2023.02.18

CARS

【レクサスRX&NX、GRカローラ&GRMNヤリス比較試乗 レクサス篇】 新型レクサスRXのデキはどうだったのか?

レクサスRX500h(左)と同NX450h+(右)

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トヨタ・デラックスからの脱却

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村上 今思えば、2021年の暮れに蓼科の試乗会で初めて新しいNXに乗った時に、次世代レクサスの第1弾としてなによりも体幹を鍛えましたと言っていたのが、“あっ、これのことか”と分かるくらいに走りのしっかり感があるのに驚きました。

山本 たぶんそこが、トヨタ・デラックスみたいなものからの脱却なんだと思う。今までは豪華だよねとかデザインに独自性があるとか言っても、根本のところで“でも、これトヨタの高級版だよね”と思わせるところがあったのが、完全に変わった。



村上 端的に言っちゃえば、これだってトヨタのRAV4とかハリアーのプラットフォームと繋がっている。でも、そうはまったく感じさせないだけの体幹の鍛え方をしているところが、次世代レクサスだと胸を張って言えるものになっていましたよね。

山本 同じプラットフォームを使っているということで、RAV4とハリアーが出た後でNXが出ると、あれ流用してるのねと言う人がいる。でも、もともと企画の段階でRAV4はどうあるべきレクサスはこうあるべきというものに基づいて必要なものといらないものを出し合って、いろいろな議論の上であのプラットフォームができているということは、あまり世に伝わっていない。

村上 だって、乗って数メートル走れば、全然違うものであることが分かるものね。それは今回のRXでも感じたんだけれど、サーキットを走るまでもなく、ピットまわりを撮影のために動かしただけで、しっかり感、ラグジュアリー感、音の静かさとか、伝わってくるものが全然違っていて、“ああ、イイモノつくりましたね”という感じを持ちました。

島下 今回はリア・サスペンションがNXから進化した新しいものになったのがすごく効いていると思います。体幹を鍛えていくと、どうしても、オレはここが弱いなというところが見えてくる。人間は腕を替えたりはできないけど、クルマは違う。鍛えたからこそ見えてきた弱点を、今回はダブルウィッシュボーンからマルチリンクにして、ダンパーの取り付け方まで変えることで克服してきた。だから、ストロークがあって、すごくきれいに動く足になっている。



山本 リアの骨格もRXはNXとは違うものになっているそうです。

村上 なるほど。それに加えて新しいパワートレインが載せられた。

島下 あれは良くできていますよね。乗れば乗るほど。フツーなんですけれど、そのフツーがすごいという。

村上 そうなんだよ。特別ビックリするようなものではないんだよな。でも、ハイブリッド系にありがちな、余計なことをされている感じがまったくしないところが気持ちいい。

山本 ひと昔前は、あえてハイブリッド感を出そうとしていたのが、長くやってみて、ドライバーには自然な方が気持ちいいことに気づいた。

島下 トヨタはこれまで2モーターにこだわっていたのを、今回はあえてフロントは1モーターにした。その結果、エンジンの良さをモーターが引き出す、モーターの良さをエンジンが引き出す、お互いハーモナイズして、本当に自然な気持ちのいいドライバビリティを実現したのが良かったのだと思います。

村上 それから今回のRXからレクサスの顔が変わりましたね。

山本 新スピンドル・ボディ。

村上 ボディも含めてスピンドル。

山本 スピンドルがレクサスのアイコンとして定着する中で、ブランド・ホルダーの豊田章男社長が今回あえて“スピンドルを壊せ”と号令をかけた。そのひとつの答えがコレ。

島下 もうひとつ、今後のEV時代に大きなグリルはおかしい。それにどう対応していくかというのもある。今回はハイブリッドだからグリルも半分になったと考えると面白い。

村上 ところで、今、レクサスのクルマはディーラーに行ってもなかなか買えないようですね。

山本 SUVはそうです。大人気でNXも3年待ちとかになっている。クルマもどんどん良くなっているし、だから、課題を抱えているのはセダンの方でしょうね、とりわけLS。

村上 なるほど。では、その話は最後のまとめでしましょうか。

◆この続きは、GRカローラのモリゾウエディションとノーマルを乗り比べた「GR篇」で!

話す人=島下泰久+山本シンヤ+村上 政(ENGINE編集長、まとめも) 写真=柏田芳敬



■レクサスRX500h
駆動方式 フロント横置きエンジン+前後電気モーター4WD  
全長×全幅×全高 4890×1920×1700mm  
ホイールベース 2850mm  
トレッド(前/後) 1650/1675mm  
車両重量 2100kg  
エンジン形式 直列4気筒ターボ  
排気量 2393cc  
最高出力(システム最高出力) 275ps/6000rpm(371ps) 
最大トルク 460Nm/2000-3000rpm  
トランスミッション 6段AT  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/50R21  
車両本体価格(税込み) 900万円(F SPORT Performance)

■レクサスNX450h+
駆動方式 フロント横置きエンジン+前後電気モーター4WD  
全長×全幅×全高 4660×1865×1660mm  
ホイールベース 2690mm  
トレッド(前/後) 1605/1625mm  
車両重量 2030kg  
エンジン形式 直列4気筒  
排気量 2487cc  
最高出力(システム最高出力) 185ps/6000rpm(309ps) 
最大トルク 228Nm/3600-3700rpm  
トランスミッション 電気式無段変速  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/50R20  
車両本体価格(税込み) 714万円(version L)

(ENGINE2023年2・3月号)

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