2023.07.01

CARS

ゴリゴリじゃないかと身構えて乗ったら、これが絶品だった! マセラティ・グレカーレの3モデル、トロフェオ、モデナ、GTに試乗!!

グレカーレの3つのモデルが勢揃い。GT、モデナ、トロフェオに試乗。

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マセラティ・レヴァンテの弟分、グレカーレの3つのモデルが勢揃い。GT、モデナ、トロフェオの3台にエンジン編集部のシオザワが試乗した。

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MC20譲りのネットウーノ・エンジン

全長が4.9mを切る、マセラティにしてはコンパクトなSUVのグレカーレ。昨年夏に販売を開始してから、レヴァンテより小さくて、価格も手頃なことがうけて、販売も好調だという。改めてフルラインナップが揃う試乗会が開催されるというので、行ってきた。



試乗会場の富士スピードウェイホテルに用意されていたのは、GT、モデナ、トロフェオの3モデルだ。レヴァンテより小さいといっても、それは全長のことであって全幅はほとんど変わらない。1950ミリもあるので立派なものだが、レヴァンテと比べると確かに小さく見えるのはデザインのおかげもある。強烈な押し出しのレヴァンテと比べると、グレカーレのフロントのデザインはかなりシンプルだ。MC20がモチーフだと聞いて思わず納得した。



最初に試乗したのは最強モデルのトロフェオだ。トピックはなんと言ってもMC20譲りのネットウーノをベースにウエットサンプ化したエンジンだろう。副燃焼室を持つ3リッターのV6の最高出力は530馬力もある。このサイズのSUVでこのパワー、持て余すんじゃないかと危惧したが、完全な杞憂だった。

始動のときこそ結構な爆音だが、走りだすと意外と洗練されていることに驚く。ドライブ・モードはデフォルトのGT。乗り心地は基本ハードではあるけれど、尖ったところをしっかり丸めているので全然嫌な感じがしない。エアサスが標準だが、これは相当デキのいいチューニングだと思った。モードをコンフォートにするとさらにしっとり感が増して、印象はさらに良くなる。ゴリゴリじゃないかと身構えて乗ったが、トロフェオ、いいじゃん。と思わず頬が緩む。一方、モードをスポーツにすると吠える、吠える。特にエンジンの回転数をほとんど落とさずにギアを変えるスポーツカーのようなシフトアップが気持ちいい。乗り心地は一気に硬くなり、ステアリングもクイックになるが、攻めたいときはこれもありだ。ドライブ・モードを変えても何が変わったんだかよくわからない、なんていうクルマも時々あるが、モードによってキャラクターを明確につくり上げているところは上手いと思った。

写真はトロフェオの室内。本革の黒内装に赤いステッチ が映える。ドア・オープナーは電磁ボタン式。ステアリングの 丸いスイッチは、左がエンジンのスタート&ストップで、右が ドライブ・モードのセレクターだ。インパネの中央にはタッチ パネル式の大きな液晶モニターがある。



上手いと言えば、内装の仕立てはさすがマセラティと言った感じで、こちらも期待を裏切らない。見えるところはお約束のとおりすべて革とアルカンターラで覆われており、ラグジュアリーな雰囲気はこのクラスのSUVのなかでも随一だ。意外と横幅があると言ったが、パッケージングも感心したのでひと言いっておくと、後席もちゃんと使えるSUVになっている。クーペスタイルは攻めすぎると後席の住人は穴倉暮らしを強いられることになるが、頭上高もたっぷり確保されていて、リアの居心地もちゃんと配慮されている。これなら家族で乗っても文句はなさそうだ。



驚きの4気筒エンジン

次はマイルド・ハイブリッドの2リッター4気筒のモデナに乗った。530馬力のトロフェオから330馬力のモデナに乗り換えるわけで、これは試乗の順番を間違えたか(選べなかったので仕方がない)と思ったが、いやいやどうして、全然速いし、パワーも十分ある。2リッターと言ってもただの4発ではない。これがEブースターという最新の電気式過給システムを備えた優れもので、ターボが不得手とする低回転時の力不足を補って余りある働きをする。下からモリモリという表現がピッタリで、しかもターボへの繋ぎも自然でまったく違和感がない。さらに、これが4気筒なの? と驚くほど吹け上がりもいい。絶対的な動力性能ではトロフェオにはかなわないが、車重が100キロ以上も軽く、軽快さではモデナの方が上だと思った。



そんなモデナから最後はGTに乗り換えた。こちらはエンジンは基本的にモデナと同じマイルドハイブリッドの4気筒だが、チューニングがわずかに違う。パワーは300馬力でモデナより30馬力少なく、最大トルクは450 Nmと変わらないが、発生回転数は2000回転で、モデナより250回転低い。かなり微妙な違いで、モデナの方が少しパワーがある感じがする。実際0- 100km/h加速はGTが5.6秒、モデナが5.3秒で、モデナの方が速い。しかし、念の為に言っておくと、決してGTが遅いわけではない。



モデナを買うかGTを買うかで悩んだとして、気になるのはパワーよりアシの仕様かもしれない。モデナには減衰力調整式のダンパー(エアサスではない)がつくが、GTは一発決めだ。GTの方がわずかにゴツゴツした感じがしたが、タイヤはオプションの20インチだ。これがもし標準装備の19インチだったとしたらどうだろう……。いやあ、19インチのGTに乗ってみたい!


文=塩澤則浩(ENGINE編集部)


GT、リア・ラ イトは3200G Tがモチーフ
■グレカーレGT(モデナ)
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4845×1950×1670mm
ホイールベース 2900mm
車両重量 1890kg(1920kg)
エンジン形式 直列4気筒eブースター+48Vマイルドハイブリッド+ターボ
排気量 1995cc
最高出力 300ps(330ps)/5750rpm
最大トルク 450Nm/2000rpm(2250rpm)
最高速度 240km/h
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル(減衰力調整式)
サスペンション(後) マルチリンク/コイル(減衰力調整式)
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 255/45R20/255/45R20(255/40R21/295/35R21)
車両本体価格(税込) 922万円(1114万円)

■グレカーレ・トロフェオ
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4860×1980×1660mm
ホイールベース 2900mm
車両重量 2030kg
エンジン形式 V型6気筒副燃焼式DOHC+ターボ
排気量 2992cc
最高出力 530ps/6500rpm
最大トルク 620Nm/2750rpm
最高速度 285km/h
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア
サスペンション(後) マルチリンク/エア
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 255/40R21/295/35R21
車両本体価格(税込) 1520万円

(ENGINE 2023年8月号)

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