2023.07.25

CARS

ガソリン・エンジン万歳って叫びたくなる! GT3に忖度しない718ケイマンGT4RS まるで内燃機関の卒業制作みたいなスポーツカー 激論! ポルシェのスーパースポーツ最前線【前篇】

無理やり感がいい

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藤原 そういう意味では718ケイマンGT4RSも中々ですよね。

村上 これまでのボクスター&ケイマンの絶対に911の性能を上回ってはいけないという不文律を、いともあっさりとポルシェ自身が破った。

島下 もうやれることは全部やったって感じですよね。

村上 エンジンが異様に目立つ。エンジンと一緒に移動してるみたいな感じ。実際にすぐ後ろにいて、ずっと鼓動を感じる。猛獣といるみたい。

藤原 内燃機関の卒業制作みたいなクルマですよね。ガソリン・エンジン万歳って叫びたくなる(笑)。

内装もアルカンターラを多用したレーシーな仕立てになっていた。


島下 991の時って、RSはGT3に対して、ちょっと軽くてパワーがあってエアロが変わってるけど、まぁ想定内だったじゃないですか。でも992ではボディワーク全体を見直しちゃって全然違う。え? ここ削って良かったんだみたいな。

村上 初めて見た時、唖然としたもんね。これ乗るの? って。

島下 でも価格差を見て安いと思った。これだけ違うんだったらこのくらい出してもいいよって。

村上 GT4RSも同じ。2000万円以下でGT3エンジンが買えるんだから。ポルシェの決意みたいなものをこの2台からは感じるな。島下 GT3RSって、すでに992を作る時にこのくらいまでやろうって決めていたような気がするんです。だからボディワークもあそこまでやった。でも、GT4RSは明らかに最初からは想定してなかったでしょ、GT3のエンジン載せちゃうなんて。だから正直無理あるじゃないですか。吸気孔だってリアの窓を潰して無理やり作っているし、ハンドリングもピーキーでしょ。



藤原 乗り手を選ぶ感じがある。そこがマニア心をくすぐるよね。ヒリヒリ感といい、無理やり感といい。力技というか、久々にこういう荒っぽいのが出てきたって。

島下 正直、僕はGT3の方が好きですけどね。今回、シャシーがダブルウィッシュボーンになって全然違う世界に入った。

村上 どっちが良いとか悪いじゃない。718のパッケージに無理やりGT3エンジンを入れたあの良さと、レースカーの技術を持ってきてシャシーからアップデートしたGT3。全然違うものになっているのがいい。

島下 718に無理やり積んじゃったのと、最初からこのエンジンをどう活かすか考えて作ったものとの差ですね。だってRSではGT3のエンジンは10馬力しかアップしてない。完全にシャシーを作りにきてる。

藤原 GT3RSとGT4RSは極北の中でも違う方向性だと。

島下 最初に981のケイマンGT4が出た時はリアが足りなくて、富士のAコーナーでお尻が簡単に出たりした。フロントに991GT3の足を使いながら、リアがストラットのままではやりようがないという感じだった。それが718のGT4では、リアサスの形状は変わってないのに、見事に調律してきた。

なんと言っても目立つのはスワンネックの巨大なウイングだが、その空力効果は抜群だ。


藤原 何が一番大きいんだろう?

島下 1つはエアロですよね。ウイングもそうだけど、ディフューザーですよ。トランスミッションの横から無理やり空気を引き出せるようにした効果は大きい。

村上 この先のストーリーを知っているわけじゃないけど、おそらく718はこれでおしまいでしょう。でも911はまだ先がある。

島下 少なくとも992のマイチェンはあるし、ポルシェ自身911は最後まで内燃エンジンだって言ってるし。で、次の911があるということは当然GT3もあるだろうと。だから未来はある。どこまで夢を見続けられるかはわからないけど。

村上 GT3RSの試乗会の時、エンジン担当に話を聞いたら、「今回はお金がシャシーに取られてエンジンまで回ってこなかったから何もやれなかった」って言うのよ。だから次にやることになっている、という感じで意欲満々。こりゃ間違いなくもう1台はあるじゃん! って思った。

◆この続きは【後篇】で!

語る人=藤原よしお(まとめも)+島下泰久+村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬

■911 カレラ・カブリオレ
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動  
全長×全幅×全高 4519×1852×1297mm  
ホイールベース 2450mm  
車両重量(車検証) 1580kg(前軸580kg:後軸1000kg)  
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHCツインターボ  
排気量 2981cc  
ボア×ストローク 91.0×76.4mm  
最高出力 385ps /6500rpm  
最大トルク 450Nm/1950-5000rpm  
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/305/30ZR20  
車両本体価格(税込み) 1728万円  

■911 カレラ4 GTS
駆動方式 リア縦置きエンジン4輪駆動  
全長×全幅×全高 4533×1852×1301mm  
ホイールベース 2450mm  
車両重量(車検証) 1620kg(前軸630kg:後軸990kg)  
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHCツインターボ  
排気量 2981cc  
ボア×ストローク 91.0×76.4mm  
最高出力 480ps /6500rpm  
最大トルク 570Nm/2300-5000rpm  
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク(試乗車はカーボン・セラミック)  
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/305/30ZR20  
車両本体価格(税込み) 2048万円  

■718ケイマンGT4 RS
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動  
全長×全幅×全高 4456×1801×1260mm  
ホイールベース 2484mm  
車両重量(車検証) 1490kg(前軸630kg:後軸860kg)  
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHC  
排気量 3996cc  
ボア×ストローク 102.0×81.5mm  
最高出力 500ps /8400rpm  
最大トルク 450Nm/6750rpm  
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT(PDK)  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マクファーソン式ストラット/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/295/30ZR20  
車両本体価格(税込み) 1843万円  

■718 ボクスターT
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動  
全長×全幅×全高 4379×1801×1261mm  
ホイールベース 2475mm  
車両重量(車検証) 1380kg(前軸630kg:後軸750kg)  
エンジン形式 直噴水平対向4気筒DOHCターボ  
排気量 1988cc  
ボア×ストローク 91.0×76.4mm  
最高出力 300ps /6500rpm  
最大トルク 380Nm/2150rpm  
トランスミッション 6段MT  
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前/後) 235/35ZR20/265/35ZR20  
車両本体価格(税込み) 921万円  

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(ENGINE2023年6月号)

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