2023.02.19

CARS

まるでサンダーバードの秘密基地! 地下トンネルもある隠れ家別荘をマクラーレンGTで訪ねる旅【前篇】

マクラーレンGTと秘密の隠れ家別荘のガラスのガレージ

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スポーツ・サルーンのように快適

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六本木ヒルズを出たあとは、東名高速で箱根方面を目指した。ここではマクラーレンGTの快適な高速走行性能が堪能できるはずだったが、平日だというのに渋滞気味で、追い越しもできないままの走行が続く。スムーズに流れるようになったのは小田原厚木道路辺りからだ。

最近のスーパーカーは総じて乗り心地が良く、低速走行で苦痛を強いられるようなことはほとんどないが、なかでもマクラーレンGTの快適性は群を抜く。ドアを開けて手を伸ばせば地面に触れられるほど低く、隣りに並んだミニバンがトラックに思えるほどだが、そんな視線の低さを除けば、まるでスポーツ・サルーンのように快適だ。マクラーレンGTには、プロアクティブ・ダンピング・コントロールと呼ばれるアクティブ・ダンパーが装備されているが、ダンパーのモードをソフトにしていると乗り心地は素晴らしくいい。

地下トンネルは緩やかにカーブしており、入り口からは中が見えない。


GTには何度も乗っているはずだが、今回改めて感心したのは静粛性の高さだ。ひとりで乗っているときはあまり気にしていなかったが、何しろ隣りに乗っているジョーさんとごく普通に会話ができてしまうのだからビックリである。

タイヤはフロントが225の35でリアが295の30という極太のサイズだが、ピレリが専用に開発したというサイレント構造のおかげでロードノイズも低く、当たりも柔らかめだ。そのほかガラスには遮音シールドが施されており、室内に侵入するエンジンの音もかなり低く抑えられている。

スーパーカーに快適性という要素を持ち込んだのはマクラーレンだ。GTだけでなく、720Sだって決して乗り心地は悪くない。もっと言えば、MP4-12Cに初めて乗ったときは、スパルタンなフェラーリやランボルギーニと全然違って、乗り心地が良くて驚いた。そんな話を助手席のジョーさんにしていると、ジョーさんがぽつりとこんなことを言ったのでもっと驚いた。

「NSXも快適でしたよ」

何を隠そう、ジョーさんはかつて初代ホンダNSXのオーナーだったという。このことは何度かエンジンにもジョーさん本人が書いているが、バブル絶頂の頃に買い、その後盗難にあうという経験をしている。NSXも「緊張ではない、解放するスポーツ」を謳っていたが、聞けばジョーさんのNSXはATモデルだったそうだ。

主屋の広々としたリビングからは太平洋が一望できる。ミニマリスティックな空間は落ち着きがあって居心地がいい。

「でも、30年前のNSXと比べるとマクラーレンGTは、はるかに豪華でモダンで、それでいてスポーツカーとしても凄い」

ジョーさんが横Gに耐えつつドアハンドルを握り締めながらそう言ったのは、箱根のワインディングを走っているときだ。

ロングドライブがまったく苦にならないマクラーレンGTだが、やはり曲がりくねった山道は運転していて楽しい。いつの間にかペースが上がって、アクセルを踏む右足に力が入る。スポーツサルーンでは味わえない鼻先の軽さはミドシップ・スポーツカーならではの快感である。最高出力は620馬力、最大トルクは630Nmもあるが、ドライブモードをスポーツに切り替えても、極端に獰猛になることはない。もっと飛ばそうと思えばそうできるが、いまはこれ以上攻めなくても十分楽しい。乗り手の求めに応じていかようにでも反応する。マクラーレンGTの凄さは、実はそんな懐の深さにあると改めて思った。

◆そして旅はいよいよ秘密の別荘へ! この続きは、ガラスのガレージがある隠れ家別荘をマクラーレンGTで訪ねる旅【後篇】はコチラ!

文=塩澤則浩 写真=望月浩彦 コーディネート=ジョー スズキ 取材協力=岡田哲史建築設計事務所

■マクラーレンGT
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4683×2045×1213mm
ホイールベース 2675mm
トレッド(前/後) 1671/1663mm
車両重量(前軸荷重:後軸荷重) 1530kg(640kg:890kg)
エンジン形式 水冷V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量 3994cc
最高出力 620ps/7500rpm
最大トルク 630Nm/5500-6500rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前後) マクファーソンストラット/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ(前) 225/35ZR20
タイヤ(後) 295/30ZR21
車両本体価格 2695万円

■建築家:岡田哲史 1962年兵庫県生まれ。NYのコロンビア大学大学院で学び、早稲田大学で博士号を取得。建築史の研究活動をした後、本格的に設計活動を開始。住宅や別荘からギャラリー・音楽ホールまで幅広く手掛ける。建築史に造詣が深く、美しく細やかなディテールと豊かな空間性には定評が。2006年に権威ある国際建築賞を受賞したため、世界的に知名度が高く、海外でも設計・教育・講演活動をしている。写真の住宅は小誌の「スーパーカーのある家」特集(2019年3月号)で大きな話題に。

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(ENGINE2022年5月号)

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