2023.06.23

CARS

この荒々しさこそがランボルギーニの証! 正真正銘、ミュージアム所有のガヤルドとウラカンを比較試乗!! 自然吸気V10の鼓動に震える

ミュージアムから貸し出されたファーストモデルのガヤルド(2003年型)とウラカン・テクニカ(2022年型)を比較試乗

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創立60周年。レヴエルトの技術説明のために世界中からやってきたジャーナリストのためにサプライズで用意されていたのは、驚くべきコンディションの歴代のランボルギーニ。本拠地サンタアガータで、1966~2022年のV12とV10、新旧5台のスポーツカーとGTに、モータージャーナリストの山崎元裕が試乗した。

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クラシック部門のポロ・ストリコでフルレストア


ランボルギーニは2023年、創立60周年という記念すべきアニバーサリー・イヤーを迎えた。1963年のトリノ・ショーで、プロトタイプの350GTVを発表することで始まったランボルギーニの歴史。それが必ずしも順調な道のりでなかったことは、広く知られているとおり。創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニは、70年代の半ばには早くもその経営から手を引き、その後も親会社は頻繁に変わっていった。世界の経済情勢に大きく左右されるスーパーカー・ビジネスは、かくも難しいものであることを、彼らは自ら証明してきたともいえるだろう。

2003年発表時には4輪駆動モデルとして登場したが、後に後輪駆動モデルも追加された。


そのランボルギーニに安泰の時代が訪れたのは90年代末のこと。新たな親会社としてアウディが名乗りを上げて以降のことだ。スーパーカー作りに並々ならぬ情熱を持つランボルギーニと、そのスーパースポーツ・ブランドとしての価値を大きく認めたアウディの意思がここに一致。さらには技術的な交流というメリットも加わり、その良好な関係はすでに25年という時を刻むこととなった。しかしその中でランボルギーニは、創立時から継承してきたブランドの独自性を捨てることはしなかったし、一方のアウディもそれを望まなかった。ランボルギーニはあくまでもランボルギーニなのだ。

それを自分自身の身体で感じてほしいというのだろうか。ランボルギーニは先日発表した新型12気筒モデル、すなわちPHEVのシステムを搭載するHPEV(ハイパフォーマンス・エレクトリファイド・ヴィークル)のレヴエルトの技術説明会において、クラシック部門のポロ・ストリコでフルレストアされ、ランボルギーニ・ミュージアムが所有する3台を含めた、新旧5台のモデルを用意。それを一日中自由にドライブする機会を与えてくれたのだ。もちろんそのような魅力的な申し出を断る理由などどこにもない。まずは現在のランボルギーニを築いたともいえる10気筒モデルから、そのステアリングを握ることにした。

生産台数は後継車のウラカンに次いで多く、クーペ・ボディのほか電動開閉式ソフト・トップを備えるスパイダーも登場している。

古さは感じない

1998年にランボルギーニを傘下に収めたアウディがまずランボルギーニに要求したのは、すでに開発が最終段階にまで及んでいた、次世代の12気筒モデルの見直しと、よりコンパクトな、すなわちスモール・ランボの企画を立ち上げること。ランボルギーニにはかつて8気筒モデルを生産した経緯があるから、フェラーリのライバルとなる、よりコンパクトなミドシップ・スポーツを投じれば、その販売は大いに期待できると考えられたのだ。

結果2003年に誕生したのが、ジャルパ以来となるV型12気筒エンジンを搭載しないランボルギーニ、ガヤルドである。今回ミュージアムから貸し出されたモデルはその最初期型の一台。ミドにはアウディもその開発に携わった5リッター仕様のV型10気筒エンジンが搭載され、その最高出力&最大トルクは500ps&510Nm。組み合わせられるトランスミッションには6段MTとeギアと呼ばれる6段のシングル・クラッチ式自動MTが用意されたが、今回の試乗車は後者の方。駆動方式はビスカスカップリングを使用した4WDとなる。

無駄な装飾がほとんどなく、機能的かつシンプルで美しい初期ガヤルドのインテリア。


現代のV型10気筒モデル、ウラカンに慣れた身には、やはりこのガヤルドをドライブして最初に感じるのはランボルギーニに独特なフィーリングともいえる荒々しさだ。とはいえそれは、決して不快なものではなく、常にエンジンを背にして走ることを感じさせるという、ミドシップ車の魅力と言い換えることもできる。低速域のトルクも十分に得られているから、ゆったりとした気分でドライブを楽しみたければ、何のストレスも感じない。



それでもやはり、このガヤルドが最も生き生きとした走りを見せてくれるのはワインディング・ロードであり、またハイウェイといったシーンだ。高速域ではエグゾースト・ノートはさらに官能的な響きに変わり、アウディ製スペースフレームも、まだまだ現代に通用する剛性感を感じさせてくれる。これが今から20年前に誕生したスポーツカーの走りなのか。優秀なエアロダイナミクスも、またそれを生み出してくれるボディ・デザインにも古さは感じない。

2014年にガヤルドの後継として登場したウラカン。


そしてこのガヤルドのファースト・モデルとの比較のためにランボルギーニが用意してくれたのが、2022年に発表されたばかりのウラカン・テクニカ。640ps&565Nmの最高出力&最大トルクを誇る5.2リッターのV型10気筒エンジンは、あのウラカンSTOと共通するもの。駆動方式がRWDとなるところも、走りを極めたいファンには魅力だ。

ガヤルドより140psも強力なパワーユニットを搭載するウラカン・テクニカ。その面白さはやはりRWDモデルらしい素直なコーナリングにあり、といったところだろうか。乗り心地が、ガヤルドから20年間という時間の中で、さらに魅力的なフィールに進化しているのも見逃せない。アルミニウム製フレーム、そしてサスペンションなどの部分剛性がいかに高められているのかは、ここからも十分に推察できる。

◆クラシックの400GTとP400ミウラSV、そしてアヴェンタドール・ウルティマRDSの試乗は後篇に続く!


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文=山崎元裕 写真=ランボルギーニ

(ENGINE2023年7月号)

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