2023.04.28

CARS

メルセデス・ベンツ280SEクーペ(1970)とレクサスLS600h(2012) ロールスにも乗った、ビッグ・サルーンが好きなオーナーのクルマ選びの基準を聞いてびっくり! 

トヨタ・セリカXXに始まり、多くのクルマに乗り継いできた五百木 進さんが辿り着いたのは、50年前のメルセデス・ベンツ。どのクルマも助手席にはコントラバスがあった。エンジン編集部の荒井がリポートする。

50年前のクルマとは思えないほど美しい

純白のレクサスLS600h(以下レクサス)のステアリングを握り千葉へ向かっている。5リッターV8の咆哮を聞きたいが、首都高速は大渋滞だ。このレクサスのオーナーである五百木 進(いおき・すすむ)さんは、もう1台の愛車であるメルセデス・ベンツ280SEクーペ(以下280SE)を運転しているのだが、渋滞のせいではぐれてしまった。こんなに混んでて大丈夫なのか? 私が運転しているレクサスには何事も起こらないだろうが、五百木さんの280SEは1970年型だ。どこかで立ち往生していて、本日の取材は改めて、なんてことにならないだろうか? 至極ラクチンなレクサスでさえ、ぐったりするほどの渋滞を過ぎ、待ち合わせの木更津北ICの出口へ着くと、五百木さんの280SEはすでに到着していた。



広い公園の駐車場で2台を並べて撮影する。どうしても280SEに目が行く。黄みがかったシルバーのボディは50年前のクルマとは思えないほど美しい。

「最初は点火系が不安定だったんですが、ディストリビューターをフルトランジスター・タイプにしてからは安定しています。真夏でなければ、この程度の渋滞は大丈夫ですよ」

私よりずっと涼しい顔で五百木さんは言った。五百木さんの280SEはW111型で、2014年5月から乗っている。

「2.8リッターの直6SOHCです。コラム・シフトの4段AT。縦にライトが2つ並ぶから、これはアメリカ仕様です。エアコンのコンプレッサーを日本製のものにしてからは、クーラーもよく効きます」

サルーンを乗り継ぐ

280SEに乗って7年。五百木さんの車歴のなかでは長いほうだという。

「最初に買ったのはトヨタ・セリカXX。リトラクタブル・ライトを持つ2代目です。NHKの番組で輸出仕様と国内販売車両とでは、安全装備が違うというのを知って、逆輸入のセリカ・スープラ(セリカXXの海外車名)に買い換えました」

初めての輸入車はBMW635CSi。当時最も美しいクーペと言われたE24型である。

「ガイシャってこんなに違うんだと思いました。エンジンの吹き上がりがものすごく滑らかなのと、高い静粛性に驚きました」

その後、メルセデス・ベンツ300TD(W123)、トヨタ・マークIIGTツインターボ、BMW M5ツーリング(E34)、メルセデス・ベンツ300SEL(W109)、デイムラー・ダブルシックス、ロールス・ロイス・シルバー・スピリットII、メルセデス・ベンツ420SEL、メルセデス・ベンツ560SEC、BMW M5(E39)と、次々と乗り継いできた。



乗り継いできた数も凄いのだが、すべてサルーンであるのに驚く。1台ぐらいスポーツカーがあってもいいんじゃないか?

「ひとつだけ基準があります。それは楽器を乗せるということです」

五百木さんは趣味でコントラバスを弾いていて、コントラバスを車内に乗せられることが前提なのだ。

トヨタ・セリカXXに乗ったんですか? と聞いたら、助手席に1本、リア・ゲートを開けてさらにもう1本乗ったというのには驚いた。

乗ってきたクルマには、それぞれの特徴があり面白かったという。



「BMW635CSiから乗り換えたW123型のメルセデス・ベンツでは、ベンツってこんなに丈夫なんだと思い、トヨタ・マークIIGTツインターボでは速いけど飽きるということを学び、E34型のM5ツーリングでは3.8リッター直6エンジンに酔い、デイムラー・ダブルシックスではV12エンジンのスムーズさと素晴らしい乗り心地に感心し、E39型のM5は6段マニュアルの操作を楽しみ、ロールス・ロイスでは後席の父を喜ばせることができました」

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