2023.06.13

CARS

これがGT-FOURシリーズの最終完成形! 3代目トヨタ・セリカGT-FOUR(1994年型) ニッポンのちょっと古いクルマはどんな味?【その3】

トヨタ・セリカGT-FOUR(1994年型)

全ての画像を見る
近年、世界的に人気を博しているのはジャパニーズ・ヒストリックたち。おかげで高嶺の花となり、気軽に買ったり乗ったりできないのもまた事実。そんな不満を解消する旧車レンタカーがあると聞き、モータージャーナリストの藤原よしおさんとエンジン編集部のムラカミとムラヤマの3人で試乗してきた。その1のトヨタ・ソアラ2.8GTリミテッド(1982年型)、その2のトヨタMR2 Gリミテッド・スーパーチャージャー(1988年型)に続くその3は、トヨタ・セリカGT-FOUR(1994年型)を取り上げる。

advertisement


普通に乗れちゃう

村山 そしてこの号が出るのと同時にレンタカーのラインナップに新たに加わるという、セリカGT-FOUR。94年型のST205型ですね。

藤原 ST165、185と続きGT-FOURとしては3代目。

新たにレンタカー艦隊に加わる1994年型のST205型セリカGT-FOUR。カヤバ製のショックアブソーバー、社外17インチ・ホイール(オリジナルは16インチ)を履いている以外は内外装ともにフルオリジナルを保っている貴重な個体だ。

村山 新車価格は317万1000円。セリカで一番安い2000SS1が187万2000円でした。

藤原 ちなみにインテグラーレEvoは545万円。

村上 WRCのホモロゲ・モデルでしょ。限定だったの?

藤原 これはレギュラー版。大型リアウイング、ウォータースプレー、ミスファイアリング・システムなんかを装備したGT-FOUR WRCってモデルが世界限定2500台で販売されています。今や希少車ですよ。

村山 気になって調べたら、今ある売り物は普通のGT-FOURだけで、全部200万円以上。高いのは500万近くしてびっくりしました。



村上 僕にとってGT-FOURといえば“流面形”のST165なんですよ。当時乗ったことがあるんです。週刊新潮にいた先輩が買って、スキーに行くときに雪道で運転した。

藤原 まさに『私をスキーに連れてって』じゃないですか!(笑)

村上 とんでもなく速くて、こんなにヒュイって曲がるんだって、びっくりした。だからその2世代後がどれだけ進化してるのかと思って期待していたら、あまりに普通のクルマでかえって驚いた。

藤原 そこですよ! 2023年の僕らが乗って、普通って思えるって、すごいことですよ。約30年前にそういうクルマを作れていたってことですから。

村山 今のGR86みたいな感覚で普通に楽しく乗れますよね。

藤原 目が覚めるほど速いとか、荒々しくて迫力がある! とかそういう演出はないけど、完成度はすごく高かった。



村山 インテリアも普通な感じで、あまりスポーツ感はなかったです。

藤原 そうなの。普通のFFセリカとインパネもハンドルもシートも変わらない。でも、この個体はダッシュボードがひび割れたり、樹脂が加水分解したりせず、コンディションがよかった。それも驚いたね。

村山 一方トランク・ルームを開けると補強のバーが入っていて、やっぱホモロゲ・モデルだって思いました。

藤原 そう、やってることはすごいのよ。3S-GTEのインジェクター容量を拡大して、メタルガスケットを使って、水冷式インタークーラーを装備して255ps出してるから。

ST185型セリカGT-FOURの後継として94年に登場。

村上 ブレーキだってフロント対向4ポット、リア対向2ポットのアルミキャリパー、ベンチレーテッド・ディスクになってる。


藤原 あとキャンバー・コントロールアームを追加して対地キャンバー変化量を少なくするスーパーストラット・サスペンション。ホイールベースだって、開発時にTTEの意見を聞いて決めてるんですよ。

村上 すごいクルマなんだよね。その割にブレーキもカキーンとは効かないし、全体的にちょっとファットな感じがしたなぁ。

村山 ラリーの世界を彩ったクルマだ! と思って乗ったら、あまりに普通の乗用車でスポーツを感じなかった。良くも悪くも4WDを意識する感じもなく……。

村上 でもこれ以降のトヨタのスポーツ4駆ってGRヤリスまでないんだよね。

藤原 確かに過激ではないけれど、GT-FOURシリーズの最終形だからこそ、あんなに熟成されて乗りやすくなっていた、とも言えると思いますよ。

▶「ちょっと古いクルマが面白い!」の記事をもっと見る

話す人=藤原よしお(まとめも)+村上 政(ENGINE編集長)+村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正


■セリカ GT-FOUR(1994)
型式 ST205
全長×全幅×全高 4420×1750×1305mm
ホイールベース 2535mm
車両重量 1380kg
乗車定員 5名
エンジン型式 水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1998cc
最高出力 255ps/6000rpm
最大トルク 31.0kgm/4000rpm
トランスミッション 5段MT
サスペンション(前/後) スーパーストラット/ストラット
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク(前後)
タイヤサイズ(前後) 215/45R17
車両本体価格(当時) 317.1万円(税抜)

(ENGINE2023年7月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement