2023.02.18

CARS

【レクサスRX&NX、GRカローラ&GRMNヤリス比較試乗 GR篇】大注目のGRカローラ、2シーターのモリゾウエディションとノーマルのRZ、選ぶならどっちがいい?

GRカローラモリゾウエディションとGRMNヤリス

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エンジンは同じでも味は別

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山本 僕は実際にGRヤリスを持っていて今も毎日乗っているんですけど、今回いろいろと乗り比べてみて、それぞれのモデルの味の違いというのが明確に出ているのに感心しましたね。昔、豊田章男社長と成瀬弘さんが元祖ガズー・レーシングを始めた時に、「ガズー・レーシングは味づくりの旅だ」と言っていたけれど、今、それがようやく浸透した感じ。なにしろ、基本は同じエンジン、同じ4WDシステムを使っていながら、乗ると別物になっている。GRヤリスはスイートスポットは狭いけど、そこにはまると物凄い威力を発揮するクルマ。逆にGRカローラはそのスイートスポットが広いから、スポーツの中でのオールラウンダーとしての資質がある。エンジンも基本は同じはずなのにGRヤリスは回せば回すほどパワーがわき出る感じだし、GRカローラは太いトルクで走る感じがある。味つけ次第でクルマがこんなに変わるんだというのを実感しました。

エンジンは通常のGRMNヤリスと同じだが、ボディサイズは35mm長く、10mm幅広く、20mm高い。さらに最低地上高も6mm低い127mmとなる。そのほか専用の機械式LSDやビルシュタイン製ダンパーが装着される。


村上 島下さんはどうでした?

島下 僕はモリゾウエディションから乗ったんですが、ここまでやるのか、というのは衝撃的でしたね。すでにGRMNヤリスを知っていたから、彼らがやろうと思えばここまでできるのは知っていたけど、技術的なことより、2シーターにしちゃうとか、ここまで突き詰めたものを世に出すのが凄いと思った。GRMNヤリスの成功でお客さんの期待値が分かって、自信を持って出せたのでしょう。GRカローラは懐が深いクルマですが、その良さが“モリゾウ”では引き立っている。飛び切り速いというより、どうにでも自分でできる感じがあって、自分のペースで楽しめる。これならいろいろなレベルのドライバーが楽しめるし、とてもイイモノだと思いましたね。

村上 じゃあ、“モリゾウ”推し?

島下 いや、そのあとRZの方に乗って、最初は“モリゾウ”の刺激が身体から抜けなかったのですが、いろいろ試している内に、このバランスは良く考えられているなと思えてきた。後席に人を乗せてツーリングしてもオーケーだし、それでいてこれだけのコントロール性があるのは凄い。最後はRZ推しになりました。

今回のモリゾウエディションはGRカローラRZをベースに、マスタードライバーのモリゾウこと豊田章男社長が自ら試作車のハンドルを握って、こだわりをもって作り込んだ「お客様を魅了する野性味」を追求したモデルだという。徹底した軽量化、エンジンのトルクアップのほか、6段MTのギア比も変更されている。


山本 僕もそう。家からサーキットに行って楽しんで、そのまま家に帰るまでずっと満足できるのはRZなんだろうなと思いましたね。

島下 5シーターだから走りを我慢しているということがまったくない。タイヤとのマッチングや足の動かし方も含めて、より幅広いコントロール性がある。どんなコースに行っても楽しいだろうし、ワインディングも楽しいだろうと思います。

山本 グリップでタイムを詰めるなら“モリゾウ”、少し滑らせて走りを楽しむならRZというような、違うベクトルを追求したクルマだと思う。

村上 結局、GRMNとGRのヤリスも含めて、どれもがそれぞれの味つけを持っているところが面白いよね。なにしろ、GRMNヤリスのピーキーな感じは、カローラの“モリゾウ”とはまた、まるで違っている。シフトするのだっていちいち気を使うくらいにエンジンがシュンシュン回ってまったく気が抜けない。

一方のGRMNヤリスはWRCで得たノウハウを惜しみなく市販車に注ぎ込んだスペシャル・モデルで、すでに販売は終了している。


山本 もしかすると今後、GRMNカローラが出るかも知れません。なんでこれをGRMNと呼ばないのかと聞いたら、GRMNは実戦を積まないとダメなんだって。スーパー耐久でもラリーでも、実戦で鍛えた技術の一部をお裾分けするのがGRMN。まだカローラは水素エンジンでしか実戦をやっていないから。

村上 GRカローラのライバルはシビック・タイプRとメガーヌRSだよね。それと比較するとどうなの?

