2023.02.25

CARS

「寄り道はしないほうがいい」と言われて、アバルト沼にまっしぐら! 750GTザガートやチンクエチェントを所有するオーナーのアバルトの愛し方とは

フィアット・アバルト750GTザガート(1959)やチンクエチェント(1966)など、数多くのフィアット&アバルトたちと戯れる松村 啓さん

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松村さんは750GTザガートでヒストリックカー・ラリーやヒルクライムを楽しみ、1000ベルリーナ・コルサでは主にサーキット走行を堪能しつつ、ときには750GTザガートと同じようにヒルクライムに参戦することもあるそうだ。 2台のアバルトを適宜使い分けているが、以前からキャラクターが被っていないクルマを増やしていくように心掛けてきたという。

ブルーのラインが印象的な1000ベルリーナ・コルサは1966年式。


「750GTザガートに続いて手に入れた我が1000ベルリーナ・コルサは、1966年に850TCコルサとしてデリバリーされたのち、1968年にアバルトのファクトリーで1000ベルリーナ・コルサに変更され、グループ5カテゴリーでドイツなどのレースに参戦していました。850cc以下と1000cc以下のクラスの両方で優勝経験があるようです。さらにその後、イギリスを経てイタリアのベルニ・モトーリのもとでグループ2のワイド・フェンダーを装着するなどのモディファイを受けて日本上陸し、ル・マン・クラシックに参加した個体です。いま積んでいるエンジンはA112アバルト用で、オートバイのパーツでも有名なPBS製のヘッドを組み合わせています」

ヒストリックカー・レースでミニを破るために組まれたサスペンションは驚くほどしっかりしていて、5段MTのギヤ比は富士スピードウェイの直線にマッチしているそうだ。

2台のアバルト以外に松村さんが愛用しているのは、フィアット・ヌォーヴァ500トラスフォルマービレ、現行型のフィアット・パンダ4×4とアバルト695Cリヴァーレ、クーペ・フィアット20Vターボ、そしてシトロエンC6。ヌォーヴァ500はヒストリックカー・ラリーや展示系のイベント用、3人まで乗ることが可能なカナディアンカヌーを運搬する機会が多いパンダは足グルマ兼アウトドア遊び用、アバルト695は足グルマ、クーペ・フィアットは当初は足グルマだったが、現在は後世に残すために大切に保存しつつ雨の日のイベント用で、C6は長距離移動と冠婚葬祭用として使い分けているそうだ。

実はフランス車も愛用

現在の愛車を列記すると、シトロエンC6だけがフランス車なので、異質な存在だが、往時の車歴を伺ってみたら、あぁ、なるほどね、と納得してしまった。

C6は2006年に新車で購入した。


「リトモ・アバルト130TCを買うときにアウトビアンキA112アバルトと迷ったのが、ルノー5GTターボとプジョー205GTIでした。205は1.6リッターの方です。130TCの次に1.6リッターの205GTIを買い、その後、私の人生で初めての新車となったプジョー306S16に乗り換えました。それからアルファロメオ156、クーペ・フィアット20 Vターボと共にシトロエン・エグザンティア・ブレークを手に入れました。エグザンティアはC5バイ・カールソンに換わり、さらにC6といったようにシトロエンも連綿と乗り継いでいます。ちなみに、2台のプジョーを乗り継いでいたときは、アルファ156が現れるまで欲しいイタリア車が無かったんですね」

フィアットとアバルトにご執心かと思いきや、フランス車にも興味を持ち続ける松村さん。次なる展望をどのように描いているのだろうか。

「旧いDSとかも気になりますが、これからもフィアットとアバルトが自分の守備範囲だと思っています。旧いアバルトのことは常に気になっています。いいご縁があって、このクルマどう? と提案されたら、そのときに考えるかもしれませんね。ただ、ヌォーヴァ500と750GTザガートはもっと年配になっても乗れるので手放すことはないでしょう」

松村さんは現在53歳。精力的にイベントなどに参加しているので、各地でフィアットかアバルトで駆けぬける姿を見ることができるだろう。

文=高桑秀典 写真=郡 大二郎

(ENGINE2022年2・3月合併号)
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