2022.09.18

CARS

新型シビック・タイプRの330psをFFで成立させるシャシーの秘密はどこにあるのか

9月1日から日本での販売が開始された新型ホンダ・シビック・タイプR。ボディやシャシーは1.5リッター・ターボやハイブリッドを積む普通のシビックをベースにしているが、300psを超えるパワーを前輪のみで確実に路面へ伝達させるために、様々な改良が施されている。

先代の進化版

プラットフォームをはじめ、基本骨格は先代のタイプRを発展させたもの。ボディは通常のシビックと同じく、アルミ製ボンネット・フードや樹脂製バルクヘッド、鉄製より約20%軽量な樹脂製テールゲートを採用することで重量を削減しつつ、高効率継ぎ手構造や塗布長を先代の3.8倍に拡大した構造用接着剤により高い剛性を実現した。振動の収れん性や減衰特性を改善してサスペンション支持剛性を高めることで、優れたハンドリングをもたらす土台を固めている。



歴代の進化が今を支える

シビック・タイプRのサスペンションは、前輪駆動(FF)でのハイパワー化に対応するべく、先々代のシビック・タイプR(FK2型)でアダプティブ・ダンパーとフロントにデュアルアクシス・ストラット式を、先代(FK8型)でリアにマルチリンク式を導入。新型のFL5型ではこれらの技術を継承しつつ、部材の剛性アップや制御見直しを行なった。

電動パワーステアリングは操舵トルクを検出するためのトーションバーの剛性を高めるとこで制御応答性と安定性を向上。また、インターミディエイト・シャフトのセレーション加工やタイロッドエンドの高剛性化でダイレクトなフィールを実現。さらに、操舵初期のフリクション低減で切り出し前の応答性を、軸力フィードバック制御の綿密化でステアリングフィールの安定性を、それぞれ高めている。



サーキットでもへこたれない

ブレーキは先代のマイナーチェンジで採用した2ピース・ディスクを継承するとともに、マスターパワーを低めて踏み始めのコントロール性を改善することで、全速度域での操作性を引き上げた。加えて、ブレーキダクトと導風板を改良し、温度上昇を抑制。サーキット5周での上昇値は先代より60℃低くなったという。

性能を高めつつフィーリングも磨き上げた新型シビックR。サーキットでも公道でも、速さと一体感を楽しめそうだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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