島下 その2台はどちらもFFですからね。意外とWRX S4がライバルかも知れない。

山本 昔はAE86かシビックか、FRかFFかで議論していたのが、今またこうやって4WDかFFかで議論する日が来るとは思わなかった。

村上 うん。面白い時代になったね。



フラッグシップが見たい!

村上 さて、こうやって見てくると、レクサスとGRの世界はバランスよくうまく行っているね。トヨタ・デラックスでもなく、トヨタ・スポーツでもなく、それぞれ独自のブランドとしての道を歩んでいる。

山本 ただ、GRがモータースポーツという分かりやすい目的を持っているのに対して、レクサスはラグジュアリーという分かり易いようでいて一番分かりにくいものを追い求めているわけで、もう少し明確に哲学を打ち出す必要があるかもしれない。

村上 そのために必要なのは、やっぱりさっきも話に出たLSをどうしていくのかをしっかり見せることかな。SUVが好調なのは良く分かったし、つくりが良くなっているのも分かった。じゃあ、セダンはどうなのか。やっぱりフラッグシップ・モデルが大事だという気がするよね。



島下 もしかしたら、それはもうLSじゃなくてもいいのかも知れない。フラッグシップがセダンでなければならないなんて概念は、それこそ壊してもいいでしょう。89年のLSが素晴しかったのはセダンだったからではなく、新しい高級車像を世界に提示したことにある。今のレクサスがやるべきなのはそれだと思う。

村上 僕はGRにもなにかひとつ、飛び抜けたフラッグシップ・モデルを見せて欲しい気がするけどね。

山本 トヨタ・ベースでもコラボでもないまったくのオリジナルな1台。

島下 やるなら、レクサスとGRがプラットフォームを共用するのはアリかもしれませんね。見てみたい。

話す人=島下泰久+山本シンヤ+村上 政(ENGINE編集長、まとめも) 写真=柏田芳敬

◆注目の新型RXのデキはどうだった? レクサスRX&NX、GRカローラ&GRMNヤリスにイッキ乗り! レクサスとGRの最新モデルは、いまどうなっているのか?【レクサス篇】はコチラ!



■レクサスRX500h
駆動方式 フロント横置きエンジン+前後電気モーター4WD  
全長×全幅×全高 4890×1920×1700mm  
ホイールベース 2850mm  
トレッド(前/後) 1650/1675mm  
車両重量 2100kg  
エンジン形式 直列4気筒ターボ  
排気量 2393cc  
最高出力(システム最高出力) 275ps/6000rpm(371ps) 
最大トルク 460Nm/2000-3000rpm  
トランスミッション 6段AT  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/50R21  
車両本体価格(税込み) 900万円(F SPORT Performance)

■レクサスNX450h+
駆動方式 フロント横置きエンジン+前後電気モーター4WD  
全長×全幅×全高 4660×1865×1660mm  
ホイールベース 2690mm  
トレッド(前/後) 1605/1625mm  
車両重量 2030kg  
エンジン形式 直列4気筒  
排気量 2487cc  
最高出力(システム最高出力) 185ps/6000rpm(309ps) 
最大トルク 228Nm/3600-3700rpm  
トランスミッション 電気式無段変速  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/50R20  
車両本体価格(税込み) 714万円(version L) 

■GRカローラ モリゾウエディション
駆動方式 エンジン・フロント横置き4WD  
全長×全幅×全高 4410×1850×1475mm  
ホイールベース 2640mm  
トレッド(前/後) 1590/1620mm  
車両重量 1440kg  
エンジン形式 直噴直列3気筒DOHCターボ  
排気量 1618cc  
最高出力(システム最高出力) 304ps/6500rpm 
最大トルク 400Nm/3250-4600rpm  
トランスミッション 6段MT  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 245/40R18  
車両本体価格(税込み) 715万円  

■GRMNヤリス サーキットパッケージ
駆動方式 エンジン・フロント横置き4WD  
全長×全幅×全高 4030×1815×1475mm  
ホイールベース 2560mm  
トレッド(前/後) 1535/1570mm  
車両重量 1260kg  
エンジン形式 直噴直列3気筒DOHCターボ  
排気量 1618cc  
最高出力(システム最高出力) 272ps/6500rpm 
最大トルク 390Nm/3200-4000rpm  
トランスミッション 6段MT  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/40R18  
車両本体価格(税込み) 846万7000円  

(ENGINE2023年2・3月号)

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