2022.04.14

CARS

シャキッと変貌したアメリカンSUVの王! キャデラック・エスカレードに5人のモータージャーナリストが乗る【2022年エンジン輸入車大試乗会】

キャデラック・エスカレード・プラチナム

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続いて、渡辺敏史、今尾直樹、藤島知子のインプレッション。なかでも、先代モデルとの比較を細かいところまで記した渡辺の試乗記は、モデルチェンジの効果がよくわかる。

サス形式変更の効果てき面! 乗り味はガラリと変わった/渡辺敏史

もはやステーションワゴンは壊滅、その上セダンさえ駆逐される勢いのSUV超先進国がアメリカ。そんな彼の国でショーファードリブン・ユースも兼ねる最高級車となるのがエスカレードだ。この新型でもベースとなるのは相変わらずのラダーフレーム車台だが、新型ではタホやユーコンなどのSUV用に起こされたマルチリンクのリアサスを用いて四輪独立化、そしてエスカレードのみの装備としてエア・サスペンションが採用されている。さすがに乗り味は前型からガラリと変わっている。低速域でやや粗さは残るも、中高速域での横揺すりや突き上げの激減など、改められたサスペンションの効果があらたかだ。高速やコーナーでの安定性やライントレース性も、前型に比べると異次元の進化を遂げている。一方でエンジンは伝統のOHV V8をしっかり継承していて、アメ車らしい鷹揚なキャラクターがパワートレインの側からしっかり醸されているところが面白い。カリナンをも上回る車格はさすがに一般道では持て余すが、それもまたならではの豊かさと思えるユーザーにとっては唯一無二の存在たり得るだろう。



のんびり行こうと思わせる現代の駅馬車/今尾直樹

超巨大SUVのフロント・マスクは壁のようにそびえている。ドアのノブに手をかけると、即座にステップが自動的に出てくる。よっこらしょ、と乗り込むと、豪華な7人乗りのスペースがあらわれる。現代の駅馬車だ。前後独立懸架でエア・サスだけれど、どこかリジッドっぽい。シャシーはどっしりしていて、上屋は微妙にふわふわする。車重は2.7トンもある。動きは精緻だけれど、ものすごくでかいものを運転している感がある。6.2リッターV8OHVは静かで、さりげなくトルクを生み出す。10段ATということもあって、一般道でのエンジン回転は1200rpm程度で、ゆるゆる回っている。車線をはみ出すと、シートの下の、はみ出した車線側、つまり左側か右側をトントンとノックする。こんなにでかいのに山道ではよく曲がる。ブレーキは要注意。ターンパイクの下りで、液晶画面に「オーバーヒートを防ぐためにブレーキの使用を制限してください」という表示が出た。ドッキン。坂道の下りなんだよ~。スピードは控えめに。アメリカは広い。のんびり行こう。と訴えるクルマでした。

デジタル・メーターとインパネ中央の大型液晶パネルが未来的な印象を与えながらも、室内全体では高級感が漂うインテリア。素材や仕上げもとても上質で居心地がいい。2列目がキャプテン・シートとなる2-2-3の7人乗り。


最高傑作と謳われるのに相応しい王者の貫禄/藤島知子

エスカレードはキャデラックならではのラグジュアリーな世界観を惜しげもなく表現し、セレブリティたちに支持されてきたフルサイズのSUV。“キャデラック最高傑作”と謳う最新モデルは全長とホイールベースを拡大し、水平基調を強調したモダンな佇まいに。独立懸架のリア・サスペンションを新開発してフロア高を低く抑えて3列目乗員の足元空間が拡大したほか、乗降性や荷室の積載性も高まっている。インテリアはレザーを惜し気もなく張り巡らせたダッシュボードや木目のコンビネーションなど丹念に仕立てた上質な佇まい。湾曲した有機ELのディスプレイを採用するなど、先進性も高められている。シートに座るとアイポイントは相当に高く、非日常感を通り越してアトラクションに変わる。巨体だけに一般道では路肩に10~20cm程度しか隙間がない状態で走ることもあるが、直線的なボディは車幅感覚が捉えやすく、路面を丁寧に捉えて走る足回りも手伝って意のままに走りやすい。トルクの塊のようなV8・6.2リッターエンジン、悠々と構えて走るさまは王者に相応しい貫禄を漂わせる。



写真=神村 聖(メイン)/柏田芳敬(サブ)

(ENGINE2022年4月号)

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