2022.03.29

CARS

ついに日本上陸した992 型ポルシェ911GT3で、箱根までひとっ走り! 超硬派のGT3が帰って来た!!

ポルシェ911 GT3

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キイを差し込むことなく、右手のスイッチをひねってエンジンを掛ける。キュルルルルという音に続き、ブフォーンという大きな雄叫びを上げて、リア・オーバーハングに搭載された4リッター自然吸気フラット6に火が入った。カップ・カーのものとほぼ同じというこのユニットは、回転が落ち着くまで想像以上に激しい音と振動を立てるのに度肝を抜かれる。



ウーウーウーという唸り声のようなエンジン・サウンドに、まるで猛獣を背後に飼っているみたいだった996型の初代GT3のことを思い出した。1999年にデビューして、2000年8月にENGINEが創刊された時に長期リポート1号車として編集部にやってきたそれは、真っ黒な甲冑を纏った野武士のように潔くスポーティなマシンだった。まるで金庫の中にいるかのような剛性感の塊のボディに、地面を押さえつけるかのように固められた足まわり、そしてアクセレレーターを踏みつけるたびに雄叫びを上げるフラット6ユニットに、乗っている間ずっと緊張しっ放しだったことを覚えている。6段マニュアルのクラッチ・ペダルは岩みたいに重くて、渋滞で足が攣りそうになったこともあったっけ。

あの、超硬派なGT3が帰って来た! まだ1mmも走っていないうちに、すでに私の頭の中にはそんなフレーズが浮かんできた。そして、結論から言ってしまえば、その印象はこの後走れば走るほど強くなっていったのである。

丸いシフトノブを、上のボタンを押しながら後ろへ引いてDレンジに入れる。この7段PDKには、カレラ系の8段PDKとは違い、まったくクリープが付けられていないようでクルマは微動だにしない。恐る恐るアクセレレーターを踏み込んでいっても、なかなかクルマは動き出さなかった。さらに強く踏み込んで、ようやくソロリソロリと発進。駐車場の枠から出るのにステアリングを深く切り込むと、抵抗が凄い。思いっきり太くて浅溝のグッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツRが、路面と摩擦してゴキゴキと音を立てる。リアから聞こえるゴキゴキは機械式のLSDが作動する音だろう。これはとんでもない乗り物をテストすることになったものだと、緊張感が一段と高まった。


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