旧車の楽しみ方、無限大!ところで、セリカ・リフトバックに比べれば、次に借りた70型スープラ・2.5GTツインターボは1992年型と、新しいこともあるためか、よっぽど運転し易かった。どちらも優劣つけがたい魅力に溢れていたけれど、今思い返せば、心底熱中し、楽しんで乗れたのはセリカだったように思う。どちらも各部の操作のコツを掴むと徐々にリズムよく走らせることができ、初めとはまるで別のクルマのように操れるようになるのは共通していたけれど、セリカの方がこの変化をより大きく感じられたからだ。

今の時代に敢えて「旧車に乗る」醍醐味は、クルマと自分との間で対話を繰り返し、一体的になることで、思い通りに動かせるようになる歓びにもあるのかもしれない。
2台のクルマに試乗していて驚いたのは、何人もの方に声を掛けられたことだ。多くが年配の方で、嬉しそうに当時の思い出話を語ってくれた。旧車は乗っている人だけでなく、見ている人にも幸せを分け与えていることに気がついた。こうして、時代を超えて同じ体験を分かち合うことができるのも、旧車を通じた歓びだと思った。KINTOによると「東京キャラバン」の利用者の年齢層は、約40%を占める50代に次いで、なんと次に多いのは20代で、全体の約20%にも及ぶのだという。これらの旧車と青春をともに過ごした世代に人気なのはもちろん、今のクルマにも負けない味わいが体験できるだけでなく、それを「世代」だった人たちとも共有することができるのだから、若い世代にも大人気だというのも分かる気がする。

そして、何よりスゴイのは、それぞれ50年前、30年前のクルマとしては驚くほど「フツーに乗れた」ことだ。現代の交通事情にも余裕でついていける動力性能があり、冷房も寒いくらいにしっかり効く。ETCが搭載されているのはもはや当たり前で、スマホから音楽もかけられる。キャブ車の扱いに詳しくなくても、エンジン始動に困ることもなかった。
クルマを返却後は、長期リポート車のGR86に乗って帰った。タイム・トラベルの終わりである。その時のGR86は、今まで感じていたよりも一層、素晴らしく洗練されたスポーツカーに感じられたのだった。新しいクルマにも、旧いクルマにも、それぞれ違った楽しみ方がある。これだから、クルマ好きはやめられません!
文・写真=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真(走り)=村山達哉
(ENGINE WEBオリジナル)
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