリアの彩色も塗装ではなく、素材そのものや表面加工による色合いを活用。ライトゴールドのアルマイトや加熱で青紫に発色したスチール、マーブル模様の再生プラスチックなどがそのまま塗装の代わりとなっている。環境負荷の大きいレザーとクロームも廃止し、エンブレムはレーザー刻印となり、ヘッドライトと一体化したキドニー・グリルは、デジタルグラフィックで表現した。





製造方法に工夫を

また、部品点数を減らすだけでなく、接着をせず分解や交換のしやすい接合方法を採用。専用工具で1回転すれば固定と取り外しが可能なクイック・ファスナーを用いることで、素材に応じた分別の手間を軽減し、廃車後の再生利用を容易にしたのみならず、部品交換もしやすくなり、OTAアップデートと合わせて車両の最適な状態を長く保てる設計でもある。乗り続けることもまた、サステナブルなカーライフというわけだ。

インテリアでは、各種情報はフロント・ウインドウに投影。ダッシュボード中央には3Dプリントされた結晶状のパーツを備えるが、これは次世代のユーザー・インターフェースで、手の動きに反応して光り方を変えるなど装飾的な側面も持つ。後席の照明には、iXのiドライブコントローラをリユースしている。

現在、30%近い再生材使用率を今後は50%まで高めたいとしているBMW。iヴィジョン・サーキュラーで示したかったのは具体的な技術よりだけでなく、サステナビリティへ取り組む姿勢だったようだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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