クルマ好きお父さんの強い味方として高い支持を得続けるBMW3シリーズ。マイナーチェンジでリフレッシュが図られた新型から電動がモデルの330eを試してみた。自動車評論家の森口将之がリポートする。
BMWらしさを大切にしている
最近は電気自動車のiシリーズやSUVのXシリーズのニュースが目立つBMWだが、昨年の日本での車種別登録台数では依然3シリーズがトップであり続けている。
その3シリーズ、現行型になってからも何度かマイナーチェンジがされており、最近では2022年9月に改良が行われた。その中からプラグイン・ハイブリッド車の330e Mスポーツに乗ることができた。

エクステリアはキドニー・グリルや前後のバンパーがリデザインされたのが目立つぐらいで、同時に乗った新型7シリーズに比べると、基幹車種だけあって、これまでのBMWらしさを大切にしようという意志を感じる。
加えて330eではヘッドランプの縁取りがブルーになるのが特徴だが、電動車としての主張は控えめだ。
インテリアはマイナーチェンジで大きく変わった。インパネはメーターとセンターのディスプレイを横長の曲面パネルでつなげた「BMWカーブドディスプレイ」とし、シフト・レバーもスライド・スイッチに換えるなど、2シリーズ・アクティブツアラーなどに近いアップデートを果たしている。

キャビンのスペースはほかの3シリーズと同じ。ただしトランクは下にバッテリーを収める分、やや底上げされていて、諸元表でもほかの3シリーズ・セダンが480リッターなのに対して375リッターに留まっている。
パワーユニットは320iと同じスペックを持つ2.0リッター直列4気筒ターボに、8段ATとそれに一体化されたモーターをドッキングさせたもので、先代からの手法を継承。モーターでスタートしたあとエンジンが始動するという加速のマナーは、ほかの多くのプラグイン・ハイブリッド車と同じだ。「エレクトリック」「ハイブリッド」「スポーツ」の3つのドライブ・モードは、個々のキャラクターがはっきりしている。スポーツ・モードではかなりエンジンを回し気味にして、心地よいサウンドを響かせてくれるところがBMWらしい。

ディーゼルや直列6気筒ガソリンが4輪駆動のxDriveのみになったのに対し、4気筒ガソリンとこの330eは伝統の後輪駆動を採用する。なのでコーナリングでは後輪駆動ならではの手応えを味わうことができる。
早朝や深夜の住宅地内の移動はモーターでまかない、山道では長らく親しんできたガソリン・エンジンの魅力を堪能する。プラグイン・ハイブリッドが趣味性と社会性を両立する現実的なソリューションであり、クルマ好きにとっても大切な選択肢であることが再確認できた。文=森口将之 写真=茂呂幸正
(ENGINE2023年7月号)
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