2023.05.04

CARS

7人乗りを追加したシトロエン・ベルランゴとプジョー・リフターに対し、ガソリンとディーゼルの二刀流をひっさげて上陸したカングーを比較試乗! 

シトロエン・ベルランゴ・ロング・シャインXTRパック、プジョー・リフター・ロング、ルノー・カングー・クレアティフ。

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素直にロングは魅力的

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上田 この広大な室内空間にしても、まったりとした乗り味にしても、駐車場に問題がないなら、リフターとベルランゴでロングを買わない理由はない気がします。

佐野 この種のクルマはもともと使いきれないほどの機能を持っているのが魅力の根源だから、さらに使い切れなくなって、もっと魅力が増したということかな(笑)。走りも素直にショートより好印象だと思う。標準ボディのベルランゴは良くも悪くもシトロエン的にフワフワと上下したけれど、ロングはホイールベースやウエイトのおかげもあるのか、乗り心地も明らかにフラットになった。表面的なシトロエンらしさは薄まっても、客観的に走りが進化したのは間違いない。

上田 ベルランゴとリフターはロングの方が基本のような気がします。標準とロングでは、ダンパーこそ大きくはちがわないようですが、スプリングは明らかに硬めのものがついています。またボディをロング化するに伴って、後席部分のすじかいの入り方も違っていて剛性も高まっているのかもしれません。




塩澤 ベルランゴとリフターではリフターの方がスポーティなんだけれど、カングーの走りはさらにその上をいく。あえていうと、ミニバンのスポーツカーみたい。初代カングーはあんなに小さいのに、タイヤが路面にしがみついて離れない高速スタビリティやコーナリングの安定感があったけど、新型カングーの走りもそれに通じるものがある。吸いつくようなコーナリングだ。

佐野 ベルランゴやリフターと比較すると、カングーは先代当時から重心が低かったし、ロールも小さかった。プラットフォームが刷新された新型カングーはそこがさらに進化して、ワイドトレッド化、トーションビームやスタビライザーの強化でロール剛性を明確に上げて、ステアリングレシオもクイックになった。

上田 新型カングーにもしっかりルノー味が残っていて安心しました。この走りも含めて考えると、今回の3台から個人的に選ぶとしたら、やはりカングーかな。エグザンティアにも乗っているので、個人的にはシトロエンにシンパシーを感じるのですが、ベルランゴのデザインはコスプレ的に分かりやすすぎるのが個人的にちょっと恥ずかしい(笑)。

塩澤 僕はベルランゴのデザインは嫌いじゃない。でも、基本的には機能美に徹したシンプルなデザインが好きだ。新型になって乗用車っぽさも強調されたカングーだけれど、いまだに「あなたが自由に絵を描いてください」といった白いキャンバスのような魅力がある。だから、自分で買うならカングー。しかも、クレアティフ決め打ちで乗りたい。

佐野 個人的にルノーを4台乗り継いでいるので、乗っていて肌に合ったのはやっぱりカングーでした。でも、今回乗っていちばん感動したのはリフター。まずはロングボディとなって乗り味がさらに落ち着いて上質になったのも驚いた。ウチは夫婦2人家族だし、アウトドア趣味もないけど、あの広大な空間を見せられると素直に遊びたくなる。それに、あの大きなボディを、あの小さなステアリング・ホイールで手首の返しだけで違和感なく振り回せるのは、素直に新鮮で楽しい。それに、ベルランゴやカングーと比較すると、日本ではキャラクターがいまひとつ理解されていないリフターを応援したい。そうすればこの市場はもっと盛り上がると思う。

塩澤 今現在、販売的に勢いがあるベルランゴなのに、自分も含め、全員があえてそこを外すのね(笑)。どうしても素直になれないのが、われわれのような商売の人間の悪いところだけれど、それだけベルランゴの商品力が高いということです。

話す人=佐野弘宗(まとめも)+塩澤則浩(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

■シトロエン・ベルランゴ・ロング・シャインXTRパック
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4770×1850×1870mm
ホイールベース 2975mm
車両重量 1680kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
排気量 1498cc
最高出力 130ps/3750rpm
最大トルク 300Nm/17500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
       (後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前) 通気冷却式ディスク
    (後) ディスク
タイヤ(前後) 205/55R17
車両本体価格(税込) 455万4000円

■プジョー・リフター・ロング
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4760×1850×1900mm
ホイールベース 2975mm
車両重量 1700kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
排気量 1498cc
最高出力 130ps/3750rpm
最大トルク 300Nm/17500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
       (後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前) 通気冷却式ディスク
    (後) ディスク
タイヤ(前後) 215/60R17
車両本体価格(税込) 455万円

■ルノー・カングー・クレアティフ
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4490×1860×1810mm
ホイールベース 2715mm
車両重量 1650kg
エンジン形式 水冷直列4気筒SOHCターボ・ディーゼル
排気量 1460cc
最高出力 116ps/3750rpm
最大トルク 270Nm/17500rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
       (後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前) 通気冷却式ディスク
    (後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 205/60R16
車両本体価格(税込) 419万円

(ENGINE2023年5月号)

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