2022.09.17

CARS

BMWアルピナB8で行く伊豆の温泉宿と美術館を訪ねる旅 走って、浸かって、食べて、見る! これだからクルマ旅はやめられない【前篇】

池田20世紀美術館のエントランス前。建物を設計したのは彫刻家の井上武吉氏。置かれている二つの彫刻は木村賢太郎氏の作品だ。

全ての画像を見る
とっておきのGTカーに乗って、ずっと気になっていた絵を見に行きたいと思った。どうせなら、温泉にも浸かりたい。おいしい料理も食べたいのは、もちろんだ。ついでに走り甲斐のある道があれば言うことなし。というわけで、一路、伊豆半島へ。お気に入りのクルマで行く小さな旅。エンジン編集部のムラカミがリポート。今回はその前篇をお送りする。

advertisement


見聞を広めるためのグランドツーリング


“GT”という言葉が、かつて18世紀の英国貴族の子弟たちが学業の総仕上げとして行なった、ヨーロッパ大陸への大冒険旅行(グランド・ツアー)からきていることは、ENGINE読者ならすでにご存じの方が多かろう。短くても数カ月、時には数年にも及んだその旅行の目的地は、まずパリであり、さらにアルプス山脈を越え、フィレンツェを経由してローマを目指した。それらの地で、見聞を広め、異文化を体験するのが最大の目的だったわけだが、その一番手っとり早いやり方はといえば、昔も今も同じ、美術館や古代の遺蹟を巡ることだ。花の都でルネサンスの名画や彫刻に親しみ、すべての道が通じるかつての世界の中心で古代帝国の栄光の跡に触れることが、自らの審美眼を磨き、教養を身につける最短にして最良の方法だったのだ。

0-100km /h加速3.4秒。最高巡航速度324km /h。


今回、GTとは正反対の“小さな”旅を特集することになった時、それならば私の小冒険旅行では、ルーブルやウフィッツィと比べたらずっと小さいけれど、死ぬ前にどうしても見ておきたい絵画を展示する、ある美術館を訪ねたいと、パッと頭に閃いた。伊豆半島の真ん中、伊豆高原にある池田20世紀美術館である。

この美術館のことを知ったのは数年前、フィレンツェ生まれのイタリアの現代画家、マッシモ・カンピリについて調べていた時だった。その頃、ある本の中でカンピリの絵を発見し、それがあまりにも印象的だったので、頭から離れなくなっていた。

まるで古代ローマの遺蹟の壁のように灰白色の漆喰風な画面に描かれた不思議な女性たち。平面的で影はない。みんな正面を向いていて、なにか動きを持っている。たとえば私が一番好きな一枚はヨーヨーをして遊んでいる女性たちを描いた絵だったが、調べていくうちに、その作品にも似た、両手を上げたり下げたりしている女性たちの姿を描いた“ようこそ”という題名の作品が日本にあることがわかった。それを所蔵しているのが池田20世紀美術館で、ほかにピカソやマティスの絵もたくさん展示しているという。さらに、美術館のモダンな建物の写真をネットで見るに至って、これはいつかクルマの撮影に使わせてもらおうと、秘かに狙っていたのである。

高品質な天然のラヴァリナ・レザーを用いて、手作業で丁寧に巻かれたバイカラーのステアリング・ホイールをはじめとして、手や身体に触れるもの、目に入るもののすべてが、特別に吟味された素材により品良く設えられたB8の室内。


で、せっかく伊豆半島まで行くのなら、ぜひ温泉にも浸かりたいと考えた。調べてみると同じ伊東市には、前回の旅の取材で行った「界 鬼怒川」の系列にあたる「界 アンジン」という温泉旅館があるではないか。この「アンジン」という名前にも興味を持った。どうやら、三浦按針のことを指しているらしいのだが、なぜ三浦半島ではなく伊東なのか。

そんな一切合切の興味と疑問を解く旅こそ“小さな”ツアーにふさわしいじゃないの、と勝手に決め込み、すぐに宿と美術館に連絡して、取材の約束を取り付けた次第である。



無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement