2022.09.12

CARS

シビック・タイプR詳細解説・エクステリア篇 クラス随一の空力性能の秘密は?

日本での販売が開始された新型ホンダ・シビック・タイプR。先代同様、正式発表前から高い人気と評判を得ていて、受注台数も発表から1週間足らずで半年以上分に達しているという。今回は、そんなクルマ好きから大きな注目を浴びるシビック・タイプRのディテールを解説していきたいと思う。

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すべては空力性能向上のため

その第1弾として取り上げるのはエクステリア。オリジナルデザインの前後バンパーやワイド・フェンダー、リア・ウイングなどタイプR専用のアイテムを多数用いることで、重点的に進化させたという空力性能を中心にチェックする。



細部まで煮詰めたフロントまわり

まずはフロントまわり。タイプR専用デザインのグリルやフロント・バンパ―をはじめ、先代よりもスッキリとプレーンなデザインになっているが、空力性能の面から見てもかなり細部まで煮詰められている。

先代よりも前方に移動したボンネット上のフードベントは、有効開口面積を48%も拡大したラジエターからの気流を放出し、冷却性能とダウンフォースを高めている。ラジエターは先代で2基だったファンを大型の1基とすることで冷却性能をアップしつつ空気抵抗を低減した。



内部構造や床面にも最新の注意を払う

バンパー開口部はメッシュを別体化し、内部形状の造形自由度を向上。それにより気流をエンジン冷却用とそれ以外のものとに明確に区分することで空気抵抗低減とダウンフォース発生を両立させた。また、ダウンフォースは空気抵抗が増すカナードやリフトが増加するエア・カーテンを用いず、ブレーキ導風口のフィンと負圧を生むガーニッシュで発生させている。

さらに、アンダー・カバー前方には負圧を発生させる段差を設け、ロア・グリルの両サイドには操縦安定性に寄与するフィンを設置。リップ・スポイラーや外側にRを持たせたフロント・ストレイキ(アンダー・ボディに装着されるタイヤ前の整流板)は補強リブにより剛性を高めた。



リア・ウイングも大きく進化

ボディ・サイドにはスムーズなエア・フローをもたらすボディ一体型ワイド・フェンダーを採用。前輪のホイール・ハウス内を減圧するエア・アウトレットや、後輪への気流を調整するサイド・シル・スポイラーを設けた。

リアはウイングの翼断面形状を見直して仰角を最適化し、アルミ・ダイキャストの薄型ステーで空気抵抗を低減することで翼下面の有効面積を拡大。ディフューザーはフィンの数や位置、サイズを最適化するべく実機テストを重ねた。さらに、後輪の後方部をえぐり車体下面からホイール・ハウスに入る空気を後方へ下向きに排出することでダウンフォースを生み、リアの接地感をアップしている。

これらの空力パーツを駆使することで前後バランスに優れたダウンフォースを発生。それにより、超高速域でもクラス随一のスタビリティを実現するという。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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