2023.05.18

CARS

こんなにコンディションのいい"旧車レンタカー"があったとは! トヨタ博物館収蔵のクルマも修復する会社が手掛けた名車たちに試乗!!

まるで生き物のような息づかい

まず借り出したのは、1975年型、セリカ・リフトバック2.0GT。その見た目から「ダルマセリカ」と呼ばれた初代セリカに追加された派生モデルだ。とにかく、ルーフからテールにかけての流れるようなラインが、抜群にカッコイイ!

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早速、冷たい金属製の取手を掴みドアを開くと、運転席に腰を掛ける。まず目についたのはドライバーに向けて角度がつけられた5連メーター。当たり前ながら全てリアルな針が指している様子はまるで飛行機のコクピットのような雰囲気で、早くも興奮しっぱなしだった。

続いてエンジンを掛ける。とは言っても、今どきのようにボタン一つという訳にはいかない。状況に応じてチョーク・レバーを引き、燃料の濃さを調整する。あとはアクセレレーターに右足を軽く乗せてキーを回す。エンジンの息づかいが安定するまで、私も深呼吸して、気持ちを落ち着かせた。まるで生き物のように揺れ動くエンジンの脈動は、どこか愛らしい。



そうしていよいよ走り出すと、外見のエレガントさからは全く想像のできない体育会系ぶりにはじめは圧倒されてしまった。ストローク量がとても長くて曖昧なシフト・レバーは、エンジン、ミッション、タイヤの各部の回転がしっかり合っていないとなかなか思うように入らない。その上、ステアリングはいつも乗っているGR86に比べると遊びが遥かに大きく、ずっしり重い。ブレーキも、しっかりと踏まないと少々頼りないものだったから、慣れるまでは、交通の流れに乗って走るのにも多少の緊張感が必要だった。

それでも、このクルマは、ここには到底書ききれないほどの徹底的なリフレッシュが施されていて、整備は隅々まで素晴らしく行き届いている。ボディのリペアはもちろん、エンジンとトランスミッションはどちらもオーバー・ホールをしてから、トヨタ自動車でベンチテストにまでかけるという徹底ぶりだ。新車時には未装着だったエアコンやパワー・ステアリングも後付けしているから、だから、新車当時よりもずっと楽に乗れる仕様なのだ、とレストアを担当したトヨタ自動車と新明工業の方が後に教えてくれた。トヨタ博物館に収蔵されている数々の名車も新明工業が修復を手掛けているのだから、間違いないだろう。

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