2022.04.22

CARS

華やかなパリの香りがするフランス流高級SUV DS7クロスバックEテンス4×4に乗った5人のモータージャーナリストの感想とは【2022年エンジン輸入車大試乗会】

DS7クロスバックEテンス4×4

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続いてのインプレッションは、武田公実、金子浩久、山田弘樹の3人。やはり、アクティブ・スキャン・サスペンションの効果は絶大なようで、3人ともに触れていることに注目したい。

ふたクラス上のSUVと匹敵するほど極上なクルーザー/武田公実

たぶん筆者が「DS」という名に過度に拘泥してしまっているせいなのだろうが、DS7の第一印象は芳しいものではなかった。伝説の起源たるシトロエンDS/IDシリーズが、そのフォルムからして現代彫刻に喩えられる美を体現していたのに対して、現代のDSは華美な加飾によって、ライバルたちと大差ないプロポーションを引き立てようとしている。ましてDS7は、デザイン上の制約が多いSUVである。でも、いざDS7で西湘バイパスに乗り出すと「なるほどこれはDSだな……」と納得させられることになった。もはやここでハイドロニューマティックの話題に触れるつもりはないが、かつてのシトロエンDSが「オートルートの女王」と呼ばれたように、現代のDS7も「アクティブ・スキャン・サスペンション」によるフラットライドが、極上の高速クルーザーとしての資質をもたらしている。さらに電動モーターを併用した「E-TENSE」ではトルク感もアップ。静粛性の高さも相まって、ふた回りも上のクラスのSUVに匹敵するクルーズ性能を有していると思われたのだ。



DSらしい独自の発想と独自の技術/金子浩久

エンジンと2基のモーターで前後輪を駆動するPHEV。走行状況によって、モーターだけで走る時もあれば、エンジンを併用する時もある。エンジンが駆動に用いられる場合と充電に用いられる場合の切り替えは非常に多岐にわたっていて、エナジー・モニター画面を見ても法則性のようなものは見つけられなかった。それだけ複雑で細かな制御がなされている。乗り心地はソフトで心地良い。特に、60km/h以上になってからの柔らかさが印象的。カメラで路面を監視し、凹凸が映るとダンパーを連動させ、瞬間的に減衰力を変化させて路面からのショックに備えて乗り心地を保とうとするDSアクティブ・スキャン・サスペンションも、ある程度のスピードが出ている方が効果を得やすかった。ドライバーと乗員をいかに快適に過ごさせるかという命題に対して、独自の発想と独自の技術で成し遂げようとしている。快適性はすべてのクルマに求められるものだが、自らがベストと信じる手段によって行おうとするところにとてもDSらしい矜恃が示されている。



デザインの奇抜さとは対照的な所作のまともさ/山田弘樹

路面をカメラでセンシングしながらダンパー減衰力を調整するアクティブ・スキャン・サスペンションと、フロントに1.6リッターターボを搭載しながらも、そのほとんどをモーターで走らせるEVライドの組み合わせは抜群。路面からの入力をきちんと減衰しながらも操舵はフワフワせず正確であり、アクセルを踏めばタメなく加速するから、走らせていて歯がゆさが全くない。インテリアの奇抜さや、独特なアピアランスとは対照的に、その所作がものすごくまともなのである。残念なのは急速充電に対応していないことで、当日はジャーナリスト諸氏が試乗した後では56kmのEV航続可能距離が、ほとんど使い切られていた。それでも実際には一定量残された電力と回生充電によってモーター駆動が保たれており、乗り味そのものは素晴らしいことに変わりないのだが、エンジンの稼働率が多くなるならやはり、チャージモードを備えてもっと手早く充電して欲しいところ。これだけ成熟した乗り味とプレミアムなデザインを備えているのだから、システムの改善が早く望まれる。



写真=柏田芳敬(メイン)/郡 大二郎(サブ)

(ENGINE2022年4月号)

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