これが最後の内燃エンジンか？　M2、M4、M5、M8、4台のBMW「M」を乗り比べる！！

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上田　そうした成り立ちは、走りにも表れてましたね。

村上　M2が旧時代のスポーツ・モデルのあり方を色濃く残していたのに対し、M8は新時代に向かうBMWのスポーツ・モデルの象徴だと思ったよ。M2はすごくアナログで、M8は逆にデジタル的。その間のM2寄りのところにM4がいて、M8寄りのところにM5がいる。

上田　今は過渡期でEVやディーゼルやハイブリッドや、様々なパワーユニットが選べるけど、同じBMWの同じMモデルで、これだけ違うクルマが選べるのは本当に面白い。

村上　全部純内燃エンジンだから、4台すべて旧時代のクルマとも言える。

荒井　4台とも向いている方向は、いかに速くAからB地点に移動できるか。そして、それが善である、っていう古い考え方が根底にある。

村上　これまでのドイツ車が目指してきたことの頂点にあるクルマとも言えるね。それはアウトバーンのあるドイツにおいて、速く移動できることに価値があったからで。

荒井　最後の打ち上げ花火みたい。

新井　でもM8とM5からは、まだやることがある、それを一生懸命やろうとしている、っていう思いを感じた。この2台は基本4輪駆動だけどドリフト・モードがある。今ドイツをはじめ、欧州ではドリフトが流行っているからね。4駆ならテールが流れても前輪に駆動力を足せば収められる。ただ、ドリフトをしやすくするせいか、ステアリングを45度くらい切り込んだ時の反応が過敏で、今までのBMWとはハンドリングの仕立てが違っていた。

村上　かつてのドイツ車って、スポーツ・モデルでもステアリングは少し遊びがあって、スローだった。アウトバーンで200km／h以上で走っていたら、そうじゃないと危ないからね。でもM8もM5も基本は4駆になり、電子制御も入って、そうじゃなくなった。

新井　でも、その後でM2に乗ったら、そうそう、BMWってこうだった！　って思い出した。まるで昔の3シリーズ、E36時代の318iSみたい。すごく素直で、ステアリングを切ったら切っただけ曲がる感じで。

上田　M5とM8は今回はじめて乗ったんですが、M8のガチガチの車体だとか、これまでと異質のものだと思う一方で、M2は確かにすごく懐かしさがあった。それと比べるとM4は2駆で、デジタルとアナログのバランスがいいというか、フォーカスが全部合っている感じがしました。

村上　僕も圧倒的にM4がいいと思った。結局M4って、名前は変わったけど、MモデルのコアであるM3からの直系だよね。だからBMWがいま、Mというクルマでやろうとしていることが一番ストレートに入っている。一方、M8やM5は先進的で、少し偏り、尖っている。M8は初めて乗ってびっくりした。こんなにこれ見よがしなサイボーグみたいなクルマなんだって。サスペンションのストロークはしっかり取っていて、スプリングも柔らかめなんだけど、ダンピングがものすごく締められている。ボディ剛性も2ドアですごく高くて、けっこう身体に堪える感じの硬さだった。

新井　M8やM5はブッシュも硬い。

上田　M4みたいに、自然にボディ全体がしなるような感じじゃない。

村上　我々はスポーツ・モデルに対して人馬一体という表現を使うけど、ここまでいくと馬どころか、機械に操られている気分になる。

新井　でもM8はMの頂点、フラッグシップだから。やるならとことん徹底的に、なのかもしれない。

村上　M8からM5に乗り換えた時は、すべてがずっとマイルドだったから、これぞBMWのスポーツ・セダンだと思った。ラグジュアリー・スポーツかくあるべし、って感じ。とはいえかつてのM5に比べてものすごく速くなりすぎていて、足も硬くて、自分で自分の首を絞めている感じもある。でも、周囲も速くなっているから、そうせざるを得ない。

上田　アウディのRSもいるし、メルセデスAMGもいる。

村上　最近はアルピナも同じ路線になりつつあるし、大変だよ。だからそういうことから解き放たれた、M4みたいな立ち位置が確立したモデルじゃないと、なかなか難しい。

新井　ただ、日本仕様のM4って2駆だけでも3種類あって、僕らが乗ったM4コンペティションがバランスがいいのは、これが中間グレードで、上にまだトラック・パッケージがあるからかもしれない。M5やM8のコンペティションは基本、一番上のモデルだから。

上田　M2とM5には限定のよりハードコアなCSがありましたけどね。

新井　M4はこの後、4駆も上陸する。そうすると、より明確にM4の立ち位置が見えるかもしれない。4駆のM4はM8やM5の流れを汲んだ、本当に速くて、新技術をうまく取り込んだものになっているかも。

村上　いやはやこの4台とも、もう十分に速いよ。とりわけV8の2台はスーパー・スポーツカーの領域だ。

新井　あの急な登りの箱根ターンパイクでも、傾斜を感じなかった。

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