2022.12.25

CARS

GRカローラは秘策の2シーター化でFFのシビック・タイプRに肉薄の軽量化を実現

WRC(世界ラリー選手権)で結果を残すために開発されたGRヤリスのパワートレインを移植したGRカローラ。ホンダのレーシング・スピリットを具現化した「タイプR」の血を1997年から連綿と受け継ぐ新型ホンダ・シビック・タイプR。同じCセグメントに属する2台の和製ホットハッチは、日本はもちろんのこと世界の自動車シーンに彩りを与えた。

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300ps超をコンパクトなボディに収める

両車の間には300psを超える強力なエンジンをコンパクトなボディに収め、500万円前後の価格で販売するといった共通点がある一方、駆動力をはじめ、異なる点も多い。ここではそんな注目の2台を比較しながら深掘り解説して行く。最終回となる第3弾の今回はボディとシャシーについて見ていきたいと思う。



シビックの全長は半クラス上

ボディ・サイズは、GRカローラが全長4410×全幅1850×全高1480mm、ホイールベース2640mm、シビック・タイプRが4595×1890×1405mm、2735mmと、全長と全幅、ホイールベースともに半クラス上と言ってもいい大きさを持つ。前後トレッドは、GRカローラが前1590mm/後1620mmに対しシビック・タイプRが1625mm/1615mm。車両重量は1470kgと1430kgと、サイズは大きいものの2輪駆動駆のシビックRの方が軽量だ。

ボディ・スタイルはどちらも5ドアを採るが、GRカローラは5座だが、シビック・タイプRは4座となる。さらに注目すべきはGRカローラのモリゾウエディションで、軽量化のために後席を取り払い、前席のみの2シーターとなるのだ。その分車両重量も軽く、標準モデルよりも30gk少ない1440kgといったように2輪駆動のタイプRに肉薄する。ちなみに、モリゾウエディションはサスペンションセッティングの違いにより全高も5mm低い。



広い全幅を活かすタイプR

GRカローラのホイールは18インチで、通常モデルは235/40R18のヨコハマ・アドバン・アペックスV601、モリゾウエディションは10mm幅が広い245/40ZR18のミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2コネクトを履く。

シビック・タイプRはミシュラン・パイロットスポーツ4Sで、サイズは265/30ZR19。GRカローラよりも40mm広い全幅を活かし、幅の広いタイヤを装着している。ホイール径が先代の20インチから1サイズ小さくなったが、これはタイヤ外径を変えずに、また必要なエア・ボリューム(タイヤ内の空気の量を)を確保しながらもタイヤ幅を広くするために取られた処置だ。



基本構造はどちらも同じ

サスペンションは、GRカローラが前マクファーソン・ストラット式、後ダブルウィッシュボーン式、シビック・タイプRが前マクファーソン・ストラット式、後マルチリンク式と諸元表には記載されている。どちらもベース車両の形式を踏襲したものだ。

ただし、GRカローラのリア・サスペンションはタイヤのハブの上下を2本のアームと支えるダブルウィッシュボーンを基本にしながら、シビックのマルチリンク式同様、ハブの前方下(進行方向側)にトーコントロール・アームを備えており、実質的にはマルチリンク式と呼べる形式を持つ。したがって、形式は2台ともに同じと言える。



タイプRは可変ダンパーを奢る

とはいえ。両車の間にはセッティングの方向性などの違いがあるだろうか、なかでも大きな差はダンパー。シビック・タイプRには先代から採用された電子制御の減衰力可変調整式が備わる。この採用により、街中などの実用使いでは乗り心地に配慮した、またサーキットなどでは走行性能を重視した走りを両立させている。GRカローラはモリゾウエディションともに固定式だが、モリゾウエディションはさらなるコーナリング性能の図るためモノチューブ・タイプが装着されている。

価格はGRカローラの標準モデルが525万円、モリゾウエディションは715万円、シビックRが499.73万円。GRカローラは標準モデルの500台とモリゾウエディションの70台の抽選販売が先日行われ、納車は2023年春から順次行われる。なお、標準モデルについては再度抽選になるのか、それとも通常通りになるのかはわからないが、追加販売を考えているようだ。また、シビックRはすでに納車が始まっており、こちらは公式での発表によると発注から出荷までの目処は1年以上。ただし購入者によると、購入したディーラーでは発売当初に取った受注ですでに2年分に近い割り当てくらいの予約が入ったという。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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