2023.06.08

CARS

「ミッドシップは、なんでそんなに偉いのか?」 シボレー・コルベット、アルピーヌA110、マセラティMC20 新世代ミッドシップ3台に乗って大激論!!【前篇】

シボレー・コルベット、アルピーヌA110、マセラティMC20 新世代ミッドシップ3台に乗る

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なぜミッドシップなのか?

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ワタナベ よし、じゃあその切り口で話進めていこう。この点をどう思うか、まずは三浦さん。

ウエダ 三浦さんお休み中です。



ワタナベ あれ、そうだったのね。じゃあまずはウエダくんに聞こうと思うけど、貴方はプライベートの持ち物がかなり偏った嗜好だから、できるだけ中立的にお願いしたい。

ウエダ ご心配恐れ入りますが、A110の場合、まず言えるのはゼロスタートでシャシーを作る前提ならば、リア・エンジンでのリアルな再現という腹づもりはなかったんじゃないですかね?

アライ それは、完全コスプレではなくて運動性能的な面を重視したってこと?

ワタナベ RRやるんだったらトゥインゴ・ベースで作るよ的な?


ウエダ それはそれで面白かった気もしますが、アライさんのいう通りで、ヘリテージも意識しながら動的資質をより高めるための折衷的選択だったのだと思います。



ワタナベ そこでだウエダくん。ミッドシップにすると、一体なにがよくなるのよ。たとえばA110は骨格のところでは理想論を貫けたわけでしょ。その上でミッドシップを選んだ。何がいいのさ、ミッドシップは!

ウエダ うーん、そう暑苦しくツッコまれましても……。やはりZ軸に重量物が集中してですね……。

ワタナベ Z軸なんて言葉はマツダのロードスター云々でもう耳にタコが出来るほど聞いてるから私は!それじゃあなくて、もっと決定的な選択の理由があるんじゃないの?

アライ それ、コルベットと同じでトラクションなんじゃない?

ワタナベ そう。アライさん今いいこと言った。トラクション。そこ。

ウエダ そりゃあそうでしょうけど、それはコルベットくらいの馬鹿力にならないと決定打にはならないんじゃないんですかね。

ワタナベ やっぱりね、A110の美点はひらひら感と共にコーナーをバキッとひと刺しする鋭さもあって、一方できちんと真っ直ぐ走る感じやしっかりした駆動押し出し感もあってと、物理的な軽さの中にスポーツカー・ドライビングの求めるものが全部綺麗に揃ってるってことなんだよね。それらを巧くパッケージ出来てるから、足回りの設定自由度も高くて乗り心地も虐げられない。

A110のGTは標準でレザー・シートとなる。ほかのグレードよりややラグジュアリーな雰囲気がある。

アライ いいクルマって、様々な要件が絡み合う複雑な知恵の輪を、スルスルってくぐり抜けてきたようなスッキリ感があるじゃない。A110はそれをすごく感じるよね。

ウエダ その上で実用性も頑張っていますよ。スペースもパツパツなのに、前後に小さいながらもトランクスペースも設けてある。今はGTってグレード名になってますけど、充分GTたり得る快適性をもっているんですよね。

奮闘するA110

ワタナベ 私はね、ミッドシップはかれこれ14年間乗ってきたんだよ。987ボクスターから981ケイマンと、歴史の移ろいも見届けてきた。

アライ いや、それはあんまり移ろいでないかも。どちらかといえば堂々巡りのような。

ワタナベ いやいやそれでね、ミッドシップをいかに毎日遣いにするかという点において、間違いなくベストな答えはポルシェのこの2台だと思う。最大の理由はラゲッジ・スペース。やっぱり水平対向エンジンはここで活きるんだよね。

ウエダ 特にケイマンの積載力はスポーツカー離れしてますもんね。エンジン・フードの上にスーツケース載せられるとか。



ワタナベ 今はA110が孤軍奮闘している感じだけど、アフォーダブルで実用性も幾ばくかは確保されていて、楽しくドライビング出来るミッドシップっていうのは、まだまだ可能性あると思うんだよね。たとえばトヨタなんかは40年くらい前に、そんなコンセプトでMR2作ったわけじゃない。まぁX1/9とかフィエロとかもあるとはいえ。

アライ 横置きFFのパワートレインやミッションをアクスルごと移設してミッドシップを作っちゃおうぜというアイデア、思ったほどドカンと膨らまなかったですなあ。

ウエダ でも性懲りもなくA110とかS660とか現れますよね。自動車メーカーの中にいるスポーツカー好きの反逆としては、一番通りのいい企画なのかもしれません。

ワタナベ ボクスター&ケイマンをギャフンと言わせるミッドシップスポーツの企画がどこかで現れればいいけど、A110はまぁ奮闘してる。それは私も強く認めたい。じゃあ次。

ウエダ 田原さん的には3時過ぎのような紋切り型な振りになってきましたけど、じゃあ次のテーマはコルベットですかね。

◆いよいよ激論は注目のコルベットに突入! はたしてコルベットはル・マンで勝てるのか? この続きは後篇で!

話す人=渡辺敏史(まとめも)+荒井寿彦(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦ワタナベ

■シボレー・コルベット
駆動方式 ミッドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4630×1940×1220mm
ホイールベース 2725mm
車両重量 1670kg
エンジン V型8気筒OHV
排気量 6153cc
最高出力 502ps/6450rpm
最大トルク 637Nm/5150rpm
変速機 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 245/35ZR19 305/30ZR20
車両本体価格 1600万円

■マセラティMC20
駆動方式 ミッドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4670×1965×1220mm
ホイールベース 2700mm
車両重量 1640kg
エンジン形式 V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量 2992cc
最高出力 630ps/7500rpm
最大トルク 730Nm/3000~5750rpm
変速機 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 245/35ZR20 305/30ZR20
車両本体価格 2664万円

■アルピーヌA110GT
駆動方式 ミッドシップ横置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4205×1800×1250mm
ホイールベース 2420mm
車両重量 1120kg
エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1798cc
最高出力 300ps/6300rpm
最大トルク 340Nm/2400rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 205/40R18 235/40R18
車両本体価格 965万円

(ENGINE2023年6月号)

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